東上沿線 車窓風景移り変わり

第1号

No.1 下板橋・北池袋間にて(2000/9/10 記)

上り電車で下板橋駅から北池袋駅に向かって大きく右にカーブを切って進む車窓の左側は、この数年大きくその景色が変わりました。具体的には、線路沿いにあった大口製本印刷(現在はマンション「ファミール池袋本町」)と日本食糧倉庫の二つの事業所が移転し、その跡に大きなマンションが建ったことです。さて、日本食糧倉庫だったところに立っている高層マンション「シスナプ池袋本町」と線路の間に建っていた、数軒の家屋が最近取り払われました。取り払われたのは平屋建ての2件長屋群で、築30年以上にはなっていたと思います。今のところ更地になっていますが、さて何ができるのやら気になります。線路沿いなので騒音はありますが、下板橋駅、北池袋駅、埼京線の板橋駅にいずれも数分でたどり着ける場所なので、交通の便は申し分ないでしょう。

取り払われたのは今年の春頃だったと思いますが、うかつにも取り壊し工事にはまったく気がつきませんでした。ひと夏をすぎた今、その土地はブタ草やらなにやらの雑草が、背丈よりも高く一面に生い茂っています。その中に以前の住人が庭に植えていたのであろうヒマワリの花が、何本か雑草の間から、けなげに顔をのぞかせています。去年の今頃はまだ庭の中で家人の目を楽しませていたのだろうと思うと、感傷的になってしまいますが。この更地も来年の今頃は新しい建物か道路かなにかに生まれ変わっていることでしょう。

さてこの敷地と同じ一角にまだ2軒ほどの家屋が残っています。1軒はアパート。もう1軒は2階建ての民家です。朝の通勤時間に見ると、いつも2階建て家屋の庭の一角に個人タクシーがおいてあるので、きっとこのタクシーの運転手さんの家なのでしょう。私はこの家の広い縁側のあるクラシックな和風住宅の雰囲気が、昔からとても気に入っていました。このあたりは朝のラッシュ時は徐行運転が続くので、ゆっくり車窓を眺められるのです。なんだか電車の窓から家の中を覗いているようで申し訳ないのですが。残されたこの一角もまた立ち退きになってしまうのでしょうか。

この先、北池袋駅に向かって走っていくと埼京線の向こうにビルの工事現場が2カ所見えます。いずれも以前はセメント工場のあったところですが、いつの間にかいなくなってしまいました。イラストライターの南伸坊さんがイラストエッセイの『哲學的』(角川文庫刊、私の持っているのは昭和61年発行の第3版、今でも出ているのだろうか)の中の「生命論」という章で、南さんが小学校3・4年の頃、現在工事中であるところのかつてのセメント工場がまだ空き地だった頃、そこで野球をしている最中に東上線で人身事故があり、現場に残された足袋をはいたままの足をテーマに絶妙の小文を書いています。一読をお奨めします。

 

No.2 川越駅改装工事の思い出 (2000/9/15 記、2001/8/23写真・情報追加)

私が毎日利用している川越駅くらい、この10数年間の変遷が激しかった駅もないのでは。改築前の面影はほとんど残っていないといってよいでしょう。これは、東上線側だけでなくJRの川越駅も同様です。

改装前の川越駅は、東口と西口そして東上線・川越線ホームを結ぶ地下通路が1本、その地下通路のやや池袋寄りに東口と東上線・川越線ホームを結ぶ跨線橋がありました。この跨線橋は西口まではつながっていませんでしたが、改装工事の始まる前後に西口へ通じました。いずれにしても跨線橋自体はかなり新しい時代(昭和50年代だと思います)にできたもので、それまでは1本の地下道が西口と東口とホームを結ぶ唯一の通路でした。旧駅舎も東口のものはかなり古いもので、戦前のものを手直ししながら使っていました。西口駅舎は戦後のものでしょうがこぢんまりとした、なかなかいいデザインの駅舎でした。

ホームは、東口改札を入るとそこが上りホーム。川越市寄りのホーム端は踏切近くまで伸びていました。2番線・3番線(3番線は改装工事の始まる数年前に廃止)の下りホームは、上りホームと比べると100メートルくらい池袋方向にずれた位置になっていました。ホームの下り寄り突端に地下通路の階段がありました。この地下通路は改装工事に伴ってふさがれてしまいましたが、トンネル部分は埋められてしまったのか、それとも現在も人知れず線路の下の暗闇に閉じこめられているのか気になるところです。

この改装工事の行われた期間ははっきり記憶していませんが昭和60年(1985)ころから平成2年(1990)くらいまでの間だったと思います。ホーム・駅舎の全面改築と東口の再開発という大規模工事だったので、どういう順番で工事が進んだのか細かい記憶がありませんが、跨線橋が何度も架け替えられ、構内の通路が迷路のようだった記憶があります。ホームの改装は川越線が先行し、東上線のほうが追いかけて工事したような記憶があります。川越線も電化され、それまでのいかにもローカル線然とした川越線ホームも、改装後は都会のターミナル駅といった雰囲気になりました。川越駅の再開発の後を追うように西武線の本川越駅もこれまた原形をとどめないほどの大改装が行われ、それまで町の顔である駅がなんとなく古くさかった川越も、大いに面目を新たにしました。この2駅に比べると川越市駅だけがもうひとつパッとしません。こちらも最近少しずつ改良工事はされているようですが。 

▼追加情報と写真(下記の写真は2点ともKRさんのご提供によるものです。2001/8/23追加)

改装前の川越駅 下りホームから下り方向を見たもの。下り10000系急行が発車していく。まだアトレができていないので、上りホーム屋根上方に丸井の看板が望める。(c)KRさん

改装工事中の川越駅 下りホームの新河岸寄り突端から下り方向を見る。上り線路には前面改装型の8000系が発車中。橋上駅が建設中であることと、アトレの建物がすでに完成していることがわかる。改装前の下りホームは現在よりも新河岸寄りにあった。(c)KRさん

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