標識がなかった、見えにくかった

 道路交通法第4条の規定にもとづき、都道府県の公安委員会は、標識や信号機を設置して交通の規制を行うことができます。
 その規制は、道路交通法施行令第1条の2で、
「歩行者、車両又は路面電車がその前方から見やすいように、かつ、道路または交通の状況に応じ必要と認める数のものを設置し、及び管理してしなければならない」
 と定められています。公安委員会はそのように義務付けられているということです。

 警察官らのための解説書である『執務資料 道路交通法解説 12訂版』(東京法令出版)は、次のように解説しています。
「有効適切な道路標識等を設置して行われなければ法的効力を生じないことになる」
「道路標識等は、この法律及び標識令に定めるところによつて適法に設置されなければならないことはもちろんであるが、その設置のしかたが歩行者や運転者等に客観的に認知できる、すなわち『分かりやすく』、『見やすい場所』に必要な数を設置することが必要であり、設置後においてもその維持管理について十分配慮して常に正常な状態に保つようにしなければ法律上有効な道路標識等ということはできないと解される」

 法的効力を生じない標識等により処罰されることはありません。点数も当然、抹消されるでしょう。

 「分かりやすい」とか「見やすい」とかいうのは主観的、感覚的な要素です。したがって、現実の道路および交通状況においては、運転者は「見にくい」と言い、警察官は「見やすい」と言う場合もあるでしょう。
 そういう場合は、どちらの感覚が妥当なのか、まずは検察官が判断することになります。検察官も「見やすい」と言い、しかし運転者はあくまで「見にくい」と言い、かつ、検察官が起訴(公判請求)すれば、裁判官が判断することになります。

 運転者が争い、標識等の設置に実際に瑕疵がある場合、警察は標識をつけ替えるとか街路樹の枝を切り払うとかしてしまいかねません。
 標識の不備を問題にして争う場合は――これは他人に説明するためにも当然のことですが――必ず直ちに写真を撮っておきましょう。写真は、さまざまな角度等から撮り、撮影者、撮影場所、撮影年月日時刻を記載しておきましょう。
 紙に貼り、写真と紙をまたいで割り印(契印)をし、その紙が複数枚にわたるときは紙同士にも契印をし、「写真撮影報告書」とタイトルをつけ(その表紙にも契印をし)、確定日付印を取っておく、そういう形だと法廷へ出す証拠としても十分に使え、ベストかと思います。
 ただし、そのとおりにやると「素人のお前がこんな念入りなやり方をどこで教わった。今井から知恵をつけられたな」と(自力で工夫した人も)見なされるかもしれません。
 私は、ごく当たり前のことを発表しているにすぎませんが、違反処理システムは皆がとにかくとっととカネを払うことを前提に成り立っており、私の発表を好ましく思わない人もいるかもしれません。そういう人に当たると、見せしめのために不利、不愉快な扱い を受けることも、もしかしたらあるかもしれません。そこはご承知おきください。

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