第1回
【とりあえずの1杯 ビールについて考えよう】
今から5000年前、メソポタミアで誕生したビール。
これを現代の日本でも味わうことができるとは、まさに至福。
しかも、実は身体にイイという情報まである。
飲む前に知っておきたいウンチクのあれこれ……。
〜消費量〜
今も昔も消費量第1位のアルコールがビール。
だが、最近はビールを取り巻く環境も変わってきたようだ。
ビール酒造組合の日下部智宏氏は次のように語る。
「猛暑だった94年をピークにビール消費量はやや下降気味なんです」
ビールは気候と密接な関係があるお酒。
特にビアガーデンでは、暑ければ暑いほど売り上げは増加する。
だが、統計では猛暑だったはずの98年99年と減少している。
これはなぜだろうか?
「酒税法の改正に伴い95年ごろから本格的に発売された
発泡酒の影響が考えられます」
発泡酒は現在350cc缶で135〜145円程度。
これだけ安い値段で売られてしまうと、ビール出荷量減少もいた仕方ない。
「これには折からの不景気も原因のひとつに挙げられます。
そのため、この状況をなんとか打開しようと
各メーカーはビール低価格化を行う傾向にあるようです」
しかし、《アルコールのソフトユーザー》と呼ばれるビール消費者。
今までビールを飲んでいた人は安価な発泡酒を飲むようになり、
また、ここ数年のチューハイブームなどもあいまって
チューハイをメインで飲む人も飛躍的に多くなった。
「でも、ビールと発泡酒を合わせた消費量は以前とほぼ同じではないでしょうか。
公式な統計がないのでなんともいえませんが」
結局のところ、酔えれば何だってOK。
つまり、飲む人にとっては発泡酒もビールもそれほど大差はないようだ。
〜おいしく飲む次ぎ方〜
専門店の味を自宅で再現する。
実はビールの注ぎ方に秘密があった。
家庭でもできるプロの注ぎ方について東京青山にある『ビアハーレ モーン』の
支配人・五十嵐進さんに教えていただいた。
「おいしく飲むのなら、ビアグラスに注ぐのをオススメします」
サイズは300〜400ccくらいのものを用意。
丁寧に水洗いをし、すすぎ終わったら自然乾燥しておく。
「これはビールに油が混じるのを防ぎます。実はビールは油を嫌うんです。
例えば、ときどき異常に泡立っているビールがありますが、あれは油などの汚れが原因なんです」
注ぐポイントは基本的に缶もビン、サーバーも同じ。
「注ぎ口からグラスを15〜20pほど離して半分くらいまで一気に注ぎ込みます」
これでビールのガスを抜きながら泡の量を確認。
少量づつ3〜5回に分けて同じように注ぐ。
「当店ではビール本来のうまみを引き出すため1杯注ぐのにある程度の時間がかかります。
ちなみに泡の量は泡2に対してビール8なのがベスト」
ビールはこのような手順で余分なガスを抜いてやると味がまろやかになる。
また、ビールの適正温度にも注意したい。
「4〜5度がおすすめ。ジョッキを凍らす店もありますが、
酸化を防ぐ泡は冷やしすぎると少量しか出なくなります」
プロの注ぎ方を身につけ、
おいしいビールを飲もう!
〜枝豆はビールにとって最良のおつまみなのか?〜
ビールといえば、つまみの定番は枝豆。
しかし、そもそも枝豆はビールに合うものなのだろうか?
枝豆とビールの関係を栄養学的に分析するべく
岡戸料理学園の園長で栄養士の岡戸キクエ先生に話をうかがった。
「アルコールを分解する際、活性酸素が肝細胞を傷つけます。
それを抑える抗酸化剤として優れている食品が日本独特の食べ方をする枝豆なんです」
夏に旬を迎える枝豆には、肝臓の働きを助ける良質なタンパク質が多く含まれるほか、
ビタミンB1、B2をはじめ、牛乳並みに豊富なカルシウム、
ビタミンCもかんきつ系果実並みだ。
ちなみにこのビタミンC、
ビールと一緒にタバコを吸う人にとっては、
喫煙により失われたビタミンCを補給できるという利点がある。
「ビールだけ飲んでいると自然と塩っぽいモノが欲しくなります。
それは利尿作用で体内のナトリウムが排泄されるからです」
そのため、体内バランス的に塩っぽいつまみ類がどうしても食べたくなる。
「枝豆にはコリン、メチオニンといった脂肪肝をを予防する成分も含んでいます。
まぁ、だからといって飲み過ぎは要注意ですが(笑)」
「とりあえず」と手軽に頼んでしまう枝豆だが、
その実態は“食べるクスリ”ともいえる最適のつまみだった。
〜ビール酵母は身体にイイ?〜
最近、ビールの原料のひとつであるビール酵母が身体にいい発表されている。
そこで『ビール酵母で胃腸快調』(ハート出版)の著者である
専門家の板垣知雄氏にビール酵母についてたずねてみた。
「酵母には、驚くほどの栄養素が凝縮されているんです」
酵母は単細胞の微生物。
ビールを作る際、その数は4倍に増殖するという。
「タンパク質やビタミンB群が豊富。
しかも、エネルギー代謝が向上するので、消耗性疾患時の栄養補給には有効だと思います」
また、ミネラルも多く、
カルシウムや鉄分、カリウムはもちろん、
セレンやクロムなど極微量しかない栄養素も含まれている。
「なかでもセレンにはガンの予防効果、
クロムには血糖値を下げる効果があります」
さらに、酵母の25%を占める食物繊維には胃腸の働きを促進させる作用も。
「でも、酵母は一部のビールを除き、ろ過されてしまうため、
適量の栄養素を摂取するには大量のビールが必要。
普通はその前に酔っちゃいますけどね(笑)」
ちなみに最近はビール酵母製剤も数多く発売されているので飲んでみてはいかが。
とにかく、いずれにしてもビールが身体にイイのは間違いない。
やはり“酒は百薬の長”に偽りはなかったようだ。