放置駐車違反の出頭率など


 警察に何か尋ねると「広報を通してくれ」と言われることが多い。そこで広報に電話すると「お前は誰だ。それを聞いてどうするのか」なんてことばかり逆に尋問≠ウれ。結局ろくな情報が出てこない。または何も出てこない。てことを長く体験してきた。こっちの名前は聞いといて自分は頑として名乗らないサイテー野郎もいるし。
 ところが01年4月から情報公開法が施行された。おおよそ同時期から都道府県の情報公開条例(これ自体はすでにあった)の対象に警察も含まれるようになった。おかげで広報など相手にせず(笑)いろんな行政文書をゲットできるようになった。
 しかも近ごろは、情報公開の手続きを踏まなくても、警察のホームページでかなりの情報をゲットできる。国会議事録も国会のホームページで見られる。
 もちろん何でも自由自在にゲットできるわけじゃないが、時代は変わったもんだとつくづく思う。まさに隔世の感≠トやつだよホント。
 警察の情報公開を日本でいちばん利用してるのは『週刊プレイボーイ』(集英社)などで活躍中のジャーナリスト・小谷洋之さんと思われるが(本誌02年10/20号)、私もけっこう利用してる。けど私の場合、どうも趣味的というのか、ゲットした情報を仕事(著述)に役立てようという意欲があんまりない。ダメじゃん。つーことで今回は、運転者が気になるだろう情報を一部ご紹介しよっかと思う。

■放置駐車違反の出頭率■

「駐禁の黄色いワッカを付けられた。どうしよう? 勝手に外して捨ててるヤツがいるらしいけど、実際のところはどうなんだ?」
 などという声が多い。
 放置駐車違反を見つけた警察官は、「移動せよ。移動したら警察に申告せよ」と告知するための「標章」(違法駐車標章)をクルマに取り付けることができる(道路交通法第51条第3項)。
 裏がシールになってたりする紙きれ状の標章が、いわゆるステッカー。それが錠付きのビニールケースに入れられてミラーなどに取り付けられるのが、いわゆるワッカだ。
 運転者が標章の指示に従って出頭すると、まず必ず違反キップを切られる。出頭しないと、1回ないし数回、呼び出しの電話や郵便がくることが多いが、知らん顔の運転者もけっこういるようだ。勝手に外したワッカをコレクションしてるヤツがいるとか、そんな話も聞く。
 悪質なケースが逮捕されることもあるけれども、基本的には「じゃんじゃん標章を取り付け、素直に出頭(自首)してきた運転者にキップを切るだけでとりあえずノルマは消化できる」というやり方のように思われる。
 警視庁に31年間勤務して退職後、『警察官の現場――ノンキャリ警察官という生き方』(角川書店)を出した元警部補・犀川博正さんは言う。
「そのとおりです。悪いヤツは逃げ切り、正直者がバカをみる、不公平な取り締まり方法なんですよ。そもそも現在の駐車禁止規制のあり方がこれでいいのかという大きな問題もありますしね。そんな中で、現場の警察官は矛盾や良心の痛みを感じながら仕事し、長くやっているうちに良心の痛みなど忘れて自分の成績だけを考えるようになる。こういうことが、さまざま不祥事の根っこの1つに確かになっているのでは……」
 たかが駐禁、されど駐禁。ディープな問題があるようだ。
 さて、その標章を取り付けられながら知らん顔している運転者はどれくらいいるのだろうか。
 91年の神奈川交通安全協会発行のある冊子には、駐禁のワッカの出頭率は約6割、ステッカーの出頭率は約3割と書かれていた。今年1月の「桐生タイムス」は「警察当局によると違反ステッカーを張られた車の2割が不出頭」と報じている。
 実際の数字はどうなっているのか。警察庁の情報公開室で得た資料によると、02年の標章の取り付け件数は216万7419件(全国)。
 じゃあ、その標章により出頭を得られたのは何件か。ズバリのデータはないという。けれど、おおよその推測はできる。
 最初は放置駐車として標章を取り付け、しかし長時間(夜間だと8時間以上)の駐車だったので保管場所法違反のほうで検挙したというケースもあるだろうが、そっちの検挙数は年間2万数千件程度のようだ。よって、標章を取り付けられて出頭した件数=放置駐車違反の取り締まり件数とみて、まあ差し支えないだろう。
 放置駐車違反の取り締まりは02年は164万2851件。標章を取り付けたうちの75.8%に当たる。24%くらいが不出頭ってことになる。
 この割合は、98年は14%、99年は13%、00年は19%、01年は20%。00年から不出頭がぐんぐん増えている。99秋から爆破的に出始めた警察犯罪・不祥事報道の影響かと思われる。
 警視庁管内に限っての標章取り付け件数もゲットしてみた。02年は47万7470件。全国の標章の22%を占める。
 所属別では1位は新宿署で1万5660件。ここも、98年は1万3906件、99年は1万4738件なのに00年は1万929件とがくんと減っている。やはり警察犯罪・不祥事報道の影響なのだろうか。
 ところが渋谷署は、00年は1万2527件で前年と変わらないのに、なぜか01年は1万407件。01年といえばSMAPの稲垣吾郎さんが放置駐車違反に関連して渋谷で逮捕された年。マスコミで大騒ぎになったので渋谷署は標章の取り付けを控えた? なーんて想像もできたりして。
 

■反則金の予算■

 反則金の収入は「交通安全対策特別交付金」として都道府県、市町村に交付され、信号機や標識など交通安全施設の設置・管理に充てられることになっている。交付するのは総務省。翌年度にいくら交付するか、警察庁と協議して決めるそうだ。
 その予算額を総務省に尋ねてみた。

 98年度 約891億円
 99年度 約890億円
 00年度 約882億円
 01年度 約855億円
 02年度 約816億円

 実際に交付した額は、集めた反則金総額とほぼイコールで、98年、99年の交付額は予算額の約98%だった。現場警察官が忠実にノルマを消化したってことか。犀川さんの指摘を踏まえると哀しい数字といえよう。
 ところが00年は約85%、01年は少し持ち直したが約90%。やっぱりこれもあの警察犯罪・不祥事報道の影響なんだろうね。

■スピード違反取り締まり■

 警察庁のホームページに、超過速度別の取り締まり件数(02年)がある。ここまで細かな分類はこれまで公開されていなかったんじゃないだろうか。

 15q/h未満     134件
 20q/h未満 60万1139件
  25q/h未満 93万8637件
 30q/h未満 49万2942件
 50q/h未満 51万 956件
 50q/h以上  5万6815件
 合計      260万 623件

 一般道では超過30q/h未満は青キップ。反則金ですむし、イッパツ免停にもならない。だから「制限速度以下で走るのは現実的でないけど、超えても30q/hオーバーまでいかない程度にしている。常識的にも20q/h前後のオーバーでは捕まらんだろう」なんて運転者は少なくない。
 だが、超過20〜24q/hの取り締まりがじつはダントツトップなんだねえ。「超過15〜19q/hくらいで捕まえるかよ」と思う人が多いだろうけど、じつはそれが第2位。超過15q/h未満の取り締まりも、たった134件とはいえ現実にあるというのが、なんか驚きだ。
 一方、超過50q/h以上は5万6815件。ムチャクチャ飛ばすヤツは実際にはそんなにはいないと、まあ大ざっぱに言えるのかな。
 どう、データはおもしろいでしょ。またご報告するね。

 

ドライバー』(八重洲出版)2003年6-05号に若干加筆。

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