十津川温泉を発ったバスは、ついに奈良と和歌山の県境へとさしかかります。 この先には、標高千メートル級の果無山脈が立ちふさがり、私たちをにらむように見下ろしながら峡谷ぎりぎりにせり出しています。 果無山脈には尾根を縦走する小辺路と呼ばれる古道があり、伊勢−熊野本宮の伊勢路、吉野−大峯−熊野本宮の大峯奥駆け道、紀伊田辺−那智勝浦−熊野本宮の大辺路、紀伊田辺−栗栖川−熊野本宮の中辺路と並んで、1800年代から熊野本宮大社に至る街道の一つとして、山岳トレッキングファンの間ではよく知られています。
 現在は切り立つ山肌にしがみつく国道168号線が、果無山脈を越える生活路になっていますが、その歴史は比較的浅く、昭和34年の二津野ダム着工と共に開通するまでは、船が生活の足であり、筏が切り出した木材の運送手段でした。とくに平谷(奈良県)〜八木尾(和歌山県)間は、国道168号線十津川街道の中でも最後まで開通が遅れていた区間で、この区間の開通によって、ようやく昭和38年3月1日に十津川くまの特急の運行が実現しました。大正14年に五條〜阪本が開通して以来、実に38年の歳月を要しました。
 そして2005年3月19日、果無越えに新たな時代が到来しました。 「七色高架橋(俗称:七色バイパス)」の開通です。 これは奈良県の地域高規格道路「五條新宮道路(一般国道168号線)」整備区間の一つで、和歌山県側で同時に整備が進んでいる「本宮道路」の土河屋隧道を併せて総延長2890mが開通しました。 その名の通りバイパスの大半は現代の架橋技術の粋を集めた高架橋で結ばれています。 同区間の所要時間は5分短縮されただけですが、それよりも、地元の生命線である道路が、安全かつ気象条件の影響を受けにくくなることは大切なことです。
 私が気になることといえば路線バスの動向ですが、やはり3月20日からは、バイパス経由で運行されることになりました。 一応旧道の再整備が終わる7月1日からは以前通りの運行に戻る予定でしたが、7月20日現在もバイパス経由で運行されている状況です(七色〜土河屋〜八木尾は旧道を経由します)。 旧道に取り残された七色隧道口停留所は、いつく来るともわからない路線バスを静かに待っています。 そしてまた一つ、十津川特急バスの路が、思い出の路へと消えてゆきます・・・
 
停留所一覧へもどる
蕨尾
蕨尾口
櫟砂古
桑畑小井
果無隧道口
桑畑
桑畑隧道口
七色隧道口
二津野
土河屋
七色
路線案内図へもどる
蕨尾
地区
果無
地区
二津野
地区
七色
地区
連続勾配・曲線区間(蕨尾口−七色−土河屋)
new
ご覧になりたい地区にカーソルを合わせて、クリックしてください。