「イレギュラーの神様」

(3)

 

 

 そして。

 ちょうど自分の持ち宮にいたミロ、デスマスク、アフロディーテの三人は、双児宮からの夕食の招待と言う前代未聞の珍事にあった。

 何しろ、黄金聖闘士で随一の忙しさのために最低限の家事が精一杯のサガと黄金聖闘士で随一のずぼらを誇るカノンが二人暮しの双児宮だ。

 黄金聖闘士で一番料理好きのデスマスクなど、カノンにたかられたりその返礼に外食で奢られたりすることはあっても、カノンの手料理など見たこともない。

 雪でも降るんじゃないか、と言う思いでやってきた三人は、花まで飾られた豪華絢爛の食卓に目を疑った。

「―――――美味い!町の三ツ星レストランでも、こんな美味い店はそうはない」

 がっぱがっぱと遠慮も何もなく掻き込みながら『美味い』を連発しているミロの横で、デスマスクがパスタをつつき回している。

「……くそっ、ダメだ。どうしてもわかんねえ。おい、姉ちゃん!このパスタ、ソース何入ってんだ?」

「普通のボロネーゼです。ただ、パスタを茹でる時にハーブオイルをたらしてますけど」

「―――――――湯の方かよ!」

 イタリア出身の自分がパスタで日本人に負けた、と言う事実に、ある意味戦いに負けたときより悔しそうに地団太を踏むデスマスクを、アフロディーテがふふんと笑う。

「ふっ。君もまだまだだな」

「黙れ!乾燥パスタを皿に乗っけてオーブン入れたお前に言われる筋合いはねえ」

「失礼な。あれは、君がどうしても料理をやれと言うからやっただけだ。本来、私は食べて批評するのが役目だろう」

「かなりヤな奴だぞ、それ」

 しっかり突っ込んだデスマスクは、カノンにピッタリついて給仕をするナギの方に向き直った。

「……で?カノンの昔馴染みの商売女だっつったか?その姉ちゃん」

「私は、海底神殿で側に侍らせてた女だと聞いたが」

「だから、カノンが身請けしてやったんだろ?」

「待て待て待て。何かその言い方は凄い誤解を感じるぞ、お前ら」

 カノンが速攻で突っ込む。

「タダの小間使いだ。気が利いて便利だから身の回りの世話をさせてただけだ。俺はな」

「……最後の一言は余計ですよ」

 ムウは、顔をしかめながら、隣できょとんとしている貴鬼が話の内容を理解していないのを確認した。

「デリカシーってものがないんですか、あなたたち」

「その娘が商売女だってのは事実なんだろ」

「過去の話ですよ」

「ふーん。私の目には、それらしくは見えないがな。身体を売るのが生業なら、もう少し色気があってもよさそうなものだ」

「あー。俺の好みじゃねえが、まーこう言うガキっぽいのが好きな男もいんだよ」

 答えたデスマスクが、フォークを振りたてて、止める間もなくナギに向かって次の言葉をかけた。

「けど、プロならテクニックは期待できるな。試してやってもいいぞ。一回幾らだ」

 バキ、とサガの手元でナイフが砕ける。しかし、皿がデスマスクの顔面に叩きつけられる前に、ナギがニッコリと笑った。

「ご冗談が上手でいらっしゃる」

「ほお」

 自他ともに認める色事師の血が騒ぎ出したが、デスマスクの目が光を帯びる。

「客のあしらいは巧そうだな。最近欲求不満だし、マジで幾らだ?」

 デスマスクはじろじろとナギの体の線を目で追ったが、ナギはびくともしなかった。

「おやおや。よしましょう、キャンサーのデスマスク様。後悔してもなんですよ」

「……あ?」

「ぼくはお好みに合わないのでしょう。目が覚めて後味の悪い顔をされるのは嫌ですよ、時間とお金の無駄遣いだけならともかくね」

「……」

 ちょっと無言になったデスマスクに、ナギが営業用スマイルを向ける。

「小娘を買って喜ぶのは、たいてい弱い男性ですから。あなたには、しっかりした大人の女性がお似合いですよ。デスマスク様」

「…………」

 完全に一本取られたような顔でデスマスクが黙った隙に、ナギが空いた皿を下げる。

「失礼します」

 台所へ引っ込むナギを見送って、デスマスクはふーんと声を立てた。

「なかなかの女だな。悪くねえ」

「……いい加減にした方がいいんじゃないですか?ギャラクシアン・エクスプロージョンをもらって冥界送りになりたいなら別ですけどね」

 ムウは、チラッと双子のほうを見た。

 案の定、あられもない会話に、サガは今にも爆発しそうな顔をしている。しかし、横のカノンは意外に平静だった。

「やめとけ、デスマスク。海闘士ではなくとも、結構な人生を歩いてきた奴だ。お前なぞ、鼻も引っかけんわ」

「……ほー。そりゃ、男ってもんを甘く見てんじゃねえか?力がねえってんなら、押し倒せばお終いだろが」

「言っとくが。その時は俺が出張るぞ」

 ちろ、とカノンが目を上げる。

「冗談抜きでギャラクシアン・エクスプロージョンを覚悟しておけ」

「……何だ。やっぱりカノンの女なのではないか」

「違う!」

 カノンが速攻で怒鳴る。

「そうではない。ただ、俺が買った以上は俺のものだからな。つまらんちょっかいを出すなと言ってるだけだ!!」

「……カノン。あなた、誤解を解きたいのか深めたいのか、どっちです……?」

 ムウはもう一つため息をついて、額に青筋をピクピクさせているサガを見やった。

「早いところ、仕事を見つけてやった方がよさそうですね。住み込みで」

「……全くだ」

 サガが苦々しげにフォークを放り出す。

「海皇も、面倒な話を押し付けてきたものだ。早くどこかへ片づけんと、落ち着かん」

「何だ。双児宮に置くんじゃないのか」

 今まで料理を詰め込むのに専念して黙っていたミロが、ようやく一段落して、話に参加する。

「これから、ちょくちょく飯を食いに来ようかと思ってたのに」

「……全然話聞いてなかったろ、お前」

「ああ、すまん。……で?カノンのズボラに拍車がかかるから、家政婦はいらんと言う話だったか?」

「なるほど。少なくとも、30分は周りの声が耳に入ってなかったわけですね。あなたは」

「天蠍宮に置いてもいいぞ。毎日こんな美味い物が食えるなら、俺は大歓迎だ」

「いや、男所帯に若い娘を同居させるのはよくないというのもありまして……まあ、ミロなら風紀上の乱れは全く心配いらないでしょうけど」

「待て。俺だと何か心配なのか」

「いえ、別に」

 カノンの非難をあっさり流して、ムウは宥めるようにサガの仏頂面に視線を移した。

「ま、心配することもないと思いますよ。あの働きぶりなら、町でも普通に仕事があるでしょう。家政婦としてね」

「そうだな」

「こんだけ料理ができんなら、レストランでもいいんじゃねえの?即戦力だぜ」

「ふむ。聖域の近くの店で勤めてくれたら、食べに行けるんだがなあ」

「ああ……ギリシャの郊外で、料理店を幾つか当たってみるか」

 昔は偽教皇、今は教皇代理で対外的にはやたらと顔の広いサガは、早くも頭の中でリストを作り始めたようだった。

 と、黙って仲間たちの話を聞いていたカノンが、躊躇いがちに口を開いた。

「……聖域の中じゃまずいのか?別に、外に出さなくてもいいだろう」

「って……それを言うと、話がまた元に戻るんですが」

「何だよ。側においときてえってか?」

「いや……ただ、せっかくのソレントとポセイドン様の気遣いだし。あれも、俺を慕ってわざわざ訪ねてきてくれたものを、放り出すような気がしてな」

「……放り出すのは哀れだから、仕事を見つけてやろうと言うのではないか」

 サガは憮然とした口調で言った。

「あの娘とて、流れの娼婦をしたり、爆音が絶えない戦地で給料も出ん奴隷としてこき使われて先のない生活を送るよりは、街で働いて金を貯めて、まともな家に嫁に行った方が遥かによかろう」

「……サガ、悪気がねえのは解るが、何げにひでえぞ」

 問題発言は多いが全て確信犯で、天然の気はないデスマスクが突っ込む。

「そうですね。彼女のためにと言うのなら、それが一番いいんじゃないですかね。あなたも時々様子を見に行ってやればいいでしょう」

「ん……しかしあれは、生い立ちのせいもあって、本当に普通でないからなあ」

 カノンが、まだ気がかりそうに呟く。

「今さら町で普通に暮らしていけるかどうか」

「……別に妙なところはないように、私には見えたぞ。小宇宙も全くないし」

「どっか悪いとこでもあんのかよ?」

 不思議そうな顔になったデスマスクとアフロディーテの質問に、ムウが首を捻る。

「不思議な感性の持ち主ではあるようですね。サガとカノンを一発で見分けた人なんて、初めてですよ。片方初対面で」

「ほう?本当か、それは」

 ミロが目を見張る。

「ええ。私も協力して三人がかりで騙そうとしたのですがね。引っかかる素振りも見せませんでしたよ」

 一部始終を話してやると、デスマスクはぴゅーっと口笛を吹いた。

「すげえな。俺でも自信ねえぞ、その状況は」

「当人に『カノンだ』と名乗られた時点で、私はもう無理だ」

「俺は服で見分けてるぞ」

「……なるほど。薄々気づいてはいたが、私服でミロやアイオリアに会うと二回に一回は『カノン』と呼びかけてくるのは、やはりそういうことか」

「両方を熟知してるくせに、チャンスレベルですか……ミロ、あなた、ずっと聖域にいた上にカノンとは聖戦で一緒に戦って話したんでしょう」

「ああ。あの時は、サガは冥衣でカノンは聖衣だったから楽だった」

 真顔で頷くミロ。どうやら、単純すぎて嫌味も通じないらしい。

 それを横目で見て、カノンがふと何かを思い出したような顔になった。

「……そう言えば。海底神殿で、一度リュムナデスが暇潰しにあれをからかおうとしたことがあった、と言ってた」

「ほお」

 みな、ちょっと興味をかきたてられたような顔になっていっせいにカノンを見た。

 海底神殿の海将軍の一人、リュムナデスのカーサ。カノン以外の黄金聖闘士たちは見たことがないが、青銅の少年たちから話は聞いている。

「リュムナデスっつったら、あれだろ?確か」

「敵の一番大切な人に化けて騙し討ちをすると言う」

「まあ、そうだな」

 カノンは頷いた。

 味方が聞いてもえげつない手だが、実際に効き目のあることは実証済みだ。

 ちなみに、聖闘士でその外道な戦士と実際に戦ったのは、アンドロメダ瞬、白鳥座キグナスの氷河、天馬座ペガサス星矢、不死鳥座フェニックス一輝の青銅四人。

 感受性豊かな少年たちは、生き別れの姉だの親代わりの師匠だのの姿にものの見事に引っかかり、危うく一網打尽になりかけた。

 やられなかったのは一輝一人で、弟の瞬に化けたカーサを手加減ナシの一撃でぶっ飛ばした様子はあの世で見ていても酷かった。

 強いと言うより、過酷な生い立ちのために人格が歪んでしまったのが裏目に出ただけだろう、と言うのが経緯を聞いたもの全員の意見だった。

「それで、何をしたんです?具体的に」

「ああ。俺に化けて、すぐ部屋の掃除をしてくれ、と言ったそうだ。そのとき俺は部屋で仕事してたんだが」

「なんだ。それだけか?ひねりのない」

「ただ、ドアに『面会謝絶』の札がかかってる時に俺の部屋に入って来た奴は問答無用でゴールデントライアングル、というのが海底神殿の暗黙のルールだったからな」

「……おい」

「その辺、偽教皇時代のサガの『瞑想中に邪魔したら状況問わずに死刑』と言うのと被りますね……嫌なところばかり似てる兄弟ですね、あなた方」

「放っておけ」

「で、どうなったんだ?彼女は」

「時空の狭間に飛ばして、後で戻してやったのか」

「どうもせんわ。俺は、その話自体後で聞いたんだ。カーサの奴は、いつまで経っても何も起こらないんで痺れを切らして自室へ引っ込んだら、部屋が綺麗に片付いていた、と」

 誰もが無言になった。

 カーサの変化は、ただ真似るのではなく相手の心と記憶を読んで内面まですっかり同化するという代物だ。アンドロメダ瞬などは、目の前で兄に変化するのを見てすら攻撃することが出来なかったと言う。

「……変装に騙されない性質なのかカノン限定なのかはともかくとして、一体、何を基準にしてるんでしょうねえ……セブンセンシズでもあるまいし」

「実は密かに、とんでもねえ女なんじゃねえか?」

「さあ。俺が使ってた二年間は、別段気になるようなこともなかったがな。ただ、全く小宇宙を感知する能力がないらしくて、会議のときなど、どんなに場が険悪になって攻撃的小宇宙が高まっても笑顔で茶を淹れてたが」

「……敏感なのかと思ったら、宇宙的に鈍感でもあるようだな」

「ていうか、カノンが切れかけてたら一般人だって普通にビビるぞ。どういう女だ」

「……どういう女でもいい。関係なかろう」

 サガが、断固とした口調で場を静めた。

「聖闘士でも巫女でもない普通の娘で、まだ社会復帰のできる年齢なのだ。街へ出してやったほうがいいに決まっている。カノンが気になるというのなら、雇用者と連絡をとって様子を見ていればいいことだ」

「正論ですね。本当に普通の娘なら、ですけど」

「ま、それがいいだろな。双児宮に腰据えたら、まともに嫁にもいけねえし」

「カノン。海皇やセイレーンの気遣いに感謝しているのならば、まず家事を習え。そして生活態度を整えろ。普段から家事一切を私に押し付けているから、友人に心配されるのだぞ」

「……結局、家事一切をやってやってるお前も、俺的に何か不思議なんだが」

 突っ込むデスマスクの向かいで、カノンは歯切れの悪い口調で

「ああ」

 と答え、冷めてしまった魚の一切れを口に放り込んだ。

 

 若い娘との同居がよほど嫌らしいサガの迅速な行動により、ナギは、さっそく次の日の夕方に街の小料理屋に引き取られていった。

 そして、三日目に出戻った。

「……何でここにいるのだ?」

 仕事を終えて双児宮に帰って来たサガは、綺麗に片付いた部屋と畳んで積まれた洗濯物、そして夕食の準備に余念のないナギを憮然とした顔で見た。

 本を片手に椅子にかけていたカノンが、兄を見ずに答える。

「……返品だ」

「返品?一体何をやらかしたのだ、その娘は!」

「元からいた料理人とケンカしたんだと」

「ああ?」

 サガは、思いっきり顔をしかめた。

「ご迷惑をお掛けします。夕食の片づけが終わったら失礼しますので、お目障りは今少しご容赦いただけませんか」

 頭を下げたナギを、サガは苦々しい思いで見た。

「……行くところがあるわけではないのだろう。解った、今夜は泊まれ」

 礼を言うナギに背を向け、サガは電話に向かった。

 腹立たしいのを抑えて、件の小料理屋の番号を回す。

 何をしでかしたか知らないが、自分が紹介した以上、とりあえず侘びくらいは言っておかねばならない。

「……聖域のサガだ」

『あ、教皇様!』

 小料理屋の主人の、かしこまった声が聞こえる。

「いや、教皇代理だ。先日、預けた娘のことなのだが」

『はい。今、こちらからお詫びの連絡を差し上げようと思っておりました』

「……何?」

 サガは眉を寄せた。

「何か問題を起こして、追い出されたのではないのか」

『は、いいえ、その……私は留守にしてた間のことなんですが』

 主人は、ひどく申し訳なさそうな口調で言った。

『ウェイトレスに聞いたところでは、うちの料理人の一人が、彼女に出ていけと言ったそうで……』

「何をやったのだ?あの娘は」

『いえ、何も。ただ、古株のお客が、彼女の料理を派手に褒めたのが気にいらなかったようなのですが』

「む……」

『彼女は何を言われても黙っていたそうですが、その男も意地になったらしくて、彼女がいるなら自分が出ていくとまで言い出して。その後は教皇様もご存知の通りです』

「……私が?」

『はい。ちょうど店の外においでで、罵る声を聞いて入っていらして、彼女を引き取っていったと聞いています』

「…………」

 謝りまくる店主を適当に流して電話を切ったサガは、弟のほうに向き直った。

「……どういうつもりだ」

「別に。ただ、様子を見に行っただけだ。そしたら中で怒鳴り声がして、これが『解りました、出ていきます。お世話になりました』と言うのが聞こえたから」

「……それで連れて帰って来たと言うわけか」

 サガは、苦い顔でナギのほうに向き直った。

「お前もお前だ。出ていけと言われて素直に出てきてどうするのだ」

「はあ」

 ナギが困った顔になる。

「あのままでは、本当にあちらが辞めてしまいかねない様子だったので」

「だからと言って、お前が先手をとって辞めることはなかろう」

「とは言っても」

 ナギの目に、困ったような色が増す。

「あの人柄では、一度辞めたら戻ってこれない人のようでしたから。家族を養ってる人を失業させるわけにはいかないでしょう」

 ぼくはとりあえず街角に立ってれば食事代くらい稼げますから、とつけ加えたナギを、サガは何と言っていいか解らない顔で見た。

「……ちょっと普通でないんだ、と言っただろう」

 カノンが、本を放り出して会話に入る。

「手持ちの金がなくなったら客を取ればいいと普通に思う女なんだ。物心ついた辺りからそうやって暮らしてきたんだから、今さらどうしようもないだろう。海底神殿じゃ、俺の小間使いだから誰も手を出さなかったけどな」

「………」

 もういっそ、望み通りに本職の娼婦にならせて好きなだけ客を取らせてやろうか、と思ったサガだったが、15の少女にそんなことを言うのはどうしても己の道徳観念に反する。

 それしか生計の道を知らない、と言う彼女に対する憐憫の情も、もちろんないわけではない。元はと言えば、そんな風に育てた回りの大人が悪いのだ。

 それにしてもこの娘、とサガは内心で呟いた。

 どうやら、地味でまともそうな第一印象に反して、社会に適応するにはかなりの困難があるようだ。

“考えてみれば、当然かもしれんな……海底神殿の使用人など、まともな神経でつとまる訳がないのだ”

 舌打ちしながらもう一度目を向けると、その当人はそろそろ夕食準備の仕上げにかかっていた。彼女の運ぶ皿から漂う匂いはまた腹が立つほど美味そうで、労働後の胃袋をいたく刺激する。

「準備も出来たようだし。とりあえず食おう、兄貴。腹が減ってるんだろう」

「あの。召し上がっていただけますか?サガ様」

 嫌に呼吸のあった二人の声に、サガは仏頂面で食卓に歩み寄った。

 きっちり自分の好物とカノンの好物とが揃っている辺りが、また嫌だ。

 自分は食べずに給仕するナギにカノンがごく自然な表情で声をかけるのから強いて目をそらすようにして、彼はナイフを取り上げ、食事を始めた。

 

061011 up

 

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