■ 梅花文学賞 現代詩 ■
【一般の部 産経新聞社賞 】
勝俣 文子 23 (静岡県 沼津市)
狩 人

銀嶺で猟師とすれ違った
彼は長躯で獣毛の匂いがした
私の存在など見えないのか
正面を見据える瞳は
微塵も揺れはしなかった

私は立ち止まり
冷たい背中を追いかけた
彼の義足は雪道を刺す
美しい軌跡は
吹雪いても消えることはないだろう

その頂には何がいるというのだ
彼は弓を手にする
何を射ることができるというのだ
彼はじりじりと弓を撓らせる
―――――――――天空に向かって

矢は再び地上に現れない
蒼穹を貫いてしまったのだろうか
彼は初空を背負って歩き出す
狩人は確かに射止めたのだ