美容整形 〜鈴木紗里奈の良識〜

2000/04/23

鈴木紗里奈というアイドルがいます。
TV 番組などで彼女の発言などを聞いていると、様々な価値観(例えば恋愛観)について、比較的古風な考え方をしていることには気がついていました。古風といっても、明治とかじゃなく、昭和後期のレベルで、僕とほぼ同じということなんですが。

さて、この春の番組改変でその鈴木紗里奈が出演する「あけすけ」という深夜番組が始まりました。(あれ?これ広島テレビ制作なんだ!へー、大阪や名古屋で作って他の地域で放送するのは知ってましたが、広島のような地方局でもそういうことがあるんですね。知りませんでした。)
番組の内容は、 紹介文の引用によると「出演者が“本気”で生きる女性の元へ訪れて、生活、仕事、遊びど、人生の一瞬を共有する!」。まあ簡単に言うと素人のところへ訪ねていって話を聞いたりする番組。出演は、三姉妹という設定の、鈴木紗里奈、真中瞳、加藤明日美(新人?存在感なし)、と、その他(というか出演の必要が全く感じられない美川憲一)。紹介文ほど深刻な内容ではない、ややお笑いが入ったバラエティ。

さて、この番組の第 3回の内容は美容整形に関するものでした。ある女性が 100万円ほどかけて美容整形を決意。とにかく子供の時からの容姿で傷ついてきたことを忘れて生まれ変わり、同時に美容整形でセールスの仕事上に有利にすることで仕事をがんばりたい、とのこと。その彼女を、三姉妹が訪ねるという内容。

美容整形の是非って言うのはよくある議論で、ちょっと前も別の番組でやってました。
その番組などでは、賛否両論だったのですが、個人的に思うのは、ほとんどの人は否定する資格はないだろうということです。ほんとに容姿を気にしない!と宣言する人だったら、散髪も必要最小限でいいはずだし、髪染めるの、お化粧も必要ないはず。純粋に理屈から言うと、それらと美容整形の区別ってないでしょう。ピアスに至っては、ほとんど親戚です。そういうお洒落してる人が、美容整形だけを取り上げて否定することはできないはず。
まあ強いて言えば、美容整形以外は比較的簡単に元どおりになると言えますが、美容整形だってやろうと思えば元どおりになるはず。(失敗というリスクがないわけじゃないだろうけど。)

なんとなく心情的に「良くないかも?」と思ったとしても、理由が伴っていなければそれは“わがまま”といわれるだけ。誰かを説得することはできません。まあ、僕も心情的には「良くないかも?」と思っているひとりなのですが。

そんな中、「あけすけ」の三姉妹が、美容整形を決意した女性を訪ねます。結局、今の世の中そんなものかもしれませんが、その女性の家族も恋人も友達も、誰も反対はしていません。反対したのはただひとり、鈴木紗里奈だけ。そして自分以外に反対する人が全くいないことに驚く彼女。

はっきり言ってその時に思いました。これはどうしたって説得は無理。しかも彼女にとっては極めて難しいであろうと。なぜなら容姿の良い鈴木紗里奈が、どうやって美容整形反対という論を張るのか? 「あなたには私の気持ちはわからない」と言われたら反論のしようがないはず。

ところが、彼女はそこで僕が思いもしなかった、完全とまでは言えませんが、極めて理論的な反対理由を述べたのです。
「お金をかけて美容整形をするということは、世の中、お金があれば悩みや苦労も解決するということを認めることになる。」
これには驚きました。なるほど、そういう論法があったかぁ。
完全ではないのは「では金額が安かったら問題ない」ということになるから。しかし、少なくとも今現在としては理屈としては成立するように思えます。

結局、その番組の彼女は美容整形するのですが、いずれにせよ今回の一件で、僕の中で (元々高かったのですが、) 鈴木紗里奈の好感度さらにアップ、というお話でした。


ところで、その鈴木紗里奈の「お金でなんでも解決するのを認めることになる」に対し、すぐさま「それでええやん!」と自信満々で応えたのが真中瞳。いや確かに、その価値観が間違いとはいえない……。自分で苦労して溜めた金で解決して何が悪い?

この番組、キャスティングの時点でどこまで考えていたのか知りませんが、絶妙な組み合わせになっています。というか、鈴木紗里奈と真中瞳のふたりで十分。このふたりの、決して間違っているわけではないふたつの価値観の違いを全面的に押し出すような番組作りしたら、絶対面白いと思うけどなぁ。


(追記 2000/05/25)

田口ランディさんがとても面白い文を書いていました。「きれいな人になりたい
最後に書かれた言葉は「美しくなる方法は、たぶん、無数にあるのだ」。

そういうことかもしれない。
あの山の頂上に行けば、素晴らしい景色でとっても気分が良い。
山に登るのは、歩いてもいいし、車で行ってもいいし、別に登らなくても構わない。
でも僕は、歩いて登らないと感動が薄いのではないか?と思う。でも、歩いては登り切れないかも知れないんだから、確実にそして簡単に車で登って景色だけ見る方がいいと思う人もいる。
それは価値観の違いであって、人によりけり。
(人が楽な方法をとるのを見るとちょっと……って思うけど。)