あくまでもこれらのレビューは個人的意見なので、怒らないでね!(^^;
また、皆さんのご意見をお待ちしています。
新曲2曲(「There By The Grace of God」「Door To The River」)を含む、マニックス初のベスト盤である。当然ながらデビュー時に「1枚アルバムを作って解散する」を実現していたら到底かなわなかった企画である。マニックスのシングル曲はチャートを意識してかアルバムのイメージに必ずしも沿っていないポップ寄りの曲が多く、したがってピンとこない曲も多々あるのだが、通して聴くとマニックスのやってきたことは最初から殆ど変わっていなかったことに驚くであろう。どんなに攻撃性や敵意をむき出しにした内容の曲でも、その根底に流れているのは叙情的でメランコリックなメロディーであって、これがマニックスを過激さだけを売りにする無数の自称パンクバンドと一線を画す点である。できれば音楽性の変遷がより明確にわかるように年代順に並べてほしかったがそれは同名のDVDのほうにゆずろう。CD2のリミックス集はコーネリアスやケミカル・ブラザーズなど著名なアーティストによるリミックスが並び、どの作品もマニックスの曲の持つポップス感覚を独自の方法で引き出している。
マニックスは攻撃的な作品とメロウな作品を交互に出す傾向があるが本作はリリース前から「Elegiacなアルバムになる」と言われていた通り、実験的で攻撃的かつバラエティーに富んだ前作とは打って変わって「IF YOU TOLERATE〜」を髣髴とさせる流麗で洗練を極めつくしたようなアルバム。メンバーが多感な思春期の時に聞いて育った80年代ニューウェイブ(ザ・スミス、ニュー・オーダー、U2など)の影響が随所に現れており、曲を聴くたびに「あ、これまんまエッジのギターじゃん」とにやりとしてしまう管理人のようなオールドファンも多いのではないだろうか(個人的には「The Unforgettable Fire」〜「Joshua Tree」頃のU2の作風を髣髴とさせる曲が多いと思った)。全体的に外に向かって何かを主張するというよりはメンバー自身がリラックスして楽しんで作った感があり、そこが「地味」と評される所以かもしれない。さらにアルバム自体の統一感が高いゆえに、一曲一曲の個性が埋没しており、「何だかだらだら聞いているうちに終わっちゃった」という印象があるのは否めない。現在30代後半になるであろうUKロックファンならお気に入りのアルバムになると思うが80年代にはまだ生まれてないよという人でもマニックスお得意のポップで洗練されたメロディーは充分魅力的だと思う。ただしここで聴かれるマニックスは「Everthing〜」以降の路線の踏襲であり、本作にてリッチーの影は完全に払拭されたように思われる。そこがこのアルバムの全体を支配する「透明な虚無感」なのかもしれない。