■ 梅花文学賞 現代詩 那珂 太郎・高橋 順子 共選 ■
【児童生徒の部 秀逸】
白石 恵美子 (大阪府 富田林市 PL学園中学校3年)
りんごの旅

りんごはコロコロ転がっていく
だれに言われたわけでもなく
だれかが止めるわけでもない

それでもりんごは転がっていく
ふるさとへ
ふるさとへ
一緒に育った
仲間を探して

そのうち人にふまれても
気にせずコロコロ転がって
やがてふるさとに着きました

りんごは木に聞いてみた
「ぼくの仲間を知らないかい?」
木はそっとそっと言いました
「もうみんなここにはいない
今は新しいりんごたちの
お世話で毎日大変さ」

りんごはそのまま転がって
海におちていきました
ぶくぶく泡を見ていると
そのうちりんごも泡になり
海の一部になりました

やがてりんご園はなくなり
あとには一つの伝説が…
むかしむかしの
りんごの話
転がるりんごの
旅の話