第2回
【焼肉パワーで夏を乗り切れ!】
さあ、夏だ。
夏といえば焼肉だ。
汗にまみれながら炭火で肉をあぶり、冷たいビールを流し込む。
スタミナ回復でこれに勝るものなしだ。
そんなのは元気な若い者しかできないなんていうなかれ。
年を取ったら、ますます肉を食べろと主張する先生もいるくらいなのだから。
今回はそんな焼肉の特集だ!
〜焼肉の栄養学〜
「肉類の栄養素は約2割を占めるタンパク質がメーンなんです。
タンパク質は約20種類のアミノ酸から構成され、うち8種の必須アミノ酸は体内で合成できません。
そのため、食物から適度に摂取するしかないんです」
(岡戸料理学園・岡戸キクエ園長)
筋肉、内臓、骨、血液など人間の身体はタンパク質からできている。
タンパク質は体内の酵素やホルモンの成分でもある。
「ですから、不足すると体力が落ち、病気に対する抵抗力もなくなるんです」
年をとると「さっぱりしたものがいい」と肉を敬遠する向きも多いが、
専門家のなかには「中高年ほど肉を食え」と主張する人もいる。
気になる食べ方としては網焼きにして
肉の余分な脂肪分を落として食すのがベスト。
しかし、できればこのとき焼肉と一緒にニンニクも摂取したい。
「ニンニクの成分であるアリシンが肉のビタミンB6に反応して活性化します。
さらに、ビタミンB1と結合して活性持続性ビタミンであるアリチアミンに変化します」
アリチアミンが細胞を活性化させ、代謝を高める効果があるという。
ただし、食べすぎは禁物。
食べるときは栄養のバランスを考え、野菜も多く摂取するように心がけよう。
〜炭は旨味を演出〜
焼き方ひとつで味が変わってしまう焼肉。
ゆえに、食通のなかには「焼肉はやはり炭火でなくては」とこだわりを持つ人も多い。
では、炭火と焼肉にはどのような関係があるのだろうか?
和歌山県にある備長炭炭研究所代表・玉井又次氏は炭火効果を次のように説明する。
「遠赤外線効果があるので肉内部に火を通し、
肉汁を逃さず焼けるのです」
また、炭には肉の旨味を引き出す効果もあるという。
「正確には、炭を熱することで発生するカリ分が食材のなかにあるアミノ酸を分解。
旨味成分のグルタミン酸を作り出すのです」
さらに、食品に香ばしさを炭は与えてくれると玉井氏。
「あらかじめ下味を漬けた肉を焼く場合、タレに含まれている糖が灰と化学反応を起こすんです」
これだけの効果がある備長炭。
もはや“焼き”にこだわるなら絶対に欠かせないツールだ。
「しかも、備長炭は黒炭に比べ、ガスが多く含まれているので安定した火力を長時間維持できます」
なかでも和歌山の県木ウバメガシ製は最上級。
多くの焼肉店で使われている。
「良質な炭は、叩けば空鐘のような音が響き、断面は黒光りをしています。
もし、自宅で炭火焼肉をする場合は炭購入の目安にしてみてください」
ただし、備長炭のなかにも焼肉向きとそうでないものがある。
わからなければお店のスタッフなどに訪ねるなど、
購入の際はぜひ注意しよう。
〜あの噂の名店に潜入〜
現在、日本で最も名の知れた焼肉店のひとつが東京都足立区にある。

『スタミナ苑』。
あの格付けグルメ本「ザガットサーベイ」の総合1位にも輝いたことのある名店中の名店だ。
しかし、一見すると名店という趣はない。
むしろ、どこにでもありそうな下町の焼肉店というカンジである。
(今は改装されてキレイになっていますが)
夕方5時オープンの店の前には
営業開始時、すでに30人以上の行列。
なかには大阪や九州から来たというお客もいた。
「連日、遠くから多くのお客さんに来ていただき、本当にうれしい限りです」
(豊島雅信店長)
交通の便はハッキリいって悪い。
最寄りの駅からはタクシーで約10分。
陸の孤島のような場所だが、それでもこの店の肉を食べる価値はある。
「ロース、カルビは食べごろを計算して2〜3週間、冷蔵庫で寝かします」
食材は“肉のソムリエ”を自称する主人自ら厳選したもののみ。
そのため、納得いく肉がなければ店に並ばないこともある。
「他の店なら上や特上として出す肉をウチでは並で提供していますからね」
確かに、霜の降り方や味は、どう見ても並には見えない。
店内でもお客が「コレ、上じゃない?」と話しているのもよく耳にする。
ただし、こだわりは肉に対してだけではない。
コムタンやサムゲタンといったスープ類、ビビンバなどのその他のサイドメニューにも細かいほどこだわっている。
しかし、やはり肉が一番旨い。
「肉なら、どこにも絶対負けません」
精肉業者さえも研究のために訪れる店の秘密は、
肉への妥協なきこだわりにあった。
〜ホルモンの名店〜
肉のなかで最もうまいのは内臓系の肉、
という通がいる。
栄養学的にも内臓肉には不足しがちな各種ビタミンが豊富。
また、亜鉛やセレニウムといったミネラルも多く含まれている。
だが、なかなかおいしく食べさせてくれる店は少ない。
ホルモンへのこだわりを大阪鶴橋にある焼肉店『蘭』のオーナー、
金明蘭さんは次のように語る。
「繁盛してはる店だから肉の回転がイイというワケではありません。
冷凍ストックしたら内臓はダメですわ。やっぱり素材の新鮮さが一番大切」
同点では、毎日生のホルモン類を仕入れ、その日のうちにすべて出す。
「あと大切なのは下処理。部分によって違いますが、丁寧に筋を取り、脂をほどよく取り、
焼いたときに縮むことも計算に入れます。こうすると歯ごたえが違うんです」
ホルモンという呼び名は、昔は捨てていた部分、
つまり《ほうるもの》から付いたという。しかし、現在は入手の難しい高級品だ。
「ホンマ、牛一頭ほうるとこなんかどこにもあらしまへんわ。
手間がかかる分だけおいしい。
ここらでは赤身肉より圧倒的にホルモン類のほうが出ます」
焼肉の聖地・鶴橋のホルモンはまさに格別。
ぜひ一度、ダマされたと思って味わってみていただきたい。
〜芸能人経営の焼肉店〜
どういうわけか、芸能人には焼肉好きが多い。
なかには自分のお店まで出してしまう人がいるほどだ。
梅宮辰夫、小倉智昭、稲川順二。
もし、芸能界三大焼肉王を紹介するとしたらこのメンバーになるだろう。
自らも腕をふるう業界のグルメ俳優として知られる梅宮辰夫さんが
経営するのが『辰ちゃんのホルモン市場』。
松坂牛や京都牛、飛騨牛の新鮮な内臓を使ったホルモンメニューがウリ。
また、塩にもこだわり
「ドイツの2億3千万年前の地層から掘り起こした岩塩を使用している。
これをふんだんに使った『ホルモン塩ネギ焼き』はオススメだね」
とは本人からのコメントだ。
同じく塩にこだわるなら
司会者として活躍する小倉智昭さんが友人と共同経営する
『焼肉とラーメンのお店なかむら』。
「オススメは創作塩ダレがベースの『塩ダレカルビ』。
焼き上がったものに白髪ネギをフワッと乗せて食べるともう―(笑)」
(中村店主)
和牛へのこだわりを追求しているのが稲川淳二さんのお店『韓々』。
店舗設計も手がけたというだけあり、稲川さんの思い入れは深い。
使用するのは岩手産の前沢牛。
「牛肉の世界じゃ東の横綱ともいうべき肉。味は一番です」
(小沢店長)
銘柄牛品評会でも過去6年連続チャンピョンを取り続けた生産者が丹精を込めて育て上げた和牛。
炭火でいぶされた肉はジューシーで美味だ。
いずれも焼肉好きが作った店だから味は折り紙つき。
お客の目線で考えられているから、これは実にありがたい。
しかし、これだけではない。
なんといっても彼らは芸能人。
ひょっとしたらお店であの有名人に会えるなんてこともあるかも。
淡い期待を抱きながら、うまい焼肉をパクつくいてはいかが。