この後、「アメリカとヨーロッパのスポーツ (再考)」 を書きました。


アメリカとヨーロッパのスポーツ、そして日本

2000/09/03

昨年、「アメリカのスポーツとヨーロッパのスポーツ」というコラムを書きました。要約するとこんな話。

『アメリカには、MLB(ベースボール)、NBA(バスケットボール)、NHL(アイスホッケー)、NFL(アメリカンフットボール) などのリーグがあり、それらは降格が無い閉じたリーグ運営を行っている。降格が無い代りに、ドラフト制度を採用することで、落ちこぼれチームが出ないようにしている。また、アメリカのモータースポーツである CART シリーズは、そのルールから意図的に混戦が起きるようになっている。これが、アメリカのプロスポーツの運営方式。
一方のサッカーや Formula 1 に代表されるヨーロッパ方式は、完全な自由競争。落ちこぼれたチームは下部リーグに落ちる、あるいは消滅することで、代りに力のあるチームが上がってくる。
こういった違いから、アメリカのスポーツの方が同レベルのチームの対戦が多いことで、ショービジネス的にはやや優れている。ただし、商売中心の考え方なので、リーグ全体でストライキが起きて、シーズンが中止されたりすることがある。』

これは、現状からの考察でした。ところが、アメリカがこういうシステムを採用するに至った理由に気が付きました。
アメリカは他の種目のリーグと競争をする為に、混戦でなければならないのです。特定チームが圧倒的な力で独走したら、そのリーグに観客は興味を失ってしまい、他の種目に流れてしまいます。ですから、ドラフト制度でチーム力を均衡させ、リーグで接戦が起きることが必須だったのです。これは、アメリカがヨーロッパから離れた大陸にあるという理由で、閉じた国内スポーツでエンターテインメントを行うことから来ているのでしょう。
一方のヨーロッパは、まずそこに他国との対抗戦がありました。種目は当然サッカー。言い換えるなら、ヨーロッパのサッカーは他国のチームと戦うもの、国内リーグは代表チーム強化の為にあるとも言えるのです。国内リーグにおいての、意図的に作った混戦よりも、絶対的な実力が強くなる厳しい (弱いクラブチームは降格し、最悪どん底まで落ちていくかもしれない) 方式が必要だったのです。

なお、この違いの理由は「サッカーだから」というような種目の違いではなく、背景となる文化の違いでしょう。正確に調べていない、推測なのですが、アメリカのプロサッカー (MLS) はおそらくアメリカ式経営が行われていると思います。ヨーロッパにしても同様です。例えばイタリアでは、プロバレーボールもプロバスケットボールもセリエA (英語でいうとシリーズA)がトップリーグ。きっとセリエB、C といった下位リーグがあるはずです。


では日本は?
日本は長い間、野球の独占状態が続いていました。相撲という根強いプロスポーツもありますが、これら格闘技は大きく種目が違うことなどから、競合の対象とは言えないでしょう。そして、やっとJリーグが出来たばかり。まだその勢力は野球の足元にも及びません。

良く考えてみると、プロ野球とJリーグとは、アメリカ方式とヨーロッパ方式の混在。実はお隣、韓国の方が一足早くプロ野球とプロサッカーが両立していますが、Kリーグは基本的にはプロ野球方式を見本にしたプロサッカー経営 (チーム名には企業名が入っています) です。
日本は世界で数少ない、この 2つの方式が共存している国、ということになっているのかもしれません。

上記の考え方でいくと、正しい運用が行われればプロ野球は、毎年チーム力の差が少ない混戦のペナントレースが行われるはずなんですが、実際のところ、正しいアメリカ式運営が行われない理由でセ・リーグは巨人の独走になりそうな雰囲気。一方のJリーグはまだチーム力が安定していなくて、思いもしなかったチームが優勝戦線に絡んでくる状況。上記で考察したような、アメリカのスポーツとヨーロッパのスポーツの特徴が出ているとは言い難いですね。

現状はともかく、本来の形ならば、Jリーグは不利な立場ですね。Jリーグがプロ野球に対抗するには、日本代表チームの活躍とそれにリンクしたJリーグの宣伝活動、そしてホームタウンへの密着 (たとえチームが弱くても支援してくれる人がいる) が必要になるはずです。