赤キップを交付されなかった

 

 非反則行為に対する赤キップは、ドライバーに交付されないことがときどきある。
 それで、「おまわりのヤツ、チャラにする気かな」な〜んて思う人もいるようだ。
 まあ、チャラになる場合もまれにあるかもしれないが、そう甘くはない。
 赤キップの交付はなくても、手続き(刑事手続き)はしっかりすすんでいく場合がほとんどだ。

 赤キップの場合、青キップと違って、キップをかならずドライバーに交付しろという規定はない。
 赤キップの裏には、いわゆる交通裁判所の場所が印刷されている。赤キップは、「あんた、これこれの日にここの交通裁判所へ出頭しなさい」と告知する書類でもあるのだ。
 でもって、その交通裁判所は、その赤キップを交付した都道府県の交通裁判所となっている。たとえば東京都(警視庁)の警察官が交付する赤キップには、東京都の交通裁判所(錦糸町と立川とにある)の地図が印刷されているわけ。

 しかし、たとえば群馬県のドライバーが東京都で赤キップを切られた場合、通常は群馬県の交通裁判所で罰金を払って終わることになる。群馬県の交通裁判所への出頭の通知は、後日ハガキで行われる。警視庁の警察官が交付した赤キップの裏面の地図はムダになる……。
 おそらくはそういう理由で、他の都道府県のドライバーには赤キップを交付しないことがよくある。

 けれど、群馬県のドライバーを群馬県警が取り締まった場合でも、警察官は赤キップを交付しないことがある。とくに、ドライバーが「オレは無実だ」とか取り締まりに不服を言ったときに、しばしばある。
 これは、警察がナニを考えてそうするかはともかく、ドライバーにとっては不当なことである。
 なぜって、キップが手元にないと、いつどこでだれから何の容疑で取締りを受けたのか、わからないでしょ。そのときは興奮して憶えていても、時間がたてば記憶はあやしくなるものだ。
 また、告知番号(キップにはとおし番号が入っている)もわからないから、どこかへ抗議や相談をしようにも事実をちゃんと伝えられない。それに、「もしかして握りつぶしか?」なんて甘い気持ちがわき、初動捜査ならぬ「初動準備」を怠ってしまい、あとで不利になることもある。
 そういう状態のところに突然、呼び出しがきたりすると、オロオロしてしまう。現場では正当な不服を言っていても、屈服してしまいやすい。
 これは「防御権の侵害」といえ、けしからんことだと私は思う。

 なお、赤キップが交付される場合、免許証が保管されることが多い。
 赤キップの表面は、下のほう3分の1くらいが免許証の「保管証」になっている。警察官は、免許証を預かり、その「保管証」の欄にドライバーの氏名や免許証番号、いつまで預かるかなどを書き入れることがある。
 すると、記入された日付の日まで、保管証が免許証のかわりになる。ホンモノの免許証を持っていなくても、免許不携帯ではないよ、赤キップを持っていれば運転していいよ、という意味だ。免許停止処分とはちがう。
 指示された出頭場所(普通はいわゆる交通裁判所)へ行くと、免許証は返還される。免停処分はまたべつの手続きで行われる。

 

トップページへ  FAQの目次へ  FAQの最初のページへ