『駐禁ウォーズ!!』(小学館スピリッツ・コミック)の主人公・羽鳥裕子は、パーキングメータの白線内に駐車し、料金を後払いか先払いか間違えたのを違反だとされ、レッカー移動されました。
 以下は、そのレッカー移動について、羽鳥裕子(あのキャラクターの羽鳥裕子)が書いた「不服申立書」です。マンガではごく一部しか出ていませんが。
 なお、マンガの主人公が書いたものですから、あくまで読み物としてお読みください。いくらかでもご参考になるところがあれば幸いです。

   不 服 申 立 書

                 2001年●月●日
神奈玉県公安委員会 御中

 道路交通法第51条第6項に基づく駐車違反のレッカー移動について、行政不服審査法に基づき不服申立をする。
   (※この1行は本来不要。羽鳥が勢いで書いた)

1、不服申立人の氏名及び年齢並びに住所

 羽鳥裕子   ●歳
 神奈玉県沼田市▲▲町●●丁目●番地●号
             ▲▲荘 ●号室

2、不服申立に係る処分

 申立人・羽鳥裕子(以下「申立人」という)が、2001年●月●日午後●時●分頃、沼田市▲▲町●丁目付近のパーキングメータの白線内にきちんと駐車していた乗用車(所有者は諏訪真一郎。以下「本件車両」という)を、神奈玉県警沼田署の稲子原巡査長により、駐車違反であるとしてレッカー移動され、同日午後●時●分頃、同署において当該レッカー移動の料金1万4000円および保管料800円、合計1万4800円を納入するよう請求された処分。(※ここはこんなに詳しく書かなくても良い)

3、不服申立に係る処分があったことを知った年月日

 2000年●月●日。

4、審査請求の趣旨及び理由

趣旨
 本件1万4800円を納入せよとの請求を取り消す、との裁決を求める。
 加えて、警察を民主的に管理する立場にある公安委員会においては、本件のような違法なレッカー移動を二度としないよう、稲子原巡査長および蛭川署長、および関係各位に厳しく指導するよう申し入れるものである。
(※「加えて」以下は請求の趣旨にはなり得ない。羽鳥は勢いで書いちゃった)

理由
(1) 
申立人は、2001年●月●日午後●時●分頃、本件車両を運転し、沼田市▲▲町●丁目付近へやって来た。そして、付近道路に設置されていたパーキングメータの、その白線で囲われた区画内に、本件車両をきちんと駐車した。

(2) 申立人は、パーキングメータにおける駐車が有料であり、料金が60分300円であることは、以前より知人等から聞いて漠然と知っていた。また、パーキングメータの説明をざっと見たところ、「60分」「300円」との文字があり、以前より漠然と知っていたことに間違いないとわかった。
 しかし申立人は、そうしたパーキングを利用するのは初めてで、かつ、一般の有料駐車場は料金後払いである(先払いの駐車場など見たことがない)ことから、パーキングメータも後払いであろうと、300円を投入することなく本件車両を離れた。

(3) その後、申立人は、午後●時●分頃になり、60分を20分ほど超えた頃、100円玉6枚、計600円を用意し、パーキングメータの本件車両のところへ戻った。
 すると、何者かが、こともあろうに白昼堂々、本件車両をレッカー車で持ち去ろうとしていた。
 申立人は、これは自動車泥棒に違いないと思い、本件車両を取り返そうとした。
 さらに申立人は、そばにミニパトの婦警(のちに稲子原巡査長と判明)がいたので、応援を求めた。
 ところが、その稲子原巡査長は、駐車違反だからレッカー移動するのだと、申立人にとっては信じがたい、驚天動地のことを言うのだった。
 申立人は、このとき初めて、パーキングメータは料金先払いであることを知った。申立人としては、稲子原巡査長がなぜレッカー移動させようとしているのかまったく理解しがたいものの、何かしらの理由により移動の必要があるにしても、運転者である自分がそばにいるのだからレッカー移動は止め、駐車料の600円、および延滞料金のようなものを徴収されて(または支払いの方法を教示されて)終わるのものと思った。
 ところが、である。稲子原巡査長は、運転者である申立人がいるにもかかわらず、「違反だから」との理由で、強引にもレッカー移動を継続させて本件車両を持ち去らせ、申立人に対して、あとで沼田署へ出頭するよう命じるのだった!!
 申立人は、何がなんだかわからず、唖然とするほかなかった。

(4) 約●分後、沼田署へ出頭した申立人は、何がなんだかわからないまま駐車違反で違反キップを切られ(それが交通取り締まりを受けたことになるだと申立人は後に知った)、続いて、レッカー料金1万4000円と保管料800円、合計1万4800円を請求された。
 駐車料600円プラス延滞金のようなものを請求されるなら話はわかる。だが、申立人は、駐車しても良い白線内にきちんと駐車し、駐車料を先払いか後払いか間違えただけなのである。それにもかかわらず、必要もないのに勝手に乗用車を持ち去り、その持ち去り料として1万4800円も請求されることには到底納得いかず、申立人は請求に応じなかった。払わなかった。当たり前である。こんなことで1万4800円もハイハイ払う者がいたら、そいつは大バカである。 

(5) 稲子原巡査長によると、本件レッカー移動の根拠は、道路交通法第51条第6項だそうである。それをもとに稲子原巡査長は「違反なら移動できる」「違反だから移動した」と言うのである。
 ところが、同条同項にはそんなことは書かれていない。かわりに、なんと、駐禁レッカー移動とは「道路における危険を防止し、又は交通の円滑を図るため必要な限度において」「移動することができる」のだと明記されているではないか!
 道路交通法第51条第6項は、「違反なら」「違反だから」というだけではダメであり、「道路における危険を防止し、又は交通の円滑を図るため必要な限度において」のみ移動できる、としているのである。

(6) さらに、「違法駐車に対する措置について」という通達(警察庁丙保発第50号)がある。「警察庁保安局長から各管区警察局長、警視総監、各道府県警察(方面)本部長あて」で、1960年12月19日に出されたものである。
 そこには、なんとこう書かれている。
「この規定の趣旨は、旧法令においては、駐車の制限に関する規定に違反して駐車している車両があり、そのため交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあっても、警察官は、犯罪捜査としては処理できても、これに対して移動する等の措置を命じ、又は自らこれを移動する等の措置をとることはできなかったので、このような事態に対処して警察署長又は警察官が駐車の方法の変更、移動等の措置をとることができること及びその手続を定めたものである。この規定の運用に当たっては、この規定に定められている要件を厳格に守り、その手続を慎重にして、いやしくも不当に車両の所有者又は使用者の権利を侵害するようなことがないようにしなければならない。この規定の運用について特に留意すべき点は、次のとおりである」
 「留意すべき点」として挙げられた「ア」から「エ」の、最初の「ア」には、なんとこう書かれている。
「ア この規定による措置は、単に違法な駐車があるということだけでは足りず、その違法駐車により具体的な交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれもある場合における措置である」
 つまり、それまでは、危険で迷惑なバカヤロウ駐車があっても、違反として取り締まることしかできず、危険で迷惑な状態を解消することはできなかったので、それをできるようにした、ただし、個人の財産に警察権力(行政)が手を付けるわけだから、法の目的を逸脱した恣意的な運用があってはならない、その違法駐車が、具体的な交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれもある場合に限り、この規定は運用できるのだ、そこんとこ特に留意しなさいよ、ということである。
 では、申立人の駐車はどうだったか。
 申立人が駐車した場所は、「具体的な交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれも」ないからこそ、白線で囲われて設けられた駐車スペースなのである。
 申立人の側にあるミスは、駐車料を、先払いか後払いか勘違いしたことにより、先払いしていなかっただけである。このことは、料金の支払いの問題、すなわち民事上の債権・債務の問題であって、上記通達がいう「具体的な交通の危険を生じさせ」るとか、「著しく交通の妨害となるおそれも」生じるとか、そういうこととはまったく関係がない。
 「具体的な交通の危険を生じさせ」るとか「著しく交通の妨害となるおそれもある」とかいう具体的な危険性、迷惑性が、同じ態様の駐車について、駐車料を先払いしたがゆえになく、先払いしなかったがゆえにあるなどと、そんなバカげた話はないのである。小学生にもわかる話である(小学生さん、バカにしてごめんね)。

(7) また、警視庁交通部作成の『実務 駐車取締り』という本(表紙に「取扱注意」とあり部外秘と思われる)では、その262ページで、1971年に同条の同項などが改正されたことを紹介する中で、「移動措置ができる前提条件であった『交通の危険を生じさせ、又は著しい交通の妨害となるおそれがある違法駐車』の規定が定められた」と書かれている。

(8) また、『執務資料 道路交通法解説 11訂版』(東京法令出版)という本もある。これは、野下文生氏(元大分県警察本部交通部管理官兼交通企画課長)原著、道路交通執務研究会編著の、「全国の警察官をはじめ交通問題にたずさわる方々」に向けた本である。
 その499ページに、「道路における交通の危険を防止し、又は交通の円滑を図るため必要な限度において」についての解説がある。
 なんと、「必要な限度をこえた権限行使は違法な権限行使となる」と解説されているではないか!

(9) 以上のことから、本件レッカー移動が道路交通法第51条第6項の規定に反して行なわれたものであること、すなわち本件レッカー移動は違法というべきであることは、まったく明白である。
 よって、申立人は、本件1万4800円の請求の取り消しを求めるものである。
 
(10) なお、本件レッカー移動の作業を行なった株式会社マルケイロードは、申立人が登記簿謄本を調べたところ、元警察庁長官を取締役に加えている。そして、本件レッカー移動の料金1万4000円は、一般車のレッカー移動を広く行なっているJAFのレッカー料金と比べると、かなり高い。
 マルケイロードのレッカー移動業務は、警察のミニパトとチームを組んで、違法駐車に対するレッカー移動を専門に行なっているとのことであるが、元警察庁長官を天下りさせ、警察と組んで違法なレッカー移動により暴利をむさぼっているとすれば、これは看過できない重大な問題である。
 なぜなら、全国7500万運転者をして、警察への信頼を損なわせるどころか反感を持たせ、かつ、市民のためにと日々職務に専念する善良な警察官の誇り、良心、やる気をくじき、そしてなにより、違法な駐車を野放しにして交通の安全・円滑を疎外することになるだろうからである。
 昨今、公安委員会の形骸化が報道されるところではあるが、警察を民主的に管理するという本来の目的、存在意義に立ち返り、市民のために、善良な警察官たちのために、どうか公正なご判断をお願いするものである。
 
5、処分庁の教示の有無及びその内容

 有り。前記2で同署において本件請求を受けたとき渡された「納入通知書兼領収証書」に、60日以内に神奈玉県公安委員会に対し不服申立ができると記載されていた。さらに申立人は後日、蛭川沼田署長からもその旨聞いた。

6、審査請求の年月日

 2001年●月●日

 

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