宇都宮北道路の制限速度は
どう引き上げられた?

 

 

 2005年11月8日から、国道119号(通称「宇都宮北道路」。03年3月24日開通)の制限速度が、流出部付近を除いて80q/hになった。
 あわせて、それまで通行禁止だった歩行者、自転車、原付に加え、ミニカー、小特、125cc以下の二輪車も禁止された(05年11月現在)。80q/h制限の高速道路と同じようになったわけだ。
 引き上げがニュースで報じられたのが9月1日。すぐに私は栃木県警に対し、情報公開条例にもとづき「なぜそのようにすることとしたのか、理由や検討・議論がわかる文書」の開示を求めた。
 開示された文書は6件14枚。1件ずつ簡単にご紹介しよう。

1 速度規制見直し要望に関する葉書の写し
 03年3月31日消印の、栃木県警交通規制課宛ての1枚のハガキ。「全線高架の準高速道路だそう」だから「本来の設計速度80q/hとすべき」と書かれている。神奈川の保土ヶ谷バイパスが一般国道なのに80q/h制限であることが挙げられている。
 ちなみに、「一般道の上限は60q/hのはず」と思い込んでる人が多いようだが、それは勘違い。道路交通法22条は、まずは公安委員会が標識等により規制した最高速度を、そして「その他の道路においては制令で定める最高速度」を守るよう義務づけている。後段の制令が、一般道では普通車等は60q/h、原付は30q/hというやつだ。つまり、標識による規制のほうが優位なのである。

2 道路種別の照会について
 03年4月3日に保土ヶ谷バイパスのことを神奈川の交通規制課に尋ねたら「自動車専用道路です」と即回答があったという「電話記録用紙」。

3 広聴事案の送付について
 04年1月10日に、「高速道路と誤解し、かなりのスピードで走行している車が多い」との電子メールを受理したという報告書。

4 広聴事案受理書
 04年10月6日、「高速道路と間違えて、皆100キロ位で走っています。標識を設置したら良いと思う」との電話を受理したという文書。
「参考意見として係に伝えておきますがよろしいですか」
「はい、お願いします」
 と、交わされた会話が記録されている。そんな文書がいちいち作成され、保存されてるんだねぇ。

5 会議出席結果報告書
 05年7月8日に開かれた「宇都宮北道路の速度規制検討会議」の報告書。
 出席者は、県の土木部から9名、警察から5名となっている。「60キロで走っている車は少ないので、道路の設計速度どおりの最高速度80キロへの引き上げを検討している。……道路管理者の立場から安全対策への協力をお願いしたい」と交通規制課長が言い、県の道路維持課長が「異論はない」と応じている。「安全対策の工期等を検討したい」とも書かれている。

6 交通規制の実施について
 05年8月31日の公安委員会に諮るため、8月22日に起案され翌23日に決裁された「回議用紙」だ。
 地図や規制距離などが添付され、こう書かれている。
「起点及び終点部を除き全て高架または盛土構造で設計速度80q/hの高規格道路であり供用開始に際しては、一般道路であり事故防止等の観点から最高速度は法定の60q/hとしていたが、実勢速度も80q/hを超え自動車専用道路並みの利用実態となった。(今後)利用者の増加が見込まれ、アクセス道路としての機能を十分に発揮させるため、本線部の最高速度を80q/hに引き上げて交通の円滑を図るとともに流出部付近の最高速度を60q/h〜40q/hに指定して交通事故の抑止を図ろうとするもの」

 とまあ、そんなふうな手順を踏んで引き上げが実施されたわけだね。
 印象としては、もともと設計速度どおり80q/h制限でよかったのに、なぜか60q/h制限にしてしまい、開通から2年半後、ハガキと電子メールと電話と計3本の要望があったことを理由に正常な状態にした…って感じかな。
 制限速度よりずっと高い「実勢速度」で安全・円滑に流れている道路は、他にもたくさんあるはず。とりあえず、どんどん「要望」を出して「受理書」を作成・保存させてみてはどうだろう。
 

2006年3月号あたりの『XaCAR(ザッカー)』(三栄書房・CFM出版)の連載記事より。

 

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