道路交通法及び道路交通法施行令の一部改正と
これに伴う交通警察の適正な運営について

 

 昭和61年10月21日警察庁乙交発第9号  各都道府県(方面)公安委員長・本庁各局部課長・各審議官・首席監察官・警察大学校長・科学警察研究所長・皇宮警察本部長・各管区警察局長・各管区警察学校長・東京都警察通信部長・北海道警察通信部長・警視総監・各道府県警察本部長・各方面本部長あて警察庁次長依命通達

 道路交通法の一部を改正する法律(昭和61年法律第63号。以下「改正法」という。)は5月23日に、道路交通法施行令の一部を改正する政令(昭和61年政令第329号。以下「改正令」という。)は10月14日にそれぞれ 公布された。
 これらの法律等の改正の背景、趣旨及び要点並びに運用上の留意事項は、次のとおりであるので、改正の趣旨及び内容について部内はもとより広く一般に対し周知徹底を図るとともに、交通警察の運営に遺憾のないようにされたい。
 命により通達する。
 なお、以下この通達において、「法」とは道路交通法(昭和35年法律第105号)を、「令」とは道路交通法施行令(昭和35年制令第270号)をいうものとする。
 

第一 改正の背景
 我が国の道路交通は、ますます過密、混合の度合いを深め、特に都市部における駐車問題は深刻化している。また、交通事故による死者数は4年連続して9,000人を超えるなど 依然増加基調にある。
 このような厳しい交通の状況の中で、都市交通機能を確保するため、駐車対策の強化を図るとともに、併せて近年増加傾向にある交通事故を抑止することは重要かつ喫緊の課題である。
 この度の改正は、これらの課題を踏まえ、その対策を推進するため行われたものである。

第2 改正の趣旨
 この度の改正の趣旨は、次のとおりである。

1 駐車対策の推進
 現下の自動車交通の実態をみると、昭和45年には1,900万台であつた自動車保有台数は昭和60年には4,900万台と、ここ15年間に2.5倍の飛躍的な増加を示し、自動車が日常の社会経済活動に不可欠なものとなつているが、これに対し、路外駐車場の整備が質量ともに追いつかないため、必然的に都市内における路上駐車車両の増加をもたらし、そのほとんどが違法駐車車両という状況にある。その結果、本来、特に円滑な交通流を確保すべき幹線道路においても違法駐車による交通障害を生じ、都市交通機能を大きく阻害しているほか、交通秩序を乱す大きな一因となつている。
 そこで、一方では、路上駐車車両の相当部分が、業務上その他のやむを得ない短時間駐車で占められていることから、一定範囲の必要やむを得ない短時間の路上駐車需要はこれを認め、他方では、違法駐車車両に対する移動保管の措置を強化するとともに、更に違反そのものを未然に防止するための広報活動等の充実を図ることとしたものである。

2 罰金及び反則金の額の引上げ
 違反に対する罰金及び反則金の額については、長年改定が行われておらず、所得、物価水準の上昇により違反に対する抑止機能が薄れてきていることから、違反に対する罰金の額及び反則金の額を引き上げることとしたものである。

3 反則通告制度の適用範囲の拡大
 現行の反則通告制度不適用の違反行為の中には、その後の制度の変遷等により、実情に合わない点が出てきている一方、運転者の利便及び大量の違反処理の効率化の観点から、反則通告制度について改定が必要な点が出てきていることから、所要の改正を行つたものである。

4 座席ベルト装着義務違反に対する基礎点数不要対象の拡大

 

第3 改正の要点

1 駐車対策

(1)時間制限駐車区間に関する規定の整備

 

(2)違法駐車車両に対する措置に関する規定の整備

 

(3)違法駐車車両の移動保管事務を促進するための規定の整備

 

(4)車両の駐車等の適正化等を図るための民間活力の導入に関する規定の整備

 

2 罰金及び反則金の額に引上げに関する規定の整備

 

3 反則通告制度の適用範囲の拡大に関する規定の整備

 

4 その他の改正

 

5 附則関係

 

第4 運用上の留意事項
 改正法等の運用に関して特に留意すべき事項は、次のとおりである。なお、衆議院地方行政委員会及び参議院地方行政委員会において、改正法の適正な運用を図るべき旨の附帯決議が付されているので申し添える。

1 広報活動の徹底

 

2 指導教養の計画的な推進

 

3 駐車対策に関する規定の整備に伴う留意事項

 

(1)駐車対策の効果的な推進

 

(2)時間制限駐車区間規制の計画的推進

 

(3)委託費等の予算措置

 

(4)指定法人制度の積極的導入

 

(5)指定法人当の指導、育成及び監督

 

(6)適切な手数料等の額の決定

 

(7)駐停車違反の取締りの重点
 違法駐車標章の取付け、レッカー移動等駐停車違反の取締りに当たつては、場所、時間帯の選定を適切に行うとともに、交差点、横断歩道等における違反など危険性、迷惑性の高い違反を重点とした取締りを行うよう努めること

(8)駐停車違反の追跡捜査の徹底
 駐停車違反については、繰り返し駐停車違反を行つている者を重点に追跡捜査を徹底して行うこと。このため、コンピュータ等の活用についても配意すること。

(9)関係行政機関等との連携

 

4 座席ベルト装着義務違反に対する基礎点数付与対象の拡大に伴う留意事項

(1)広報啓発活動の推進

 

(2)街頭指導活動等の徹底

 

(3)取締りの重点
 一般道路における座席ベルト装着義務違反の取締りに当たつては、幹線道路等危険性の高い道路における違反を重点とした取締りを行うよう努めること

(4)警察部内における座席ベルト装着の徹底
 警察官等については、警衛、警護、護送等必要最小限の範囲で座席ベルト装着義務が免除されることとなっているが、これらの当たる者を除き、座席ベルト装着の徹底を図ること。

5 交通指導取締りの適正な運用

(1)該当指導活動等の徹底
 広報及び該当指導活動を強化し、道路交通関係法令違反の未然防止に努めること

(2)取締りの適正な実施
 取締りに当たつては、取締りのための取締りとなることのないよう特に配慮するとともに、交通の実態、交通事故の発生状況、国民のニーズ等を的確に分析し、交通事故に直結する危険性の高い違反、繰り返し違反を犯す悪質な運転者の違反、交通の円滑な流れを阻害し、他の運転者に著しい迷惑を及ぼし、ひいては善良な運転者の遵法意識をも低下させることとなるような違反等を重点とした取締りを実施すること

(3)指導教養の徹底
 取締りの場所、時間帯、内容、取締りに当たつての応接態度等について、指導教養を徹底し、適正、妥当な取締りが行われるよう努めること。

 

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