本当に無実なの?

 

 日々ご相談のメールを拝見していると、ときどき「あれ…?」となることがあります。以下のように考えている方がどうも少なくないような。

 違反は事実だけども、危険とか迷惑とか一切なかったじゃないか。納得いかない。不服を主張したい。
 しかし、こういうことは、違反したかしなかったか、2つに1つ。
 不服を主張するためには、「違反してない! 容疑は無実だ!」と言わなければならない。そういう不服でないと相手にされない。
 そこで、本当は無実じゃないけど「無実だ!」と主張しなきゃいけないんだ。

 それは、とんでもない勘違いですよ。
 ぜひ平日に休みを取って裁判所へ行き、窃盗事件でも覚せい剤事件でも傍聴してみてください。ほぼすべての刑事裁判は(それが本当かどうか定かではありませんが)犯行は事実と認め、「しかしこれこれの事情があるので、どうか情状を酌量して寛大な刑をお願いします」というものです。
 違反は事実だけども、危険とか迷惑とか一切なかったなら、刑罰を科すに当たって、そこんとこも参考にして決める、それは本来、当たり前のことなのです。
 刑事訴訟法第248条には、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」と定められています。違反は事実でも、「犯罪の軽重」などの情状により不起訴とする(刑罰を科さずに終わらせる)、そういう決着もあるのです。
 違反したかしなかったか2つに1つ、ではないのです。

 もちろん、何を主張するかはご本人の自由ですが、私としては、せっかく不安と闘いながら手続きをすすめるに当たって根本のところがウソっこじゃつまらないんじゃないの?と思います。

 

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