ROMA

 2004年公演情報

 ※こちらはご参考用の、昨年の公演情報です。御注意下さい。※


 酔っ払いの仕返し "Drunkard's Revenge"

   原作■ウィリアム・シェイクスピア「十二夜」
        William Shakespeare "Twelfth Night"
  翻案・演出■関根 勝
   舞台装置■森泉 文美
   舞台監督■川橋 範子

配役 <写真:森泉文美>
 山城の守(Sir Toby)
 フランチェスコ・デ・ドミニチス Francesco De Dominicis
 能登の守(Sir Aguecheek)
 ルーカ・モレッティ Luca Moretti
 かえで(Maria)
 シルヴィア・テッローニ Silvia Telloni
 木下大膳(Malvolio)
 サルバトーレ・マッラ Salvatore Marra
 大内厳義(Viola)
 アレッサンドロ・パンドルフィ Alessandro Pandolfi
 鮎姫(Olivia)
 マリーナ・デ・ニーシ Marina De Nisi

(こしがや能楽堂・国立能楽堂のみ友情出演)

KYOGEN
 若旦那の博打 "A Young Gambler Merchant"

   原作■カルロ・ゴルドーニ「コーヒー店」
        Calro Goldni "La Bottega del Caffe"
  翻案・演出■関根 勝

配役 <写真:石川&池田>
 若旦那・越後屋善一郎
 矢島祐介 YAJIMA Yusuke
 コーヒー屋店主/越前屋
 石川俊介 ISHIKAWA Shunsuke

 博打場の富太郎
 田口知宏 TAGUCHI Tomohiro

(太郎冠者 & アンダースタディ)
 池田健 IKEDA Ken

 

公演概要



 狂言は能と共に14世紀に3代足利将軍義満の庇護の下に、急速に舞台芸術として洗練されてきた。以来、戦国時代を生き延び、豊臣秀吉により能と共に再集成の機会を与えられ、徳川の時代に伝統芸能として武家社会の式楽となった。狂言は大蔵虎清(1566-1646)とその息子、虎明により集大成されて、今日まで、能の公演にはなくてはならぬ位置を占めてきた。さらに近年では、観客に分かりやすいと言う利点もあり、狂言だけの公演も行われるようになった。

 一方、イタリアにはルネッサンスの頃に Commedia dell'Arte(コメディア・デラルテ)と呼ばれる即興喜劇が誕生した。時代的に狂言の成立の方が多少早いが、共通点が多い。宗教の影響力と、君主制の統制の下で、抑圧されている下層の民が自分達の金持ちの商人の主人に反抗して叱られるアルレキーノやスカパンは、狂言では太郎冠者・次郎冠者に相当する。狂言にしても、江戸時代初期、大蔵虎明によって集大成されるまでは、かなりの部分が即興で演じられていたと考えられる。

 この共通点が多い事に注目したのが早稲田大学・国際教養学部の演劇担当の教授、関根勝である。彼はイタリア好きで、イタリアに足を運ぶ事10数回になる。1998年には、イタリア語で‘夕鶴’と‘棒縛り’をローマ大学の学生及び教員相手に演出してバチカンの近くの小劇場で上演した。以来、彼は狂言とイタリアの喜劇の互換性を追求し、翌年早稲田のどらま館で、カルロ・ゴルドー二作‘コーヒー店’を‘若旦那の博打’に翻案して上演した。これを皮切りに、彼はシェークスピアの喜劇をいくつか狂言に翻案して、早稲田大学で学生相手に上演してきた。

 今回のイタリア人学生によるシェークスピアの‘十二夜’を翻案した‘酔っ払いの仕返し’の上演は、関根教授が国際交流基金の派遣教授としてローマ大学 La Sapienza(ラ・サピエンツァ校)に出向したのがきっかけである。今年、1月より4月なかばまで、彼はローマ大学で教鞭を取る傍ら、学生達に狂言の指導をした。日本の古典芸能を理解してもらうという事を考えた時、学生本人に実際やってもらう方が手っ取り早い。彼は狂言師ではない。よって、古典狂言に固執せず、柔軟な演出をする。例えば、彼の翻案した狂言では女の登場人物は女が演じる、そして、衣装も古典狂言の衣装を使う事はない。彼が追求しているところは、西洋古典喜劇と日本の古典喜劇としての狂言の接点である。それを、狂言ではなく、KYOGENとして翻案して舞台に乗せて来た。言ってみれば、彼は、舞台に東西文化の交流の結実を例証してきている。

 関根教授はローマで借りていた自宅の居間を解放して、稽古場として、学生達の稽古に応じた。最初は漢字が読めない学生にルビをふらせるところから始め、激しく変動するイタリア人のイントネーションを日本語の平たいイントネーションにかえ、さらに狂言に近い抑揚をつけさせた。そして、‘酔っ払いの仕返し’を仕上げた。これを、2004年4月1日・2日、イタリアのローマにある日本文化会館に於いて、学生演劇グループは、狂言‘堺の商人’(イタリア語)と‘酔っ払いの仕返し’(日本語)の公演を行った。‘堺の商人’の方は、イタリア語で日本の衣装を着せて狂言の動きで上演されたらどうなるのかと言う教授の文化混合の実験でもあった。原作は両方ともW・シェークスピアで、The Merchant of Venice(ヴェニスの商人)と Twelfth Night(十二夜)である。

 La Piccola Compagnia di Commedia di Roma(ローマKYOGEN一座)は、ローマ大学 La Sapienza 東洋学部日本語学科の学生達で構成されている。彼等の日本語はほぼ完璧であり、日本語による芝居である事、随所に笑いを引き起こすような分かりやすいプロットを持つ作品である事から、多くの方々より賞賛された。ただ、残念であったのは、観客の大半が日本語を理解しないイタリア人たちであったので、笑いが少なかった。そこで日本における公演を実現し、日本の観客に大いに笑って頂こうと本公演は企画された。

 また、この企画には早稲田大学と交換協定のあるローマ大学からの積極的なサポートがあり、ローマ大学の日本語教師の森泉文美博士には先に日本に来て、舞台美術として協力を頂いた。また、早稲田大学サイドとしては、学生が友情出演し、国立能楽堂およびこしがや能楽堂で‘若旦那の博打’を同時に上演する事になった。


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