02/4/29更新   05/9/27更新  08/6/4更新  

 

シートベルトの1点は?

 

 カネのペナルティについては、反則金を納付せず、略式の裁判に応じず、検察官、裁判官という、警察官以外の第三者の判断を求めることができます。略式の裁判では「判断」というほどのものはありませんが、いちおう形だけでも第三者が処分を決めることになっています。

 ところが、シートベルトにはカネのペナルティがありません。点数が1点つくだけです。
 したがって刑事手続きで争うことはできません。不起訴も無罪もないということです。

「シートベルトはちゃんと着用していたのに、片手で上着に触れたのを、いま着用した(それまで着用していなかった)と言われ、キップを切られた。当然、文句を言い、キップ(いわゆる白キップ。点数キップ)にはサインしなかった。キップは渡されなかった。その後、呼出などなく、あれで終わったと思っていた。ところが免許更新のとき、シートベルト違反が 1点あるから……と言われた。そんなバカな!!」

 という人がときどきいます。
 点数は、第三者の判断など待たず、また違反が事実かどうかには関係なく、警察官が取り締まりを行なったことのみを根拠に累積されるのです。

 1点を抹消しろと求めても、警察は、
「不着用の現認は確実に行なわれた。違反は明らかなので抹消できない」
 と突っぱねるのが普通です。
 カネのペナルティなら、運転者が望まなくても、当局のほうから「出頭せよ」とか通知してきます。しかし、点数が累積されただけでは、そのように当局のほうからアプローチしてくることは ありません。点数の抹消を求めたいときは、運転者のほうからアプローチしていかねばなりません。交渉が決裂すれば、運転者のほうから不服申立や裁判をしなければ ならないのです。
 そして、「ある事実があったかなかったか水掛け論になったら警察の勝ち」という大原則があり、不服申立も裁判も運転者が負けます。
「取り締まりの警察官に尋ねたら、違反の現認はこれこれこのようにしっかりやったと、はっきり述べた。見取り図もしっかりしている。よって1点を付することに何ら違法はない」
 として運転者が負けるのです。

※ 点数の累積(登録)は、処分性がないとされ、行政処分ではないとされています。警察が勝手にカウントしているだけであり、運転者には法的な不利益を与えない、というわけです。したがって、行政不服審査法に基づく不服申立はできません。
 しかし、免許更新のとき、5年免許が交付されるはずなのに、その1点のために3年免許が交付されれば、「3年免許の交付処分を取り消せ(5年免許にしろ)」という不服申立や裁判はできます。あるいは、その1点があるために免許停止など行政処分を執行されれば、「行政処分を取り消せ」という不服申立や裁判ができます。

 たかが1点のために、自分からわざわざ不服申立や裁判をやる人は、 滅多にいません。東京地裁の開廷表を見ていると、「行政処分取消請求」という事件名の行政訴訟がときどきありますが、全体からすればごくごくわずかです。
 つまり、シートベルト違反は、他の違反に比べて、運転者が泣き寝入りしやすいわけです。

 そこを見越してか、シートベルトのキップは偽造さえ行なわれるようです。かつて神奈川県警と北海道警で、シートベルト違反のキップが多数偽造されたことが発覚。それぞれ巡査部長が懲戒免職になっています。報道によると2人の言い分は「取り締まり実績を上げたかった」「検挙件数を上げるため安易な道を選んだ」でした。
 偽造 (=犯罪)さえやってしまうのですから、いい加減な現認で「違反だ!」とすることがあるのは、うなづけるところでしょう。

 では、その1点の抹消を求めたいとき、具体的にどういう方法があるのか、考えてみましょう。

処分を執行されていない場合 】
 1点累積されただけでとくに不利益がない場合、警察は、
「1点は警察内部でカウントされているだけ。キミに不利益はない。不利益がない以上、争うことはできない」
 と言うのが普通です。
 しかし、それは警察の言い分であり、かまわず抹消を求め 、実際、抹消させた人もいます。そのあたりは交渉になります。交渉は、すべて録音しておくのが基本かと思います。
 結果がどうであろうが、身に覚えのない点数がついていたなら、よく事情を説明して抹消を求める、それは人として当たり前でしょう。今後、不服申立や裁判をするに当たり、人として当たり前のことを誠実に真剣にやったかどうか、大事になってきます。不服申立や裁判を実際にしなくても、誠実に真剣にやっていく人は、そうでない人に比べ、交渉はうまくいきやすい、とはいえるでしょう。 

【処分を執行された場合】
 その1点のせいで3年免許の交付処分となったとか、他の累積とあわせて行政処分を執行されたとかいう場合は、 その処分を取り消せという不服申立や裁判をすることができます。
 いったんは3年免許を交付されたものの、点数を抹消させて5年免許(いわゆるゴールド免許 )の交付を受けた人もいます。その人は、不服申立を取り下げるという形になりました。 警察の側に明らかにミスがあって点数を抹消せざるを得ない場合、不服申立を「認容」する(法律手続きの結果警察が負ける)という形は取らず、運転者に不服申立を取り下げてもらう、それが普通のようです。

【ゴールド免許のはずがブルー免許に】
  免許証の帯部分の色のことが、処分に当たるのかどうか、現在のところ私は知りません。「免許証の一部分の色に処分性はなく、色を理由にたとえば保険料が上がったなら、上げた保険会社が被告になる のであって、警察・公安委員会は関係ない」という立場を裁判所はとるのではないかと想像します。あくまで想像であり、実際どうなるかは、現在のところ私はわかりません。

【精神的損害などを理由に賠償を求める】
 どんな場合でも、損害賠償の裁判は起こせます。
 たとえば、自動車安全運転センター(警察の天下り法人)が発行する「運転記録証明書」 (700円)を取り寄せると、無実の違反名が、あたかも事実あったかのように記載(証明)されています。この記載について「不名誉な証明をするな。抹消しろ」と同センターに求め 、容れられなければ裁判を起こす、という方法もあります。ただ、その裁判をやったというケースは、私は耳にしていません。
 私は以前、同センターに対し、不起訴になった違反の記録を抹消してくれと求めたことがあります。同センターの回答は「警察の記録を証明書に記載している。文句があるなら警察に言え」というものでした。その後も交渉したのですが進展はなく、当時は私も無知で、またとくに不利益がないものですから気持ちも冷め、そのままにしてしまいました。いまにして思えば、「不名誉な 証明により精神的損害を被った」として損害賠償の裁判をやるべきでしたね。

【公安委員会の苦情申出制度】
 都道府県公安委員会の苦情申出制度は、 ある警察官の職務執行について、文書で苦情を言い、文書で回答を得る制度です。「無実なので点数を消せ」と申し出たのでは、「調べたら違反は事実だった」と返されるのは目に見えてい るというべきですので、「警察の管理者である公安委員会が警察の言い分を鵜呑みにするのか」といった考え方が必要かと思います。

  さて、そんななかでどうするか。何をどこまでやるか。ご自身の都合等にあわせ、よくお考えください。

 

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