研究日誌

2005年
3月2日
『怪奇日蝕』解説と「山手線知す」

式貴士の著作は、角川書店から7冊目の『怪奇日蝕』まで文庫化されています(現在は絶版)。そのうち解説がついているのは、「長いあとがき」がカットされた『連想トンネル』『虹のジプシー』『吸魂鬼』『怪奇日蝕』の4冊です。

『怪奇日蝕』の解説は長谷邦夫氏でした。長谷氏は昭和12年生まれで、式氏より4つ年下。トキワ荘のメンバーで、貸本漫画を執筆した後に赤塚不二夫のフジオ・プロに所属して、赤塚氏のギャグマンガのブレーンを長く務めていた方です。活字の書籍も多数あります

長谷氏の解説は、自作「山手線死す」(「SFアドベンチャー」1980年9月号掲載)の説明から始まります。狂気じみた鉄道マニアが、自らの体を犠牲にして、内臓を山手線の駅になぞらえた肉のジオラマを作ってしまうという内容で、式ファンなら「東城線見聞録」「ヘッドワイフ」辺りを思い出すグロテスクな短篇です。掲載誌を入手して、最近読みましたが確かに読後感は式貴士に近く、非常に面白かったです。

長谷氏は式貴士と同じく、大家のサポート、漫画、小説、ノンフィクション、雑誌編集、作詞等々多彩な活動をされています。そんな2人が同時期に、似た傾向のSFを書いたというのは興味深い偶然だと思いました。プロパーのSF作家ではなかったからこそ、当時の日本SFに不満を感じ、「なんでもあり」なグロテスク作品をあえて書いたのではないでしょうか。

しかし残念なことに、2人とも外様のSF作家ということで、日本のSFとしては、ほとんど認知されていません。式貴士はともあれ単行本化されていますが、長谷氏のSFは本にすらなっていません。

式貴士絡みで取材していて、「『SFバカ本』(註:岬兄悟・大原まり子氏らによるSFアンソロジー)みたいな作品が出ている今の方が、式作品はもっと受けるのではないか」という声を何度か聞きました。長谷氏の小説も何かしらの形で今の読者が読めるようになると良いのですが……。このサイトをみると、長谷氏には「埼玉県沈没」という作品もあるようで、これも非常に気になります。他の作品も今度探して読んでみようと思います。

参考・関連書籍
長谷邦夫氏のサイト「漫画大学」
 貴重な漫画の画像、テキストが満載です。

翻訳アンソロジー/雑誌リスト
 とても充実したデータベースです。式貴士の項目もあります。

『漫画に愛を叫んだ男たち』(長谷邦夫) AMAZON
長谷氏の半自伝小説。赤塚不二夫氏との出会いと訣別がその主な内容ですが、当時の様々なカルチャーの話題も満載で、漫画好きでなくても面白く読めます。『なんでもあり』『天・虫・花』『アイスベイビー』の表紙画を描いたタイガー立石氏の名前も出てきます。

『パロディ漫画大全』(長谷邦夫) AMAZON
「ねじ式」(つげ義春)のパロディ「バカ式」を始めとする、60〜70年代の漫画、小説、時事をパロディ漫画として描いた作品集。パロディ漫画の嚆矢にして決定版です。4000円とちょっと高いですが、ボリューム満点の「なんでもあり」な作品群は値段分の価値が充分にあります。巻末に編集家の竹熊健太郎氏との対談もあり。

1月24日
『虹のジプシー』と『マインド・ゲーム』の共通点


昨年夏に公開されてすでにDVDにもなっていますが、劇場アニメ『マインド・ゲーム』は、ここ数年間に観た映画の中で、とても印象深いものでした。

ストーリーは、モラトリアムな生活を送る主人公の男がひょんなことから、借金取りのヤクザに追われる幼馴染の初恋の人に出会い、一度はヤクザによって殺されてしまうのだけれど、なぜかあの世で神様と会うことで生き返り、さあこれからは前向きに生きていこうと決心した矢先に、今度はクジラの腹の中に飲み込まれ……となかなか一言では説明出来ませんので、詳細は公式HPをご覧になって下さい。

ハイテンションで色彩豊かな映像、これぞアニメという生き生きと動き回る登場人物たち、吉本興業の芸人らが演じるネイティブ関西弁の魅力、映画の冒頭と終わりに走馬灯のように流れるイメージシーンの圧倒的な迫力等々見所は多く、観ると元気になる映画です。

そんな『マインド・ゲーム』ですが、私はこの映画が式貴士の『虹のジプシー』と非常に似ていることに気がつきました。例えば以下のような点です。

1、主人公が冒頭で死に、あの世で神様のような存在と出会うことで、これまでの生き方を変えようと決心し、転生する。
2、世界には色々な可能性がありうるという、パラレルワールドなストーリー構造。
3、エロ、グロ、ナンセンスの入り混じった「なんでもあり」の世界観。
4、「生命賛歌」の物語で、主人公のビルディング・ロマン(教養小説)でもある。

特に、4が、両作品が根源的なところで似ているなと感じたところです。『虹のジプシー』では若い頃の式貴士の分身である厭世観あふれた主人公が、『マインド・ゲーム』では原作漫画の作者、ロビン西の分身である西という主人公が、ある大きな存在と触れ合うことによってポジティブに生きることを決意し、一気に駆け抜けていく。どちらもエンディングは非常に爽やかです。

式貴士は『虹のジプシー』のあとがきで、この作品は自分の心の遍歴をあらわしたものだと書いています。おそらく、『マインド・ゲーム』の原作者にとってもそうだったのでしょう。『虹のジプシー』を読んだ方は、ぜひ『マインド・ゲーム』も観て(読んで)みて下さい。

映画『マインド・ゲーム』(湯浅政明監督) AMAZON
原作漫画『マインド・ゲーム』(ロビン西・著) AMAZON
電子書籍 『虹のジプシー』(式貴士・著)

2004年
12月13日
『ライトノベル☆めった斬り』(大森望・三村美衣・著、太田出版)を読みました。式貴士の話題とは関係なさそうですが、この本は1970年頃から現在までの日本SFの裏面史としても読めるので、直接式貴士の名前は出ないものの大いに参考となる良書でした。ライトノベルの歴史というより、日本のSF史の傍流だったジュブナイルがいつの間にか本流となってしまった過程を読み解くことが主な内容となっています。新井素子などに絡めて、式貴士のデビュー雑誌『奇想天外』や編集長を務めた曽根忠穂氏(脚注のトリビアが面白い)の話題が出てきたりして、式貴士がデビューした頃の小説界の雰囲気を伺うことが出来ます。

現在、推理小説の歴史を扱った本は多数ありますが、日本のSFの歴史について書かれた本は、残念ながらあまりありません。そうしたなか、こうした本は大変貴重な存在だなと思いました。ジャンルを更生させるには、過去の歴史について知るということも必要です。ぜひ著者のお二人には、いつか『日本SFめった斬り』を執筆していただきたいです。

PS 以下余談として私が「?」と思ったところを。本書では『ロードス島戦記』を「TRPGを元にした生まれた割と正統派のファンタジー」、『スレイヤーズ!』を「ドラクエなどのファミコンRPGのお約束を元にしたキャラクター小説」と分類されていますが、ちょっと『スレイヤーズ!』の解説には疑問を感じました。果たして、『スレイヤーズ!』をファミコンRPGのお約束を元にした小説といって良いのでしょうか?

本書では、『スレイヤーズ!』では呪文名が「ファイア」などゲームでお馴染みの名前だったり、呪文を使える回数を数値化されているからテレビゲーム的だと評していますが、これはそっくりTRPGにも当てはまります。そもそも本書のあらすじをみても、『スレイヤーズ!』では「ファイアボール」と唱えていますが、これはTPRGの『ソードワールドRPG』でも同じ名称です。

私の印象では、『スレイヤーズ!』はTRPGプレイの軽いノリを生かした小説で(当時、『スレイヤーズ!』のようなTRPGプレイをした人は多かったはず)、むしろ『ロードス島戦記』の真面目でオーソドックスな物語の方がドラクエ的だったのではないかと。それこそが、『ロードス島戦記』がベストセラーになった理由の一つだったのではないでしょうか。とはいえ、この感想は当時この手の小説とTRPGを少しかじった程度の人間のもので、今では大分あやふやな記憶になっていますから、もっと詳しい方の意見をぜひお聴きしたいところです。


9月9日
著作年譜にも加えた『奏 秘悶の女・日本性愛小説大全』(永田守弘編・徳間文庫)を読み終えました。とても面白かったです。アンソロジーは自分好みの何篇かしか面白くないということが多いのですが、この本にはつまらない作品は一つもありませんでした。

冒頭の『黒い鴉』が「群像」掲載作品ということもあって、ポルノというより純文学のような味わいだったり、『不貞の季節』は団鬼六自身の自叙的な作品だったり(しかし、抜群に面白い!)しますが、他は正真正銘のポルノ作品です。「本の雑誌」辺りで噂だけは聞いたことのある宇野鴻一郎も初めて読みましたが、この能天気ぶりには驚きました。夫の同僚に犯されるという話が、こんなにユーモラスな作品になるとは。他の作品も、作者ならではの特色があらわれていて面白いです。

また、ほぼ和姦が成立している作品がほとんどだったのが意外でした。強姦といって良い作品は、濡木痴夢男、千草忠夫、蘭光生の作品位。その中でも蘭作品のヒロインの救われなさは作品中一番だといって良いでしょう。他の蘭作品のヒロインに比べればまだ良い方ではありますが……。

式貴士ファンで「蘭光生はちょっと……」と思っている方にはこの文庫がオススメです。フランス書院文庫やマドンナメイト文庫を買うよりはずっと抵抗はないでしょうし、ポルノ小説入門編として最適な一冊だと思います。最後に、徳間書店HPやネット書店には作品データが掲載されていないので以下にあげておきます。

『奏 秘悶の女・日本性愛小説大全』 bk1/amazon
・黒い鴉(田村泰次郎)
・快感に憑かれた人妻(北原武夫)
・牝狩り金狼(濡木痴夢男)
・不貞の季節(団鬼六)
・淫美夫人(千草忠夫)
淫虐教室(蘭光生)『肉刑』(フランス書院文庫)所収
・もう、いや(川上宗薫)
・情事の電車(泉大八)
・天狗の舌(富島健夫)
・尼僧のユニフォーム(赤松光夫)
・真昼の裸身(松本孝)
・内助の功(宇野鴻一郎)
・クリスマスの誘惑(阿部牧郎)
・処女OL(豊田行二)


7月19日
『日本現代小説大事典』(明治書院)を書店で見かけました。
http://www.meijishoin.co.jp/search/detail.php?book_id=1525
タイトルの通り現代の小説を重視した内容で、現役で活躍している作家や、この手の事典では無視されがちな、SF、ジュブナイル系の作家・作品も積極的に取り上げようというコンセプトの事典です。

2万円近くもする大変高価な本で、かつ非常に大きな本なので、図書館・大学向けの本だとは思いますが、ちょっと気になることがありました。もしかしたら式貴士も紹介されているかも、という期待です。妄想といっていいかもしれません。

で、作者別索引をパラパラと眺めていたら、なんと式貴士の項目が! 「カンタン刑」が取り上げられていました。驚きですね。こういう事典に取り上げられているのは嬉しいです。これまで、式貴士の名前が少しでも出ている本・雑誌は必ず買うようにしていましたが、この本はどうしたものか。さすがに今日は買いませんでしたが、いずれは買うことになるかもしれません・・・。

しかし、気になったことが一つありました。式貴士の紹介文に、<創刊当初の「SFマガジン」で執筆した>(立ち読みですので、若干ニュアンスは違っているかもしれません)という記述があったことです。

私の知る限り、式貴士(間羊太郎)が「SFマガジン」に執筆した事実はありません。実は、以前ある方に全く同じことを教えていただいたことがあって、調べたことがありました。その時はインデックスと一部現物を当たっただけなので、絶対にないとは言い切れませんが、まず間違いないと思います。

ちなみに、この紹介文を書かれたのはミステリー評論家の並木士郎さんという方です。式貴士が取り上げられただけで嬉しいですし、ケチをつける訳ではないのですが、「SFマガジン」に執筆したことがあるというソースをどこから得られたのか非常に気になります。

2001年
1月6日
遅れましたが、当サイトを御覧頂いている皆様、あけましておめでとうございます。この度やっとことさHPを改装しました。大きな違いは以下の通りです。

まずは、式貴士入門コーナーの新設。式貴士のことを知らない人はまずこちらを読んでいただきたいです。これまで何人かの知り合いに、このサイトを見てもらったのですが、「知らない作家なのでチンプンカンプン」との感想が多かったので、何とかしないとと思いつつこれまで何もコンテンツを作らないでいました。これで式貴士を知らない人にも少しはこのサイトを楽しんでもらえるのではないでしょうか?

次に、著作年譜を式貴士名義での作家活動を中心に四つに分けて幾つか解説を加えたこと。これで大分見易くなったと思います。今後もデータや解説を順次更新していく予定です。

最後に掲示板の撤廃。幾人かの未知の方に書き込んでいただいたものの、ずっとさびれた掲示板をさらすのも何ですし、私自身があまり掲示板に書き込まない人間なので、代りに「虹星人通信」と銘打ってメールマガジンを始めようと現在準備中です。式貴士ファンとの交流もこちらで出来たらと思います。もっともこちらもいつになるか分かりませんが……。

他は少しデザインを見易くした程度でこれまでと変わりません。まだまだ未熟な出来だとは思いますが、何かご意見ご感想ありましたらメールで感想いただければ有り難いです。

2000年
10月30日
 〜「江戸川乱歩全集 恐怖怪奇人間」鑑賞レポート〜

 雨にも関わらず大勢の人が訪れ、一種異様な熱気の中オールナイトは夜10時30分より始まりました。ちなみに他に上映された映画は上映順に「幻の湖」「マタンゴ」「緯度0大作戦」、早朝最後に「恐怖〜」という構成。

 「恐怖〜」以外は対して期待していなかったのですが、「幻の湖」があまりに衝撃的でした。筋を簡単には説明出来ませんが、黒澤明のカラー映画なみのスケールで描いた、マラソンが趣味の風俗嬢を主人公にした伝奇SFといって説明になっているのかどうか。ビデオにはなってませんので、脚本・監督の橋本忍による同名の原作本(かなり映画に忠実です)を興味のある向きには是非探してみて下さい。世間的には、底抜け爆笑映画と見られているようですが、私も幾つかのシーンでは笑ってしまったものの、心動かされるところが数多くあり、忘れられない映画となりました。

 閑話休題、「恐怖〜」の感想ですが乱歩作品のおどろおどろさ、淫靡さがうまく描かれていたと思います。原作に忠実でないのに何故か原作の江戸川乱歩の雰囲気を最も伝えていて、作風は全く違いますが観ながら「ブレードランナー」を思い出しました。
 おそらくこの映画をカルト映画たらしめているのは、後半に登場する暗黒舞踏団の土方巽の怪演と、ラストの人間花火のシーンで、これを観て人に薦めたくなる気持が良く分かりました。今の映画にはない荒々しい迫力が満載です。
 結局、式貴士関与の情報は分からなかったのですが、おそらく今年一番印象に残る映画鑑賞でした。
 
 最後に余談ですが、この映画祭で唯一不快だったのが、ハナから映画を笑い飛ばす目的できて、上映中これみよがしに笑っている人達がいたことです。「幻の湖」の時は殊にひどくオープニングのスタッフコールから失笑、嘲笑している人達がいました。色々な映画の観方はあるのかもしれませんが、個人的には腹立たしく悲しかったです。

10月28日
 チネチッタ川崎での映画祭でかかる「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」というカルト映画を29日オールナイトで見にいく予定です。ソフト化されていない、さる筋では有名な映画らしいのですが、これに式貴士(間羊太郎)が関わっているという話を確かめに行くのが大きな目的です。勿論映画自体もとても楽しみですが。無事観れたら、詳しく研究日記で報告します。

9月30日
 つくづく自分は日記を書くのに向いていないと思う。こつこつやり続けるのが苦手で今まで続いたことがない。この日記も続くだろうかと思いつつ、どのサイトを見ても日記のコンテンツがあるし、やはり手軽に更新しやすいと思って始めてみたがもう限界だとさとった。
 前回15日の日記も、原稿が手に入った直後にかけば日記の意味をなすだろうが、1ヶ月遅れじゃまるで意味がない。今回書くのにも、時間のずれがあって書きづらくてしょうがなかった。

 書きながら、式貴士についてどの程度説明しながら書けば良いのか迷ってしまうし、日記という形式では却って更新が遅れてしまうとつくづく考えなおしましたので、とりあえず、日誌はこれで最後にさせていただきます。
 今後は、コラム・エッセイ風にリニューアルし、日記はリアルタイムでお知らせしたいことがある時のみ復活します。

追記
 8月に予告した同人誌は未だ頓挫したままです。いづれ作りたいと思います。

9月15日(9月30日アップ)
 以前の日記に書いていた、ワセミス時代の同人誌の原稿が見つかった。
 「虹のジプシー」のあとがきを読んでからずっと読みたいと思っていた、ワセミスSF同人誌「アステロイド」に掲載された幻の「虹のジプシー」を8月下旬に送っていただいたのだ。

 送っていただいたそもそものキッカケは、ワセミス出身の新保博久さんにお会いして式貴士のお話を伺った際に、当時「アステロイド」を創刊した編集長、西田恒久さんを紹介していたことに始まる。ワセダミステリクラブは、創設以来の歴史を非常に細かく記念号等の機関誌に記録しているので、ワセミス関係者の方にお聞きすればすぐに現物を見せていただけるのでは、と思っていたのだが、意外と現物は保管されていないものも多いそうだ。それでご本人にお願いする運びとなった。
 まさか当時の関係者ご本人にお会いでき、お願いすることになるとは思っていなかったが、西田さんご本人からは現物は倉庫の奥深くにしまって、たぶんあるとは思うのだけど……とのお返事で、見つかったら連絡いただけることになっていたのだ。

 見つかったのは、「アステロイド」2号(1962年4月1日発行)だけだったのだが、1号に関してはなんと生原稿が見つかったので「アステロイド版・虹のジプシー」の全て読むことが出来た(注:「アステロイド」は2号まで発行とのこと)。で、感想なのだが、読むのがもったいなくて正直まだ全てをじっくり読めていない。いずれ感想は詳しく記したいし、何らかの形で他の人にも読んでいただけるように出来たらと思う。
 
 また、連載原稿以外にも、当時西田さん宛に書いた「虹のジプシー」のPR文も同封していただいた。それによると、3部構成で連載3回で完結する予定だったららしい。
 しかし、連載は2回で終っているので勿論完結しておらず、第2回連載に関してはPR文と違った副題がついており、ざっと読んだ感じでは第1回連載とも若干内容に繋がりがなくなっているようだ。
 ともあれ、ほとんど小説を読み返さない私にとって数少ない例外「虹のジプシー」の原形を読むことが出来て本当に嬉しい。西田さん、本当に有難うございました。

8月4日
 8月1日にカウンターを設置したところ、4日現在、1日10弱づつ増えていることが分かった(ただ、更新ボタンを押すと無制限に増えたり、自分の閲覧もカウントされてしまうので正確なことは分からないが)。また、全く未知の方二人が掲示板に書き込んでくれもした。本当に有り難い。

 HPを見て下さる方がいるのが分かったので、後はどんどん充実させていかなければと思うのだけれど、日記の日付を見れば分かるとおり2週間近く更新が滞っている。人のHPを見る時は、最低一週間に一度は何かが更新されていて欲しいものだと思っていたのだが、いざ自分が作るとなるとなかなかそうはいかない。毎日のように更新している人は本当に偉いと、今になってつくづく思う。

 今回リンクを幾つか増やしたのだが、その中の電子書店「パピルス」を改めて見たところ驚いた。式作品のほとんどが売られているのだ(角川文庫版の「カンタン刑」・「イースター菌」・「連想トンネル」・「虹のジプシー」「吸魂鬼」「怪奇日蝕」「ヘッド・ワイフ」、出版芸術社の「鉄輪の舞」)。
 数年前見た時は、確か「カンタン刑」、「イースター菌」しかなかったと思う。余程好評なのか、担当者が個人的に熱心なのか分からないがとても嬉しい。書籍という形ではないが、ほとんどの式作品がいつでも読めるのだ。ただ、500円前後と書籍と変わらない価格である点、解説や著作リスト等、版権の都合であろうが含まれていない点、と欠点もあるが、未読の方でどうしても本が見つからない方はこちらから是非。

 しかし、これでますます式作品の復刻は難しくなった。実質7作品集が今でも手に入る以上、そこからの採録は避けたい。すると、残り3冊「なんでもあり」「天・虫・花」「アイス・ベイビー」からセレクト+単行本未収録作品となる。既に式貴士ファンの人にとっては、文庫化されていない3冊を探している人が多く、古本屋でもその3冊以外はあまり稀少本としては扱われている以上、それが理想だろう。
 だが、そうすると今回の復刻で式貴士を知る人はどうなるのか? 後期の3冊は、それぞれ非常にアクの強い作品集で、すでに式作品を知る人でないと楽しめないものが多い。もっとハッキリいうと、客観的には著者のパワーの落ちた作品群とも言える。既に式作品を知らない人が読んでも、おそらく魅力を感じることは少ないだろう。それなら、重複を覚悟して、全ての作品集からバランス良く作品を選ぶ方が良い。
 要は、初心者向けにするかマニアックにするかという問題なのだが、初心者向けは既に「鉄輪の舞」があるのだから、やるならやはり後期3冊からセレクトが理想だろう。出来れば、3冊をそのまま復刻して、おまけとして未収録短篇を付けたいがそれは無理だろう。「パピレス」が残り3冊も商品化してくれれば、出版芸術社からの復刻はやめて我々がマニアックな私家版を作れば良いだけの話なのだが、全く悩ましい。
 一番の理想は、最近日本SFを次々と復刻しているハルキ文庫が10冊の作品集全てを復刻してくれることなのだが……まず無理だろう。SFを知らない人にとっては小松左京も式貴士も知名度は変わらない訳で、それなら式貴士の短篇の方が、今読んでも新しいものを持っているのではないかと個人的には思っているのだけれど。

 今月13日のコミケ(夏・冬に行われる大規模な同人誌即売会。一応年配の方の為に)に友人のブースで参加することにし、式貴士に関する同人誌を発行しようと思っている。
 今回は時間がないので、このHPにもある著述年譜に解説を付けたもの、石川誠壱さんのコラム、私の式貴士に関する取材日記、程度を載せた準備号のようなものになる予定だが、既に期限は10日を切っている。今思い出しだが、石川さんにも会って以来まだ連絡を取っていない。
 こんな状態なので、もう少し日が迫らない出るか出ないか分かりませんが、13日コミケに参加される方、来ていただければ有り難いです。場所は、東館・L21b「サブカル堂」です。

7月16日
 年譜のデータ、主にワセダミステリクラブ同人誌時代を中心に更新する。これらはワセダミステリクラブのOBの方々のご協力をいただいております。ありがとうございます。
 ただ残念ながら、現物は体系だって保管されてはいないそうだ。現存は、当時の部員が今も保存しているかどうかにかかっているということで、お願いしてわざわざ何人かのOBの方に探していただいている。式貴士研究抜きに考えても、日本のミステリーの歴史の貴重な資料であるので、是非とも現存していて欲しいと思う。

 石川さんから聞いた話で書き忘れていたことがあった。
 数年前の「世にも奇妙な物語」(タモリがナビゲーターのフジテレビのオムニバスドラマ。念の為)で、式貴士の短篇「カンタン刑」に良く似た話(悪く言えばパクリ)があったそうだ。オチまで一緒だったそうで、ほぼ間違いなく確信犯らしい。これは是非見てみたい。
 三上博史が主演だったということにしか手がかりはないのだが、放映データ等ご存知の方いましたら是非ご一報下さい。

7月11日
 式貴士と私(仮)を作ったライターの石川誠壱さんと高田馬場で会う。
 石川さんとは、今年の3月、石川さんのサイトを見た私がメールを出したのが縁で何回か式貴士に関するやり取りを交していた。その中で、私の「式貴士の同人誌を作ろう」との提案に石川さんが乗って下さって、今日はその編集会議兼初顔合わせ。
 初対面ながら、メールで相方ともかなりの式貴士好きなのは了解済みなので、始めからディープな式貴士話に花が咲く。私は式貴士に関する今までの取材活動の話をざっとし、石川さんからは蘭光生の新刊について書いた雑誌原稿を見せてもらう。

 石川さんは近田春夫氏のファンで、石川さんが高校の時、近田氏が書いた書評で式貴士を知ったのだという(ちなみに、「天・虫・花」のあとがきで、式氏もその書評に触れている)。そして、単行本に付いていたアンケート葉書を式氏の自宅宛に送ったところ、氏から電話がかかってきてビックリしたそうだ。普通作家から読者に電話するということはまずないだろう。遅れてきた式貴士ファンの私としては、何とも羨ましい話である。
 そして2年ほど前、石川さんが近田春夫氏の研究サイトを作る際、式氏の事も思いだし、ネットを探してみたが誰も作っている人がいない。じゃあ作ろうということで、とりあえず「仮」のまま手持ちの蔵書でリストを作ったのが「式貴士と私(仮)」だそうだ。

 肝心の同人誌は、幸い私の友人が夏のコミケに受かっていたので、そこに便乗して創刊準備号を出すことにし、内容を話し合う。今回は旗揚げ宣言ということで、このHPにも載せている式貴士著作年譜の他にお互いちょっとした文章を載せるということで落ち着く。本当は、単行本未収録の復刻(勿論、遺族の了解が得られればだが)も入れての本格的にやりたいのが今回は時間がない。
 最終的には式貴士の全「長いあとがき」をまとめるのを目標にしましょう、と石川さんが言う。私も大賛成だ。そもそも私自身、式貴士の著作に「長いあとがき」がなかったらこんなサイトは作ってないだろう。それ位、氏の「あとがき」は面白い。式貴士本人も「あとがき」の中で、一冊にまとめたいと書いているし、是非実現させたいと思う。

7月10日
 著作年譜に、「極道辻説法」の初出を調べたところまでアップする。こんなデータは果たして必要なのかとも思うのだけれど、どちらにしろ当時の「週プレ」は調べなければならないのだから、そのついでに調べている。しかし、この調子で70年代の「週刊少年マガジン」で連載された「変な学校」なども調べていくとすると先が思いやられる……。

 このサイトを見る人が式貴士のことをどれだけ知っているのだろうかと思いながら、このサイトを更新している。当時の式貴士ファンなら、当然「長いあとがき」を読んでいるであろうため、かなり深いところまで内容を分かってもらえるだろうが、氏をまったく知らない人にはこの日記などチンプンカンプンだろう。
 間名義での代表作「ミステリ百科事典」は(おそらく)絶版、式名義の作品群は日本SF界では傍流、ウラヌス星風の占いはまとまった形で本になっておらず、蘭光生のポルノはその性質上なかなか形には残らない(例外は団鬼六氏位ではないか)、等々全ての分野において独自な地位を築いてはいるのだが、一まとめの仕事としては評価しづらい。これだという中心の仕事がない人なのだ。だから、中々再評価には繋がらない。
 式貴士を知らない人にも楽しんでもらえるように、式貴士入門のようなページを近日中に作らなければ。

7月9日
 ワセダミステリクラブOB会よりリンク張っていただく。同時に、急いでサイトを手直しし、何とか見てもらえる程度のものにする。今までは、テスト的にアップしたものだったので、既に見ていただいた方には申し訳ない思いでいっぱいです。やっと見てもらえる程度の出来になりました。

 著作年譜には、「週刊プレイボーイ」で連載された「占星予言インタビュー」を追加。
 懐かしの芸能人の歴々(もちろん、今でも活躍中の人も多い)と占星仮面扮するウラヌス星風が対談している。特筆すべきは、会話の端々で氏に関する話が出てくることで、氏が医学部出身であることを初めて知った。
 早稲田大学大学院へ編入する前、氏が千葉大学に在籍していたことは知っていた。てっきり早稲田と同じ文学部だと思っていたのだが、医学部に嫌気がさして編入したらしい。医学部は卒業したのか、そもそも大学を卒業しないまま大学院に編入できるのかは不明だが、これは大きな発見だった。

 ちなみに、雑誌の多くは国会図書館に通って検索しているのだが、そこで雑誌の多くは製本されている。一回申し込むことで、何冊か分借りられるのは有り難いのだが、コピーする時困る。製本の都合上、真ん中の部分がコピー出来ないのだ。少しのコピーなら後でコピーに出ない部分をメモすれば良いのだが、「占星予言」の連載は29回もあるので、泣く泣くコピーは諦めて帰ってきた。
 大宅文庫なら製本していないので問題ないのだがコピー代が高い(大宅文庫130円。国会図書館30円)。どうしたら良いものか。

7月1日
 いよいよホームページ公開。私の技術不足で、あまりにシンプルなページになってしまった。これはこれで軽くて良いが追ってもう少し見栄えの良いものにしなければ。

 このサイトで、何人の人達が喜んでいただけるか分かりませんが、少しでも式貴士ファンの人達が集うキッカケになればと思います。ネットを回っていると、ちょくちょく式貴士の名前を見ることもあるので、昔ながらのファンは根強くいると確信しているのですが……。このサイトを見ている、式貴士ファンの方々のリアクションを期待しています。