ワールドカップ・チケット問題

2000/07/30

2002年ワールドカップのチケット分配において、一部のサポーターが「半券運動」というものを始めました。Jリーグの観戦チケットの半券に署名してW杯日本組織委員会(JAWOC)に送り付けるというもの。キーワードは「ワールドカップではサッカーファンにチケットを」なんですが、実はサポーターの間でも賛否両論。その理由は「目的が明確にされないいまま」活動が行われたからです。
まあ、ここでは問題の起きた経緯なんかはどうでもいいので、簡単な説明で済ませます。

まずは
半券運動が起きた要因について。
まずは、2002年にとんでもないチケット争奪戦が発生するのが明らかであること。ある報道では日本戦のチケットは 800倍などと言われています。
それから、フランス大会での価格の高騰。単に高騰するだけではなく、ダフ屋やその類の輩が、我々サッカーファンからお金を巻き上げるわけです。
最後に、一般枠以外に、協会枠、自治体枠などに、かなりの枚数が割り当てられること。スポンサーに配布される協会枠などでは、普段サッカーを見たこともないような人がお祭り気分でチケットを手に入れるのは間違いありません。また、ダブ屋に流して小遣い稼ぎする人も出るかもしれません。
( 思い出すのは '90 の Formula1 日本GP。ナニーニが直前のヘリコプター事故で出場できなかった年です。直接聞いたわけではありませんが、スタンドで「ナニーニって誰?」とのたまった女性がいたという……涙。 )

では、
半券運動の求めるもの。これは上で述べたように、人によってばらばらなのです。
総本山と言われる組織サポティスタは「スタジアムに来るサポーターに優先権を!」です。彼らは TV で見ているファンではなく、スタジアムに来るファンを優先しようという主張です。
ネット上などではその主張に反対する意見が多いです。ワールドカップをきっかけにサッカーに興味を持ってもらうことを期待している人達です。彼らは、単純に一般枠の拡大を期待していたり、ダフ屋の手にチケットが渡らない工夫を期待しています。
一方、スタジアムで半券運動を知ってチケットに署名した人の中には、これで自分達に優先権が与えられるかもしれないと誤解した人もいます。
また、ウルトラスのような代表の応援組織にチケットを優先的に回して、代表の為に派手な応援をしてもらうべきだ、と主張する人もいます。


さて、ではここで僕の意見を述べたいと思います。
基本的には、ワールドカップをきっかけにサッカーファンが増えて欲しいと思っていますから、試合を見に行ってる人ばかりを優先するのはどうかと思います。しかし、その一方で強く思うのは、フランス大会のようにチケットが高騰して、ダフ屋やその類の輩がサッカーファンからお金を巻き上げるのは極めて不愉快です。ですから、なるべくサッカーを本当に見たい人の手に、チケットが渡るようになればいいと思っています。その為に、ある程度の優先枠を実施して欲しいです。

ということで、僕の考えたアイデアは以下。
「Jリーグサポーター優先枠」を作り、Jリーグのチーム、J1、J2、と (来季J2に上がるのが確実であることとその歴史的経緯から) 横浜FCを加えた全28チームに、平等に分配するのです。分配方法などは各クラブに任せますが、おそらくサポーターズクラブに登録している人の中での抽選という形になるでしょう。

このアイデアの目的はたくさんあります。
ひとつは、上記の理由にある、ダフ屋の類に渡らないようにする為。さすがにサポーターズクラブに入っているような人は、ダフ屋に売りつける人は少ないと思うのです。
実は、フランス大会の最終予選では友人にチケットを譲ってもらい応援にいくことが出来ました。また、チケットの転売も頼まれました。最終予選チケットと言えば、それはそれは入手困難なプラチナチケットでした。その友人も最初は、どこかで高く売って小遣い稼ぎすることも考えていたそうですが、「本当に応援してくれる人」に譲ろうと考え直し、定価で僕達に売ってくれました。
同じような話はネット上でも幾つか見ました。ワールドカップでも同じように考える人は多いはずです。

次に、これをきっかけにサッカー観戦を始める人がいるかもしれないということ。
これ、Jリーグ開幕時からのクラブのサポーターにはわかりにくいかもしれません。実は下部リーグから昇格してきたチームの中には、あまり試合を見に行っていないサポーターズクラブの会員が結構いるのです。Jリーグに昇格する条件として、サポーターズクラブの会員を確保する必要がありました。その際、親会社の関係などで頼まれてサポーターズクラブに入った人などが多数いるのです。彼らはスタジアムには自分からは行かないけれど、チームを応援する気持ちは持っています。毎試合スタジアムへ行っている人ほどの思い入れはありませんが……。
(ある意味、彼らは結果を求めないサポーターです。結果を求めるサポーター、求めないサポーターなど、様々な人がいるべきなのです。それこそ文化です。結果を求めるサポーターばかりだと商売だけになってしまいますから。)
ワールドカップをきっかけに、彼らもスタジアムへ足を運ぶきっかけになれば、それは日本サッカー界にとっても大きなメリットがあるはずです。

また、全チーム平等に分割というのも大事なポイントです。サポーターが数万人もいる人気クラブよりも、J2などの弱小クラブの方がチケット当選確率を大きくするのです。言葉は悪いですが、これをエサにJ2などの小さなクラブのサポーターズクラブ会員増を図ります。
これは闇雲に言っているのではありません。最近、J2の試合報道などがちゃんと行われるせいもあり、だんだんと地元チームの意味が認められてきているように感じています。浦和や札幌がJ1以上の観客動員を誇っているだけではありません。山形や仙台が、安定した観客動員を誇っています。その他のJ2チームのホームタウンにも潜在的なサポーター予備軍は必ずいるはずです。
しかし、サポーターズクラブ入会などは、なんらかのきっかけがないとなかなかできるものではありません。普段はJ1昇格くらいしかきっかけはありませんが、ワールドカップをきっかけにサポーターズクラブに入会する可能性は十分あります。その入会をきっかけに、ほんとにそのチームの熱心なサポーターになる可能性だってあるのです。

そして最後にもちろん、サポーターズクラブで今までJリーグを支えてきた人達への御褒美の意味もあります。特に優勝争いをしているチームのサポーターはともかく、負け試合や降格の危機などに心を痛めることが多いサポーターには、それくらいの御褒美があって然るべきだと思います。

現実的には、各クラブの負担になるので難しいかもしれませんが、通常のチケットの優先予約と同じ方法を使うこと、これによりサポーターズクラブ増員が見込めるというメリットでなんとか実現可能ではないかと思うのですが……。


いずれにしても、ひとつだけ気を付けたいことがあります。
優先枠の実施は、サッカーファン以外の人からみて、サッカーファンのエゴと見られる危険性を含んでいます。特にサポティスタの「
半券運動」は、スタジアムへは行ってないがTV ではサッカーを見ているファンや、地元でなかなか見る機会がないファンまでも除外する考え方ですから、かなり危険だと思います。幸いなことに、マスコミは「半券運動」に好意的な反応でしたが、やはり、あまり大規模な優先枠はやらない方が無難だと思います。

ということを考慮しながら、最後にひとつ。
どんな方法を取るにしても、一般枠がある限り、ダフ屋やその類の輩はチケットを取ろうとするでしょう。それに対抗するには、彼らのチケット入手確率を低くすればいいのです。それは、より多くのサッカーファンがチケット取ることです。これが一番効果があるはずです。宝くじでも買うつもりで、みんなでチケット獲得を目指しましょう。


(追記 00/08/01)
半券運動」とは全く異なる見地から、2002年のチケットについて運動を行うサイトが立ち上がりました。
チケット流通の透明化とネットオークションでのチケットの取り扱いをやめてもらうためのHP
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