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新しい駐車違反取り締まり 


 2006年6月1日から、駐車違反の取締り方法が、まったく変わりました。
 新制度については 、拙著『交通違反でつかまっても困らない本』(ワニ文庫)に、詳細に書きました。
 詳しくはそちらをお読みください。

 

●取締りの民間委託

 2006年6月1日から、

違法駐車と認められる場合おける車両…であって、その運転者がこれを離れて直ちに運転することができない状態にあるもの

 を「放置車両」と定義し、放置車両に対する「確認事務」を、民間に委託することができる ことになりました(道路交通法51条の4)。

 「確認事務」とは、要するに新しい取締り方法です。

 「確認事務」は、民間業者に雇用された「駐車監視員」だけが行うわけではありません。警察官も行います。 交通巡視員も行います(警視庁には交通巡視員はいませんが)。

 「確認事務」の対象となる車両は、原付自二、普通車、大型車、 そしてトレーラーの荷台部分です。

●「駐車監視員」とは

  講習(2日間14時間)を受け考査(1時間。合格率はおおよそ7割)に合格して「駐車監視員資格者証」の交付を受け、かつ、「確認事務」の委託契約を都道府県と結んだ業者に雇われた人です。

 給料は、歩合制ではありません。頑張ってたくさん取り締まれば給料が増える、というものではないのです。

●駐車の定義

 2006年6月1日から変わったのは、取締り方法や、その先のペナルティです。何が違反かということ 自体は、変わっていません。そこはお間違えのないように。

●新しい取締り方法は?

 「放置車両」であると確認できたら直ちに、取締りを開始します。

 取締りに相当する行為とは、「放置車両確認標章」(以下「確認標章」)という新しいステッカーの取り付けです。「放置車両」であると確認して「確認標章」を取り付ける行為 、それを「確認事務」と呼ぶのです。

●どこからアウトか

 「確認標章」の取り付け(貼り付け)を行う前に、運転者が車へ戻ってくれば、取り付けは行わない、とされています。
 ステッカーを貼ったらアウト貼る前ならセーフ、ということです。

●「確認標章」を取り付けられたら

 「確認標章」 を取り付けられたあと、違反者には2つの道があります。

@ 「私が違反しました」と正直に警察に出頭する。
A 出頭しない。

 @を選ぶと、 本来は、違反キップを切られ、反則金の納付書を交付されることになります。違反歴となり、違反点数がつきます。

 Aを選ぶと、その車の持ち主(車検証上の「使用者」)のところへ、「弁明通知書」と、「放置違反金」の仮納付書が郵送されてきます。

 「放置違反金」とは、06年6月1日から導入された新しいペナルティです。金額は反則金と同じです。

 「放置違反金」が納付されると、その違反の処理はそれで終わります。
 車の持ち主は違反者ではありませんから、違反キップを切られることはありません。当然、違反点数などつきません。持ち主も違反者も、もともとゴールド免許ならゴールド免許のままでいられます。
 このあたり、違反(常習)者優遇制度ということができます。

●不起訴になったら

 上記@を選んで、反則金を払わずにいると、事件は刑事手続きの扱いになります(手続きの流れについてのFAQ、またはチャートをお読みください)。

 刑事手続きの結果、違反者が晴れて不起訴になった場合、「放置違反金」はどうなるのか。

 「放置違反金」の納付命令は、「確認標章」の取付けの翌日から起算して30日以内に、次の3つのどれかがない限り、車の持ち主に対して行われます(道路交通法51条の4、4項)。

(1)違反者が反則金を納付する。
(2)違反者が公訴を提起される(略式でも公判請求でも、起訴される)。
(3)違反者が少年の場合、家庭裁判所の審判に付される。

 不起訴は、その3つに含まれません。
 よって、違反者が不起訴になっても、車の持ち主へ「放置違反金」の納付命令がいくことになります。

 一方、上記Aを選ぶと、違反点数の登録はありません。
 したがって、正直に
@を選び、違反の迷惑性などを真剣に考え、勇気を持って検察庁へ進み、晴れて不起訴になった人が、いちばんバカ をみることになります。

 こうした点を、警察寄りの識者から「不公平だ!」と批判させ などして、いずれは反則金(刑事手続きへ進む権利)を廃止するつもりなのでしょう。

●どんな「弁明」が認められるか

 06年5月30日、こういう通達が発出されています。
道路交通法に基づく放置違反金納付命令の基準について

 06年6月14日には、こういう通達が発出されています。
改正道路交通法第51条の4第6項の規定による弁明の取扱いに関する留意事項等について

 そもそも違反でないとか、車の持ち主でないとかいう場合を除いて、弁明が認容され得るのは、

 天災等の不可抗力に起因するなど、当該車両に係る違反を当該車両の使用者の責に帰すことが著しく妥当性を欠くことが明らかである場合

 でしかないとされています。

 よって、違反の迷惑性、悪質性などを理由とする弁明は、まったく相手にされないものと思われます。

 ※ この点についてブログの記事をぜひご参照ください。

●「放置違反金」を払わなかったら

 「放置違反金」は、 反則金と違い、納付は任意ではありません。これは「納付命令」なのです。

 「放置違反金」の納付命令を受けて、督促を受けても、納付しないと、車検の更新ができなくなります。警察は、年利14.5%の延滞金をつけて差押えをすることもできます。

●どうしても納得いかないときは

 2つの争い方があるかと思います。

@ 出頭して違反キップを切られる → 不起訴になる → しかし放置違反金の納付命令を受けた場合に、「そんなのスジがとおらない。納付命令を取り消せ」と求めていく → 同時に、点数の抹消も求めていく 。

A 出頭せず、車の持ち主の立場で、「通達に従えば、ここは規制が見直されるべき道路だ。本件駐車に違法性(=悪質性)はなく、使用者責任を追及されるいわれはない」という趣旨の弁明を行っていく 。最終的には裁判を起こす。東京地裁の民事の開廷表を見ていると、「放置違反金納付命令取消」という事件名の裁判がときどきあります。

 @とA、いずれも、勝てる見込みは薄いかと思われます。

 しかし、だからといって何もしなければ、「ほらね、みんな納得している。当局の処理は適正・妥当なのだ」と胸を張って言わせることになります。

 争う(不服があることを法律手続きを利用して明らかにしていく)人が1割でも2割でもいれば、国会議員が国会で問題点を追及しやすくなるでしょう。マスコミも問題点を取り上げやすいでしょう。

 どんなに不服があっても、腹にためているだけでは他人にはわからないのです。かといって駐車監視員を襲ったりするのも良くありません。
 せっかく用意されている法律手続きを粛々と利用し、勝てないまでも、不服があった事実を統計に残していく、それが大事ではないかと思います。

 @とAを比べた場合、@はそれなり手間がかかりますし、違反点数が登録されて抹消されないというリスクがあります。
 Aは、書面を送るだけですから簡単です。

 ただ、Aの場合、自分(車の持ち主)がじつは違反者自身であるとわかった 場合、警察は「では違反者の責任を問いましょう」と言い出す 可能性が、ないとは言えません。現実には、その可能性はどうやらないか、あってもきわめて低いようですが。

 

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