『銀河英雄伝説』読後記

2000/02/06

3週間ほどかけて『銀河英雄伝説』(徳間文庫・全10巻・田中芳樹、通称『銀英伝』)を全部読みました。とても面白かったです。
それで、ホントはその話をたっぷり書きたいのですが、そうすると、どうしてもネタばれになってしまいまいそうです。もちろん、このコラムを読んでから『銀英伝』を読む人がそうそういるとは思っていませんが、一応ネタばれしない程度の紹介にとどめることにします。


ところで最初に『銀英伝』を知ったのはアニメ版でした。
学生時代だったでしょうか、深夜番組でちょっと子供向けっぽくないアニメをやっているのを見つけました。正直言って「まあ最新のアニメに比べると古臭い絵だな」など思っていました。それで最初は特に見ていたわけではないのですが、次第に「実は結構面白い」ということに気が付きました。宇宙艦隊同士の戦闘というのが珍しいのと、内容が大人向けであることなどが要因です。戦略と戦術があって、政治的駆け引きがあって、などなど。それで途中からなるべく気を付けて見るようになりました。

ストーリーとは別にとても印象に残っているのは、宇宙空間の戦闘シーンでの BGM にクラッシックが使われていたこと。「ワルキューレの騎行」なんかが使われていたと思います。このカッコ良さは感動的でした。
そういえば、秋吉満ちる(彼女が Mondy 満ちるだとはこのコラムを書く際にいろいろ調べるまで知りませんでした)や小椋佳による主題歌も落ち着いた曲調でかなりいい感じでした。これらも確かオーケストラサウンドだったはず。

ところが、いつのまにか放送が終わっていました。思い返すと、主題歌など 1種類しか見た覚えがないので、おそらく第 1部で放送打ち切りだったのではないでしょうか?

さて、そのまま何年かたって、すっかり忘れていたのですが、昨年辺りから静岡のローカル局で、深夜に再放送が始まりました。今も継続中で、今度は忘れないように見ています。(今は第2部を放送中?)

この『銀英伝』、以前から原作が小説であることは知っていました。また、漫画版やゲーム版があることも知っていました。それで、一度原作を読んでみたいな、とは思っていたのですが、それは新書版でしかもかなりの冊数あるらしい、ということで興味はありながらもちょっと手を出し辛かったのです。
そんな時、本屋さんで原作が文庫になっているのを見つけました。それで全部買ってきて読んだ、という次第です。


さて最後になりましたが『銀英伝』の簡単な紹介をします。
内容としてはスペースオペラという舞台を借りた「仮想歴史小説」というのが適切なところでしょう。解説なんかでも出てきますが、三国志などの中国史や西欧の歴史上の国家の興亡がヒントとなっているようです。
アシモフの『ファウンデーション』シリーズも似たような舞台と言えるかもしれませんが、それとはちょっと違うかな。(『ファウンデーション』読んだのは随分昔なんで、ちょっと内容を正確に覚えていないんで言いきれないですが……。) 『銀英伝』は、ほぼ同じストーリーをアレンジして、どこか地球上の中世の話です、と言われても成立するような気がします。それだけ人間主体のドラマになっている、と。
(逆に言うと、人類が宇宙に飛び出した後のその時代だったら、科学的にはもうちょっと進んでいて状況が違うのでは?と思う点もいくつかあるのですが。)

基本的には対立する 2つの陣営による国家の興亡を主軸とする話で、それぞれに現れた英雄を主人公とする話。彼らをはじめ登場人物達のキャラクターの魅力というのも面白さの大きな要因なのですが、それ以外にも、大きなテーマがあります。「堕落した民主主義」と「名君による先制政治」は一体どちらが優れているのか?など。その他、読み応えのある深い内容を一杯含んでいます。
そうそう、名文句が一杯でてくると思いました。いくつか抜き出してメモしておこうかな、と思うくらい。

ということで、読み応えのある本を読んでみたいという方にはお勧めです。

ただし、アドバイスを少し。
文庫本を読む場合、解説は読まないこと。たいていネタばれしないように注意して書いてますが、ある巻の解説からは将来起きる出来事が推測できてしまいます。
それから、もし帯はついていたらそれを見ないこと。僕の場合10巻だけ帯がついていたのですが、それに内容が少し書いてあったので、途中である程度のストーリーを想像できてしまいました。そいう情報全くなしに見ると、より楽しめると思います。ほんと、これは今でも少し悔しいくらいです。何も知らなかったらもっと楽しめただろうなぁと。
それからインターネットにも『銀英伝』関連のページがたくさんあります。それらにも目を通さないようにする方がいいです。