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鉄筋(1)
鉄筋とはコンクリーと共存して使われる鉄鋼材料で、圧縮力には強いが、引張力には弱いコンクリートと、引張力には強いが、錆びやすい欠点を持った鉄を組み合わせることで、コンクリーのアルカリ性が鉄の錆を防ぎ、圧縮力にも引張力にも強く寿命も長い、そして安価な構造体を作る材料です。今回はこの鉄筋について色々の観点から取り上げて見ます。
鉄のリサイクルの担い手
鉄鋼材料は、リサイクルの出来る材料で、紙の回収と同様に早くからリサイクルの流通経路が出来あがっていました。 しかしながら、最近の鉄鋼製品は、用途に応じた使いやすい製品を作り分ける技術が開発され、結果として厳格な成分管理が行なはれるようになりました。その為には不純物の入りやすいリサイクル材を原料とすることが難しくなりました。 一方では鉄の用途が拡大し、鉄屑としてリサイクルされる時に付随して付いてくるもの(不純物)が多様化し、再利用の妨げになるようになり、鉄屑は次第に主として鉄の強度を生かす用途に限られるようになりました。
鉄鋼材料の特性を表す代表的な値は強度と靭性ですが、その他切削性、低温靭性、耐食性、加工性、耐磨耗性等々の特性があり、それらを必要とする用途には、夫々の特性を作り分けることが出来ます。 その中にあって鉄筋用途は強度が主たる要求特性で、普通程度の靭性があれば事足ります。 そうしたことから、鉄筋は鉄屑を主原料としたリサイクル成品として現在の地歩を固めてきました。
鉄筋の中には、海砂対策としての耐塩性鉄筋とか、LNGタンク用の極低温用鉄筋と言ったような特殊な特性を要求される場合もありますが、この時には鉄屑を原料とせず、純度の高い高炉材が使われるのが普通です。
鉄鋼製造の基本技術による製造
鉄筋は最も代表的な普通鋼で、ごく一部の特殊用途を除き、鉄鋼製品の製造技術としては基本的な技術で作ります。(言いかえれば最もグレードの低い鋼で充分なのです) 要は鉄鋼製造の基本プロセスに沿って、鉄屑を溶解して成分調整を行い、固めた後ご存知の形状に圧延して出荷すれば事足ります。 したがって基本技術と基本設備さえあれば、生産が出来ることと、材料がリサイクルの鉄屑なので、地域立脚型の小規模の会社が乱立出来る潜在可能性を持っています。
製鋼技術(溶解と成分調整)の動向
溶解には主として電力を使います。 電力は非常に使いやすいエネルギー源ですが、最大の欠点は単価が高いことで、電気炉メーカーは使用電力の低減に知恵を絞っています。
大体1トンの鉄屑を溶かして成分調整をするのに400KWH程度の電力を使いますが、工夫すれば250KWH位まで減らすことが可能です。この工夫に各社知恵を絞っています。要は溶解に必要な温度までに使う熱エネルギーを電力以外の安価なエネルギー源に置き換える工夫です。 一番安いエネルギー源は電気炉から出てくる排ガスで、これを如何に徹底して活用するかについて、最近の新設備には工夫がこらされています。次いでオイル等の液体燃料(日本では気体燃料はコスト的に合わない)の吹き込みも行われています。 熱ロスを抑える為に電気炉の開口部も最近は少なくなってきました。
また家庭用電力にもあるように深夜電力の契約をすれば電力単価が安くなるので、夜間と休日だけ操業する会社も増えてきています。
頭で考えれば、電気炉に装入する材料を排ガスを通す煙道から連続的に投入すれば、排ガスの顕熱は徹底的に利用できそうに思えますし、実際にその考え方で作られた炉があります。 しかしながら鉄屑は形状材質の点で種々雑多なものが含まれており、加熱されて溶着したり、突っかかって動かなくなり、思ったようには稼動していないようです。鉄屑の選別と形状調整をすれば良いのでしょうがそれではコスト的に合わなくなります。また高温部に使う材料に良いものが無いことも問題なのでしょう。
更に、溶解と成分調整を分離して、電気炉で溶解した溶鋼を別の炉に移し変えて、成分調整をすることで、無駄な合金の投入防止と、能力増強による電力削減をする傾向にあります。
連続鋳造技術の動向
溶けた鉄を固めるには、連続鋳造が使われます。 鉄筋の圧延に使われる材料は小断面の材料が求められるので、連続鋳造設備もコンパクトなもので済み、要求される品質レベルも低いので、シンプルな装置です。連続鋳造は1960年ごろ日本に導入されました。 この基本技術を発展し実用化したのは日本の技術陣で、ついには日本が世界の連続鋳造技術をリードするようになりました。
当初の問題点は、製鋼能力に比べ生産能力が低く能力アンバランスになる、中心部に巣が出来たり不純物が集まる(偏析)、表面に欠陥が出来やすい、非金属介在物といわれるものが多い、安定して操業できないと言うようなことでした。
したがって。とてもこの技術の適用できる用途は限定されると思ったものでした。 しかし日本の高炉各社は、この技術の可能性に賭けて開発に取り組みました。 その過程において、設備メーカーとタイアップし、設備改善と操業改善を進め成功したのです。 長年におけるこの関係は、操業ノウハウが設備メーカーにも渡ってしまうことになりました。
片や、鉄筋用の連続鋳造設備は上記諸問題の内、安定操業と表面欠陥防止が図られれば実用になります。 この問題は連続鋳造の基本問題で高炉メーカーの最初に取り組んだ問題でもありました。 高炉メーカーの開発の成果は当然のことながら設備メーカーも持つようになり、設備メーカーに設備を発注さえすれば、歩留まり向上、要員合理化、工程簡素化などのメリットを享受できます。 このメリットは素晴らしく大きいので、電炉各社は競って連続鋳造を採用するようになりました。
鉄筋製造用の連続鋳造設備は、鋼種も限定され、サイズも単一で余計な機能は付けず(したがって価格も安く出来る)シンプルなものですが、その反面、操業上の改善な大幅には期待できません。 むしろ、使いっぱなして、老朽化すれば新設備と入れかえるという考えが主体でした。 そうすることにより、その間に開発された新技術を適用でき、競争力が増します。 バブル崩壊後各社はこの考え方で設備更新をし、高速鋳造の新鋭機が稼動しています。(当然能力も増大しました)
圧延技術の動向
鉄筋棒鋼の圧延は、丸棒を圧延する方法と同じで、最後に凹凸のついたロールを使えば異形棒鋼(鉄筋)が作れます。 鉄筋棒鋼としてJISに定められているサイズは6mmから51mmまでですが、同一の圧延機でこのフルサイズを圧延することは不経済で、圧延機を使い分けます。一般に棒鋼とか線材とか鋼管の製造設備の経済的製造範囲は最小サイズの約3倍が最大サイズになります。 したがってベースサイズミルといわれる圧延設備は13mmから51mmを製造し、細物ミルは6mmから11mmを製造し、住み分けが出来ていました。
所が後で述べますが、阪神大震災後細物が使われる補助筋の重要性が再認識され細物需要が増加し(本来需要が増加するのはバン万歳なのですが)細物を使う補助筋の作り方が合理化され始め、直棒の鉄筋からコイル状の鉄筋にシフトが始まりました。 需要減退も重なり、細物メーカーはベースサイズの中の下の方のサイズに進出し始め、マーケットの混乱を助長しています。
圧延設備は国内ほぼ全てのミルが、高能率の全連続式ミルになっています。全連続式とは言いかえれば、相当早い速度で圧延しなければ圧延途中で鋼材の温度が低下してしまうので速度が速く、言いかえれば設備能力が増加することになります。 旧式のミルとではコストが圧倒的に違うので、この全連続式化は時代の趨勢なのですが、バブルの利益を設備の近代化に投資した結果、大変な余剰能力が出来てしまいました。 こうして圧延設備が同一ラインに並んだ現在では、競争力は加熱原単位、歩留原単位、切断の仕方位しか差の出る所は無く、これらの点に各社知恵の出し合いをしています。
加熱での省エネルギーの最たるものは、連続鋳造で出てきた高温の鋳片をそのまま圧延に使う或は補助的に加熱して使う方法です。この方法は製鋼から圧延までの全ての工程で故障があると全ラインが停止し、連続鋳造のように鋳造の中断は極めて難しいので、設備の信頼性が高くないと採用できません。 でも果敢にこの方法にチャレンジしているミルも数社あり、他社も出来るだけ鋳造の熱を活用する工夫をしています。
圧延歩留は材料重量と成品重量に比率ですが、本来加熱炉での酸化減量、圧延中の鋼材先端の切り捨て、切り揃え時の切り捨てなどで100%を超えることはないのですが、国内全ミルとも100%を越えています。 これは鉄筋の製品単量(Kg/m)がサイズ毎にJISで決められており、その許容範囲内で軽く作る(同じ材料から長く作る)ためです。(業界では薄引きという) 成品の断面積は加熱温度(と言うより圧延時の鋼材温度)やロールスタンドの剛性などによりわずかに変化します。この変化の中で最小の断面積でも許容範囲内に収まるように狙い値を小さくしているわけです。 細引きを非難する人もいますが、圧延技術屋の私は規格がある以上、その範囲で最善をつくすのは当然のことと思っています。 絶対に細引きをしては困る用途の場合には許容範囲としてマイナスを認めなければ良いわけで、現にそのようにしている規格もあります。
切断の仕方に付いては後にも触れますが、日本では鉄筋の長さは500mm刻みの長さで流通します。この為に各ミルでは切断後の長さ別の集荷装置を設け切り分けています。一見ロスの少ない合理性のある方法のように見えますが、設備が大きくなり複雑になり出荷まで複雑になっています。 この切断の仕方に工夫を凝らせば競争力が増すことになります。
東南アジアでは単長が決められており(12mとか)切断ラインがすっきりしています。見えない所で国全体では大きなロスが出ているのですが、不合理とアナウンスする人がいないのが現状です。
990204掲載
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