■ 梅花文学賞 現代詩 那珂 太郎・高橋 順子 共選 ■
【一般の部 秀逸】
辻 悦子 66 (静岡県 竜洋町)
叱 る

ほんとうに 死ぬのか
その日の鏡の中の私は きびしい顔をしていた
週末二日後の早朝バナナと水を リックにつめて家を出よう
透析患者は三日目には透析を受けないと
命に関わってくるのだ
そしてカリュウムたっぷりのバナナ水も体にとって毒なのだ
 樹海に入ろう―――それでいいのか―――
こんなに痛くて苦しい事を一日おきに
身動きもできず四時間もかけて透析している
 なんのために
 唯れのために

透析導入と言われた時
ああ 私の人生もこれで終りかと
あきらめた時 今までどうり
詩を書いていこうときめたのではなかったのか どうしたのだ
あたたかい日には
庭のかたすみに咲く花をながめたり
時には街に出て行くがいい
街に出かける姿を夫が見れば
時には 二人で出かけようと思うだろう
 ポップサーカスを見に行ってきた
 ほらね
気分が悪い時には
きのうの透析は痛かったと書くがいい
針を刺す時 失敗して止血テープが
いつもより 二個所も多い
何にも かざって書くな
上手書こうと思うな
ありのままでいい
これからもこのままでいいのだ

 おまえには
 詩が
 書けるではないか
 気を強く持つがいい
 生きていけ