バスケの話

2000/09/10

野球の話」「ラグビーの話」「バレーボールの話」と書いて、「バスケの話」を書いていないことに気が付きました。

まずはバスケという種目自体について。
こんな話を聞いたことがあります。
「もし、コンピューターにいろいろなデータを詰め込んで、全く新規に、最もエキサイティングできるスポーツを作り出すとしたならば、それは現在のバスケットボールに近いスポーツになるであろう」
僕はこの話に共感します。それほどバスケットボールは完成されたエンターテイメントスポーツだろうと思います。特に NBA ルールの場合、よりエンターテイメントスポーツとして完成されていると思います。

どんな点が他のスポーツより優れているでしょうか?
まず、観客を飽きさせない得点の入り方。“適度な頻度”があり、かつ、通常のプレーで 2点づつ入る事、交互に得点するケースが多いことから、追いつ追われつ、逆転再逆転ということがしばしば起きます。3点シュートという大逆転技もあります。
この“適当な頻度”、言い換えると“多くの機会”はスターに活躍の場を与えます。野球だったらスター選手が全打席凡退に終わったり、サッカーだったらエースストライカーが得点できない試合があるでしょう。しかし、バスケットボールでは、スター選手が 1試合全く活躍できないなんてことは、まずありません。特にゾーンディフェンスを禁止した NBA のルールでは、スター選手の 1対1 の勝負を見る事ができ、必ずスター選手の得点シーンを見る事が出来ます。

また、選手交代の柔軟性も、野球やサッカーと異なる部分です。これは、主力選手が疲労せず、良いプレーを見せることが出来るという事に加えて、試合で若手の育成をすることができるという大きなメリットがあります。

それから TV 文化との相性の良さ。これは競技の本質としてはまったく関係ない部分ですが、エンターテイメントとしては馬鹿に出来ない部分です。大抵の場合は終了時間の予想がつくし、タイムアウトの時間に CM を入れることも可能です。

「バスケは背が高い方が絶対的に有利な不公平なスポーツでは?」
なかにはこんなことを言う人がいるかもしれません。確かにそういう面がないわけではありませんが、実は背が高い人が5人いても駄目なのはまぎれもない事実。特にバスケやってる人は良くわかってると思いますが、背が低くてもスピードを持つ人は、背の高さを遥かに凌駕するプレーを見せます。NBA の得点王が、背の高い選手であるとは限らない事からも明らかです。ポジションの違いでそれぞれの個性を要するスポーツであり、多くの人が考えている身長による影響より、スピードによる影響の方が遥かに大きい種目です。

ただしひとつだけ、バスケに欠点があります。 (それを欠点だとすれば、という話なのですが。)
それは、バスケの場合、まず間違いなく“強い方が必ず勝つ”のです。そして、突出した力を持つアメリカ代表チームが必ず勝つのです。
これが、サッカーとの大きな違いです。サッカーの場合、ブラジル、フランス、イタリア、オランダ、一体どこが優勝するかわかりません。それから、日本がブラジルに勝つような大番狂わせ(ジャイアントキリング)が起きることも。弱小国が、何かの間違いで大国に勝つ事があるのです。この、わずかだけれども実在する大番狂わせは、普段サッカーに限らず、政治力や経済力で大国に力を見せつけられている国に住む人々のナショナリズムを喚起します。これも世界の多くの国でサッカーが一番人気である理由のひとつではないでしょうか。
バスケはショースポーツとしては素晴らしいのですが、こういった理由でナショナリズムを喚起するという点ではサッカー劣ります。


さて、最後に日本のバスケットについて。
残念ながら、日本におけるバスケは人気スポーツとは言えません。競技人口では国内トップクラス (最近の高校生の部活動の登録人数では1位) にも関わらず、人気では、野球、サッカーにも劣りますし、バレーボール、ラグビーにも劣るかもしれません。
実力面で言うと、つい先日のスペインやアメリカとの試合結果を持ち出すまでもなく強いとは言えません。アジア内に限定しても、男子は中国や韓国に歯が立ちません。女子が、中国や韓国とほぼ互角のところまで力を伸ばしてきた事には評価できますが。

しかし、実力以上に問題なのは、比較対象が NBA になってしまうことでしょう。NBA を見た後で国内の試合をみると、見劣りしてしまうのはどうしようもありません。今まで書いてきたようにエンターテイメントスポーツという観点で言うと、日本のバスケ(
JBL) は NBA に劣るのです。

では、人気を出す為に、どうすればいいのか?
方法はふたつあります。
ひとつは結果を出す事。強くなる事でです。はっきり言って、バレーボールとの人気の違いは過去の栄光の差だけです。実力的には同じくらい。しかし、結果を出すならば応援してくれる人が増えるのは間違いありません。
とはいえ、これは一朝一夕に出来るものではありません。

では、もうひとつの方法。
それは地域スポーツです。自分達の身近なチームを応援する、これが実力に関係なく、幅広い人々にチームを応援してもらう最後の方法です。


ただ、実力の話ですが、ほんの十年ちょっと前、日本のサッカーは中国や韓国に全く歯が立たない状況だったのです。ところが今では、アジアでトップを競う地位まで上がってきました。
アメリカや、体格差の大きいの欧州勢に追いつくのは簡単ではないでしょうが、体格的に変わらない東アジアではサッカーと同じ事ができるはずなのですが……。


(追記 2000/09/11)

うーん、どうやら、JBL には問題がありそうです。(公式リリースらしい「JBL 1999-2000」には、非常に良い事が書いてあるのですが。)

どうして企業スポーツでは駄目なのか」にも書いた、チーム名 (新潟)、 愛称 (アルビレックス) の順番にこだわり、サッカーチーム「アルビレックス新潟」と同じ名称を認めなかった頭の固さ、は感じましたが、それだけではないようです。
聞いた話だと、企業努力で観客動員を増やしたところで、収益はチームではなく JBL に入るのだそうです。そんなんでは、企業努力をしなくなるのでは?護送船団方式じゃ駄目になるよ。
それから、ホームタウン制にするのはともかく、何故トヨタが静岡のチーム?それで静岡の人が納得できるのか?ほんとに地域に根付くのか?
所詮は、企業スポーツの見た目が変わっているだけなのかも……。