短縮講習体験記

 

ミニコミ紙「月刊交通違反」の第33号と34号に掲載させていただい投稿です。
停止処分者講習(いわゆる短縮講習)で90日免停を45日間短縮された体験記です。
この方は、処分自体が不当だということでやや怒りの口調になっているようです。
1999年の体験記ですので、現在の講習とは若干異なります。
いくらかでもご参考になれば。

 

 99年6月某日、免停停期間を短縮するための講習、その1日目を受けてきた。
 「安全運転学校」というらしい。我々はそこの生徒ということになる。2日間の講習料は2万7600円。支払い先は「東京交通安全協会」。集まったのは58人。うち女性1
人。年齢はバラバラだった。

 教室は警視庁の府中試験場1号館3階。
 小学校のような机が並んでいて、ひとつひとつに番号札がついていた。講師は試験官だった人、自衛隊にいた人など合計5人。みんな退職後来た人たちでしょう。テキストは「ルールとマナー」と言う本で「財団法人全日本交通安全協会」の発行となっていた。
 タイムスケジュールは以下の通り。

1時限  9:20〜10:00  受講上の諸注意
2時限 10:10〜11:00  運転適性検査の実施
3時限 11:10〜12:00  道路交通の現状と
           運転者の社会的立場
     12:00〜13:00  昼休み
4時限 13:00〜14:00  道路交通法の知識及び
           安全運転の方法と構造
5時限 14:10〜14:40  事故事例に基づく安全
           運転の方法(視聴覚)
6時限 14:50〜16:00  実車による診断と指導
7時限 16:10〜16:30  処分書返還
           2日目の諸注意

 すごい内容でしょ。2万7600円も払った意味があるってもんだ。

【1時限】 諸注意ということなんだけど、言われたのは「寝るな」「開始時刻に遅れるな」「文句があるなら任意だから帰れ」の3点。ホント、帰れと言う言葉が好きな人たちだね。

2時限】 適性検査。これは知能テストというかSPIというか、そんなテスト。制限時間内に計算したり、同じ図を探してチェックするとか、三角を書き続けるとか、結構疲れる。5個の図のうち、1個だけ他のものと違う図を見つけるテストで時間内に全部終わってしまい、顔を上げていたら、教官に答案をチェックされた。
 そのあと、制限時間が来てから
「ぜんぶ終わった人いますか。一人いたみたいですけど」
 と言い、私以外に誰もいないと、
「これは普通終わらないようにできているんですよ。全部終わる人は歯車が狂っているか、なにかおかしいんですね。」
 だと。じゃあ何かい?俺は歯車が狂っているのか。俺から言わせれば、終わらない方がおかしい。だって簡単だもの。みんな頭を使っていないんじゃないの。キレそうになったが、大人なので我慢、我慢。

【3時限】 隠れたベストセラー、年間16万部(免停者の数)以上売れると言われている、「ルールとマナー」(警察庁交通局運転免許課監修)という、講習後ソクゴミとなること確実の本をテキストにして講義。2日目のテストに出題されるところだけ、ヤマをかけて、かいつまんで教える。不思議なことに確実に当たるらしい。一応テキストには印を付けたが、聞く気なし。
 面白かったのは「ショートカット」について説明を受けたこと。交差点を曲がるとき、ショートカットをすると、死角が増えて危険だということらしい。ニッキー・グリスト風に言うと「
Don't short cut!」ということだ。まあ、岩とか溝とかはないと思うけどね。ちなみに日本語で言うと「近道進行」と言うらしい。

【4時限】 3時限の講義の続き。同じ本に基づいて、テストに出題するところに印を付ける。内容については書くこともないくらいに何にもない。あれで寝るなというのは、催眠術をかけながら、寝るなと言うようなもの。

【5時限】 ビデオを観る。タイトルは「シートベルト2」。「2」ですよ、「2」。続編な訳だよね。だったら「1」も観ないと内容がわかんないのでは。などと考えつつ、観る。要はシートベルトをしていないと危険だということ。後部座席もしないとダメだ、ということだった。次々とオフセット衝突の映像が流れてダミー人形が吹っ飛んでいました。

【6時限】 実車による指導。試験場内のコースで運転し、指導を受ける。車はアコード2.0VTS。おお、ホンダ車じゃないですか。これだけで心うきうき。AT車なのが残念だが、まあ、しょうがないだろう。
 4人ずつに分かれて車に乗り込む。いやー、楽しいね。最初わからない振りして、ふかしちゃった。うーん、ホンダミュージック。内容としては、順番にコースを走る。S字だとかクランク、踏切、加速して50km/h
とか、試験内容と同じだね。交代して4人全員運転し、教官の指導を受けるのだけど、一緒に乗った4人のうち3人は指導なし。残念な事に注意を受けた人は、緊張したのかな。クランクで脱輪してしまいました。試験じゃないから、かまわないんだけどね。久しぶりに運転できて満足でした。

【7時限】 1日目最後。明日9:20までに来いとだけ言われた。

  ――次号へつづく
 

 翌日――。免停期間短縮のための講習2日目。タイムスケジュールは以下の通り。

1時限  9:30〜10:10  運転シミュレータによる診断と指導
2時限 10:20〜10:40  道路交通法の知識
             及び安全運転の方法と構造
3時限 10:40〜11:20  考査
4時限 11:30〜12:00  運転シミュレータの診断結果に基づく指導

      12:00〜13:00  昼休み

5時限 13:00〜13:50  運転適性検査の診断結果に基づく指導
6時限 14:00〜14:40  事故事例の基づく安全運転の方法
7時限 14:50〜16:00  実車による診断と指導
8時限 16:10〜16:30  講習終了に伴う諸注意、処分書返還

【1時限】 シミュレータを運転する。部屋に30台のシミュレータが置いてあり、各々座って運転する。ステアリングやメータパネルから見て、三菱製だ。ミッションはMTとATが選べる。あとでわかったが、選んでも意味がなかった。このときは知らないのでMTを選んだ。
 運転したインプレッションを言うと、「ダメ! こんなんじゃ、意味がない」と言うこと。免許がない人ならともかく、一度でも実車を運転した人は、これじゃ怖い。だって、サイドミラーは右しかないし、ステアリングは軽すぎて、フロントの接地感が感じられない。ブレーキペダルは反力がないし、初期制動力が全然ない。そのくせ、踏み込むといきなりロックする。(スキール音が聞こえる)。なんというか、ブレーキディスクにはオイルが付いていてめちやくちゃエアーの入ったテンパータイヤのついた車という感じ。クラッチは踏むと重くなると言う訳が分からないセッティング。
 笑えるのが、フロントウインドウの真ん中付近の印。これがボンネットの中心だから、これを目安に車両感覚をつかめだと。そんな運転している奴はいねぇって。いやホントに。
 それに運転していて気づいたんだけど、MTを選んだのに勝手にシフトアップする。だから発進もクラッチ踏まずにローに入れ、アクセル踏めば走り出す。シフトチェンジしなくても大丈夫。逆にシフトダウンしても、エンブレは効かない。しかもシフトに節度はないし、チタンの削りだしシフトノブでもない。
 そして、最悪なのが視点。交差点とかで左右を確認するときは首を左右に振って確認するでしょ。それに、周辺視野で周りを確認しながら走るじゃない、普通。でもね、シミュレータは真っ正面しかみえない。首を振る代わりに、ダッシュパネルの左右のボタンを押す。そうすると画面に右か左の様子が写るのだ。運転しながら、右を見るときは右のボタンを押すなんて。そんな運転できないよ。だいたい左右両方見るときは最悪だし。
 交差点で右から来たチャリンコのガキをはねたんだけど、右見たとき(右のビューを見たとき)居なくて、正面向いて走り出したらいきなり右から来た。どうしていきなり現れたんだ。どう考えても不思議だ。上から降ってきたとしか思えない。しかも、時速2.5km/hでぶつかったのに、すごい音がして吹っ飛んでいった。ジャパンアクションクラブ顔負けの迫力あるスタント演技だ。
 ちなみに駐車車両の間から飛び出してきた人は30cm前で何とか止まれて、はねなくてすんだ。でもね、この人、歩道に居たときはみえなかったんだよ。普通、大人が立っていれば、乗用車の上には頭がみえるでしょ。でも、居なかった。その後いきなり現れたところから想像するに、歩道から駐車車両の間をしゃがんでか、這って道路まで来て、飛び出すときに、立ち上がったんでしょうね。ほふく前進で歩道を歩き、道路に飛び出す人って、その方が問題なような気がするが。
 右折の時もぶつかりはしなかったが、どう考えてもみんな、私にぶつかりに来ている。当たり屋が至る所にいる街を、死角が多く、操作性最悪の車で走っているようなものだ。
 あと、あちこちで「右曲がれ」だとか「直進だ」とか、「ガッシャーン」とか聞こえるから自分のナビが、なんと言っているのかわからなくなる。どうせなら「1 left !」とか「Care Jay walker !
」とか言ってくれた方がいいね。

【2時限】 テストのための復習。意味はない。時間の無駄。

【3時限】 テスト。20分用意されているが5分で終わる。内容は教官のヤマが当たっているので簡単。

【4時限】 1時限のシミュレータの結果から診断。要は交通法規を守れ、と言うこと。あれをうまく運転できる人は変だと思うけどね。でも2度目の人はうまく行くかも。飛び出すポイントがわかるし。私も次はOKだ。って、やるつもりはないが。

【5時限】 昨日の適性検査の結果から診断。私は状況判断力が5段階評価の5。道路の危険を敏感に感じ取れる能力が高いと言うことだ。でも5の人は逆に危険なんだとさ。理由は「視野は広く、余裕を持って走ることができるはずなのに、運転なんて簡単、と油断から運転中に他のことをしたり、車の性能を試そうとして、無理をする事がある」からだそうだ。車の性能を試そうとして……?
 それはさておき、その他、動作の正確性、衝動抑制性共に5。動作の速さが2なんだけど、これってテストの際の筆記の速さでしょ。私が使ったのは右手。私は
southpaw、利き手じゃないんだぜ。当たり前じゃん。

【6時限】 無駄話。内容なし。

【7時限】 実車。また乗れるんですよ。アコード。今回は「今までの勉強の成果を生かして、昨日と違う運転をしてください」とのことだが、私としては何も変わらないと思う。だから、同じ運転をしたし、何も言われなかった。

【8時限】 処分書を返してもらう。テストが優秀?だったので、90日の停止期間が45日に短縮された。当たり前だけどね。だって寝ていたって、受かるんだから。もしかしたら採点していないんじゃないかな。答案は返されないし。

★     ★

 2日間、13時間、2万7600円の講習を受けたわけだが、これからの安全運転への影響なども考慮し、価値を判断すると、「ちょー有益って感じ!」というのはウソだ。そんなこと言う訳がない。

 45日縮めるために2日間、13時間、2万7600円を費やした、と言う感じ。得られたのは、安全運転のために必要な知識でも技術でもない。不当な免許停止期間が45日短縮されたという事だけだ。それ以上でも以下でもない。個人的には2万7600円で45日を買ったようなものだ。

 まあ、よく考えれば30免停の人たちが1日で受ける講義と同じ内容な訳だし、当然ながら、講習全体は1日で終わる内容なのでしょう。それを2日にしてやらなきゃ行けないので内容をうすーく、のばしているのだ。これにより、日数を2日にして、講習代金を高くしているわけね。なんとまあ、うまい商売だこと。さすが警視庁、考えることが違うね。我々庶民は、そういうことを「ボッタクリ」と言うんだけど。

             [不明/東京都]

他の日数の短縮講習、違反者講習(処分歴がカウントされない講習)、
取消処分者講習、初心運転者講習など、
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