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黙秘権 (供述拒否権)の行使について


 取り締まりを受けたときの状況などを警察に説明すると、警察は、
「ははあ、こいつはここを問題にしているのか。当時の本当の状況はこうだったのか。なら、こういうふうな報告書をつくって、つぶしてやれ」
 となるおそれがあります。
 検察官に話すと、検察官は警察に伝え、同じようになることが考えられます。

 そこで、
黙秘権(供述拒否権)があるんだ。俺は捜査には一切応じない。調書は1通も取らせない。すべては裁判でぶつける」
 という人もいます。そ のスタイルで不起訴になったケースもあると聞きます(そのスタイルゆえに不起訴になったとは限らないかと思います)。

※ 「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」(日本国憲法38条1項)。
※ 「供述拒否権」というものもあります(刑事訴訟法198条、311条1項)。

 しかし、私の考えはちょっと違います。
 警察の報告書というのはもともと、
「取り締まった以上、その違反は悪質なのである。悪質なヤツを処罰させるためには、どんなウソをついてもかまわない」
 という前提のもと、取り締まりはカンペキに正しかったというシナリオに沿ってつくられるもの、と思っておくべきでしょう。実際、警察がつくった図面があまりにも事実と違うことに、ぶったまげてしまう運転者は少なくありません。

 つまり、警察の捜査や報告書というのは、もともとそういうものであり、運転者が当時の状況を説明すると、そのウソが(程度の差はありますが)巧妙さを増す場合がある、ということなのだといえます。

 もちろん、捜査の段階で警察・検察に情報を与えずにいれば、裁判になったとき、警察官を証人として呼んでキリキリ尋問し、ボロボロにすることができるかもしれません。
 しかし、です。
 いかに警察・検察がボロボロになっても、いったん裁判までいけば、無罪になることは、まず期待できません。警察・検察のメンツをつぶす無罪判決を書くためには、裁判官は非常な勇気を必要とするそうです。有罪率は99.8%とも99.9%ともいわれます。日本の裁判とはそういうものなのです。

 そして、法律の素人が「黙秘権 (供述拒否権)の行使」を1人でうまく行えるとは思えません。
「まったく口をきかないのも妙だから、差し障りのない話はしていいだろう」
 と考えると、そこを突破口に、問いつめられかねません。
「有利なことをふくらませて言い、不利なことは黙秘しよう」
 という中途半端は、たぶんとおらないだろうと思います。
 彼らは、自白させることのプロなのです。 被疑者に不利な(当局に有利な)調書を取ることのプロなのです。
 また、生半可な気持ちで出頭を拒否し続けると、逮捕をちらつかされたり、家族や職場に脅しのような呼び出しをかけられることが予想されます。弱みをつくのが捜査の基本といえます。

 それに、警察で説明せず(警察捜査の段階での日付が入った書類に記載がなく)、検察でも説明しなかった(同)ことを、裁判になってから説明・主張した場合、
「警察でも検察でも、そんなこと はまったく言ってなかった。起訴されていよいよヤバイ事態になったので、なんとか言い逃れしようと思いついた(または途中で誰かから入れ知恵された)のだろう」
 などと 見られるリスクもあります。

 一方、私が30年近くにわたって全国の多 くのケースを見てきた感じでは、検察官は、運転者の詳細な説明に接して、
「うむ、この人はマジメな人だ。誠実で真剣な人だ。違反を続けていつか事故るようなことはないだろう。こういう人を、この程度の違反で法廷に被告人として立たせ処罰しても、得るものはない」
 とでも思うのか、あるいは、
「うむう、ずいぶん気合いの入った人だな。彼の詳細で信憑性ある書面によると、取り締まりにも少々問題があったようだ。 ここまで頑張ったことで“お疲れさん”としてやろうか」
 とでも思うのか、不起訴にすることが少なくないようです。
 ありのまますべてを説明して不起訴になる人は、たくさんいます。というか、私が「不起訴になった」と報告を受けているのは、ほとんどすべてそういうケースです。

 以上のようなことから、私としては、信頼できる弁護士のサポートでもない限り、黙秘権 (供述拒否権)行使、出頭拒否というやり方でいくより、ありのまますべてを説明するほうが、自分の気持ちに負担がなく、堂々としていることができ、勝っても負けてもすっきりするのではないかと、大ざっぱな言い方ですがそう思うのです 。
 なお、これは私の考えであって、あなたが縛られる必要はありません。どうするか、ご自身でよく考えてお決めください。

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