(1)反則金とは

 

●交通違反も犯罪

 『交通安全白書』によると、1999年まで10年間ほどの取り締まり件数年間およそ1300万件です (2000年は警察犯罪・不祥事の影響かだいぶ減っていますが)。
 そのうち
シートベルト違反が約400万件を占めています。シートベルト違反は点数が1点つくだけです。

 そして残り約900万件、速度違反や駐車違反や一時不停止や酒気帯びや無免許など、「刑罰」の対象とされる違です(ほとんどすべてに点数もつきます)。
 こちらの違反はつまり、法律により罰則つきで禁止された(あるいは義務づけられた)ことを犯す行為ですから、法律上は犯罪(「刑事訴訟法」により扱われる刑事犯罪)に当たります。
 
たかが交通違反といえども、犯罪には違いないわけです。

 (1)から(4)にわたり、その処理手続きについてのだいたいの流れをご説明します。

 

●処罰は第三者が決める

 取り締まりを受けることイコールカネ≠払うこと
 そう思いこんでいる人が多いようですが、それは誤った迷信です。

違反容疑は事実なのか
事実として処罰する必要があるのか
あるとしてどれくらいの罰が適当なのか

 そういうことは、警察官が決めるのではありません。
 検察官、裁判官という第三者が、「刑事訴訟法」に定められた手続きにしたがって決めるのです。

 取り締まりは受けたけれども、たとえば「こんなので処罰されるのはおかしいぞ」と思えば、その思いは妥当なのかどうか、検察官、裁判官の判断をあおげるわけです。
 検察官、裁判官にそうやって決めさせる道を「刑事手続き」といいます。

 

●「反則金」とは

 しかし、です。
 毎年900万人もの
被疑者(交通違反の容疑により検挙された人)を刑事手続きへ送り込むと、検察庁、裁判所はたちまちパンクしてしまいます。
 そこで、軽微な違反については、

 運転者が反省して「反則金」という名のペナルティを払えば、刑事手続きには送らないことにしよう

 という制度になっています。
 これが「交通反則通告制度」で、1968年7月1日から施行されました。

 本当は、
「刑事手続きがパンクしそうなほどたくさんの違反者がなぜ出るんだ。おかしいぞ。交通ルール、交通取締りのほうに問題があるんじゃないか?」
 と考るべきだったと私は思うのですが、日本の行政は「無謬の原則」のもとにあるため、自分たちの行政行為が「おかしいかも」とは露ほども考えず、「処理を簡略化したり、罰則を重くしたり」でもって 対処していこうとするわけですね。

 

●青キップと赤キップ

 その軽微な違反を「反則行為」といいます。
 超過速度が30キロ(高速道路等では40キロ)未満の速度違反、一時不停止、駐車違反などが、反則行為とされています。

 反則行為で捕まった人には、いわゆる「青キップ」(「交通反則告知書」)と反則金の納付書が交付されます。
 さっき出てきた900万人くらいのうち毎年9割弱に、この青キップが切られています。

 残り1割強の人、つまり「非反則行為」で捕まった人には、いわゆる「赤キップ」(告知票)が交付されます。
 赤キップの違反は非反則ですから、反則金の納付書は交付されません。したがって、反則金を払ってオシマイにする機会は与えられず、最初から刑事手続きへすすむことになります。

 

●反則金の払い方

 青キップとともに交付された納付書は「仮納付」のためのものです。
 その納付書で払わない人には後日「
本納付」のための納付書が交付されます。

 本納付のための納付書の受け取り方は2つあります。
 1つは、「交通反則通告センター」というところへ
出頭して、係官から直接交付を受ける方法です。出頭の日時や場所は、青キップに記載されるのが普通です。
 もう1つは、出頭せず、同センターから
郵送
による交付を受ける方法です。

 どちらでも、反則金の金額は変わりません
 「それを払えば刑事手続きへは送られなくなる」ということについても変わりません。
 ただし、郵送による交付を受けた場合のみ、
郵送料の800円が納付額に加算されます。
 
本納付の期限がすぎたあとで、2回くらい督促のハガキが来ることもあります。このハガキにしたがって納付することもできます。

 反則金は、郵便局か銀行の窓口に払います。
「俺は、刑事手続きへすすんでも、すんませんくらいしか言うことがない。どうせカネを払うことになるんなら、簡単に早く払いたい」
 という人には、反則金の制度は便利です。

 余談ですが、集められた反則金(年間約900億円)は、交通安全対策特別交付金として、都道府県、市町村に対し、 信号機や標識など交通安全施設の設置・管理のために交付されます。

 このカネに警察の天下りが群がって甘い汁を吸う構造をつくっているのだと、2000年12月9日の朝日新聞が鋭く指摘していましたね。「納税者革命」「特別会計の闇」「"交通利権"巣食う談合」 「警察は設計価格を教えてくれた」「信号・標識…反則金を財源に」との見出しで。

 つまり、税金による給料で行なわれた取り締まり、そこから得られた莫大なカネが、警察OBが甘い汁を吸う縄張りへ落ちていく構造になっているわけです。
 ただ、それは組織の利権であって、現場の警察官は旨味を感じることはなく、ひたすら件数主義に追われるだけだそうです。

 こうした構造が、取り締まりのあり方に大きく影響しているように思われます。

 

●反則金を払わない

 反則金の納付は、義務ではありません。仮納付も本納付も、運転者本人の自由です。任意です。
 本納付しない(督促によっても払わない)運転者は、本来の道である刑事手続きへすすむことになります。
 ここから先は、赤キップの人と同じ道です。

 反則金の制度が誕生して30年以上たちますが、納付率は95パーセントを下回ったことが一度もありません。
 反則金は、取り締まりに不服がない人のための特別な、任意のペナルティですから、警察組織は、
「ほとんど100%の違反者が取り締まりに納得している」
 と胸を張り、同じ取り締まりを続けることができるわけですね。

 

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