副鼻腔炎 そのB 副鼻腔炎ってどんな症状?

  今回は、副鼻腔炎がもたらすいろいろな症状についておはなしします。もちろんメインの症状は鼻に集中していますが、慢性化を放置していると肺や脳・更には全身にも様々な悪影響を及ぼしてくるのです。
 
第三十四回  副鼻腔炎 そのB 副鼻腔炎ってどんな症状?

 まずは「蓄膿症」として典型的な、鼻や顔面の局所の症状から。これらについては容易に想像できるでしょう、アオバナや黄色の濃くネバネバした鼻汁がひっきりなしに出て鼻が詰まります。鼻汁は喉にも流れこみ、痰のように絡み咳や痛みの原因にもなります。炎症のピークには熱や悪寒を伴い、頬や額に重く詰まったような痛みが感じられてきます。鼻の奥の粘膜がむくむため耳への空気の通りも悪くなり、耳の詰まり感や中耳炎の原因にもなります。鼻が詰まって寝苦しく、注意力も散漫になって気分まで滅入ってくるという、こうして書いている私自身でさえ気分が悪くなるような病気です。
 こうした首から上の症状に続いて、副鼻腔炎の慢性化に伴い気管支や肺にも症状が現れることがあります。「副鼻腔気管支症候群」というそのまんまのネーミングですが、慢性的に続く咳や喘鳴(のどや胸がゼイゼイすることです)が主症状で、気管支喘息や気管支炎を疑っていろいろ検査しても診断がつかず、結局最後に鼻まで調べたところで副鼻腔炎から来ているという結論に達する、という疾患です。最近では抗生剤や鎮咳剤・粘膜保護剤を初めから処方されることが多くなってきましたので、副鼻腔炎に気付かれぬまま症状が沈静化してしまうことも多いようです。しかし次回詳しく説明いたしますが、副鼻腔炎は中途半端に治療をしても時がたつと再発する可能性の高い病気ですから、一時的な症状の軽快で治療をやめてもまた繰り返す危険性があるのです。繰り返す咳や喘鳴がある方は一度鼻のレントゲンも希望されてみてはいかがでしょうか?
 更に副鼻腔炎に関連する疾患として、これは大変恐ろしい「髄膜炎」があります。額に拡がる前頭洞の炎症から主に起こりますが、この前頭洞からは頭蓋骨を貫いて脳を包む膜にまで達する血管の枝(穿通枝といいます)が通っていますので、前頭洞で増殖した細菌がこれに乗り髄膜炎を起こしてしまうのです。もともと前頭洞の炎症では頭痛や発熱が起こりやすいため、初期の内は症状だけでは診断がつきにくいのですが、後頭部から首筋にかけてのあたりが張ったり頭がボンヤリするといった症状が伴う場合は要注意です。早めに病院を受診して神経系統の診察を受けるべきでしょう。もっともこれも最近の傾向ですが、前駆的な風邪様症状のときから病院で早めに抗生剤が処方されることが多くなってきていますため、ひとふた昔に比べると重症化し髄膜炎まで行くケースは大変少なくなっています。
 最後に副鼻腔炎がもたらす全身の症状について。これは「病巣感染症」といいまして、主に扁桃の炎症で起こることが多いのですが、副鼻腔炎やう歯(虫歯のことです)でも起こることがありますので少し触れておきます。炎症を起こした部分で溶連菌という細菌が増殖し生み出される毒素が、血液を介して@手のひらや足のうらの皮膚に水疱や皮膚炎を起こしたり、A肩や鎖骨の関節の痛みや変形を起こしたり、B血尿などの腎疾患(IgA腎症)を引き起こしたり、といった全身にわたる疾患を起こす厄介な病気です。元となる疾患の治療で改善することがほとんどですが、それぞれの症状を別々の病気として考えているとなかなか原因疾患までたどり着けず、診断や治療に苦慮することになりかねません。この疾患につきましてはいつか扁桃のおはなしの際に再度詳しく触れたいと思いますが、気になる方は病院で「病巣感染症では?」と訪ねてみてはいかがでしょうか。(病巣感染症につきましては現時点では扁桃などを病巣とする自己免疫疾患と位置づけられています。今回のおはなしではそのあたりは一般向けとしてやや曖昧な表記にあっておりますのでご了承ください)



さて次回は、副鼻腔炎の治療と、再発の予防についておはなしします。本格的な冬の到来の前に是非おききください。

対馬いづはら病院 耳鼻咽喉科   山口 勉

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