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酒気帯び運転

 

道路交通法第65条

 以下は、2007年9月19日に改定された(改定法が施行された)道路交通法第65条です。 太字は筆者。

第六十五条  何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない
 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない
 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない
 何人も、車両(トロリーバス及び道路運送法第二条第三項 に規定する旅客自動車運送事業(以下単に「旅客自動車運送事業」という。)の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第百十七条の二の二第四号及び第百十七条の三の二第二号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない
(罰則 第一項については第百十七条の二第一号、第百十七条の二の二第一号 第二項については第百十七条の二第二号、第百十七条の二の二第二号 第三項については第百十七条の二の二第三号、第百十七条の三の二第一号 第四項については第百十七条の二の二第四号、第百十七条の三の二第二号)

 このFAQでは、運転者の違反について説明します。
 第1項をよく見て下さい。酒を一滴でも飲んだら、運転してはいけないのです。
 ただし、罰則(運転者の罰則)は、以下の2つの場合に分かれています。

 

酒気帯び運転

第百十七条の二の二  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
   第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
     (第二号以降は省略) 

 『交通の教則』などで「酒気帯び運転」とされているのは、これのことです。
 「軽車両を除く」とされており、自転車にはこの罰則は適用されません。

 いわゆる風船により呼気1リットル中のアルコールを検査するのが一般的です。最近は印字式の検知器も使われています。血液を採取して検査することもできますが、 それは検問や職務質問ではやりません。
 検査方法については、ブログの記事「酒気帯び検査器の取扱説明書」をご参考にどうぞ。

 「政令で定める程度」の「政令」とは、道路交通法施行令第44条の3のことです。

第四十四条の三  法第百十七条の二の二第一号 の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は、血液一ミリリットルにつき〇・三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラムとする。

 呼気中アルコールの基準値(政令基準値)は、2002年5月末まで は0.25ミリグラムでした。2002年6月1日から0.15ミリグラムとされました。

 違反点数は、従来は「0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満=6点、0.25ミリグラム以上=13点」でしたが、以上のような法定刑の厳罰化を踏まえ、2009年6月1日から、

0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満 =13点
0.25ミリグラム以上         =25点

 へと引き上げられました。

 

酒酔い運転

 第百十七条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
    第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

 『交通の教則』などで「酒酔い運転」とされているのはこれのことです。
 こちらは「車両等」となっているため、自転車にも適用されます。

 何をチェックするか、警察のほうに基準となる項目があります。 詳しいチェック項目については拙著『なんでこれが交通違反なの!?』のQ057をお読みください。
 「酒酔い運転」については、
身体に保有するアルコールの程度に関する規定がありません。しかし実務上、0.5ミリグラム以上が基本となるようです。

 こちらの違反点数も2009年6月1日、25点から35点へと引き上げられました。

 

警 告

 酒酔いの状態でないことはもちろん、酒気帯びの基準に達していなくても、酒気を帯びて運転することは道路交通法 第65条第1項の違反に当たります。
 キップは切られなくても、「もう二度としません」という趣旨の誓約書にサインを求められることがあります 。

 

罰金の額(実際の刑罰の重さ)

 2007年9月19日より前は、
    普通車 罰金20万円
    自動二輪車 罰金15万円
    原付バイク 罰金10万円
 それが、初犯の場合の、相場の金額でした。同種罰金前科があるとプラス5万円、でした。
 2007年9月19日以降は、まだあまりデータがなく、普通車で初犯で罰金30万円、までしか確かには言えません。

 2007年9月19日より前は、【1回目は略式で罰金、2回目も略式で罰金(金額アップ)、3回目は公判請求で懲役刑】というのが基本的な運用でした。
 ところが2007年9月19日以降、【1回目は略式で罰金、2回目でもう公判請求で懲役刑】という運用が基本になったようです。
 公判請求されるのが初めてなら、普通は執行猶予がつきます。普通は、ですよ。

 常習で公判請求され、どうしても執行猶予がほしいという方は、『なんでこれが交通違反なの!?』のQ125、「酒気帯び3回目で起訴された。どうしても執行猶予がほしい。反省はどう示す?」をお読みください。 これは、無免許など他の違反や、刑事犯罪、また行政処分の「意見の聴取」にも参考になるでしょう。

 

過失で酒気を帯びていた場合

 「それなりの酒気を保有しているとの認識があれば足りる。酔っているとの認識は必要ない」という趣旨の判例がいくつもあります。
 しかし、酒気帯び運転には、過失犯を処罰する規定がありません。
 警察官から2時間半ほど仮眠させられ「じゃあ行ってよし」となって運転したところ事故を起こしたというケースについて、
「被告人は当時、正常に運転できると信じていた。酔っているとの認識を欠いていた。 巡査によって約2時間半の仮眠をさせられ、正常な運転をなし得ると認められたとしても、仮眠前の酔い方などを考えれば、醒めたと速断したことに過失が認められるけれども、過失を処断する規定が存しないので、被告人を処罰することはできない」
 という判例があります(1966年4月7日福岡簡裁)。

 過失とは、当然すべき注意を怠ったことをいいます。大して飲んでなくて、十分な時間の睡眠をとり、「こりゃもうすっかり酒は抜けたはず」という場合、つまり「それなりの酒気を保有しているとの認識」がぜんぜんなくても常識的にちっともおかしくない場合、処罰できない(ないし困難である)ことになります。

 酒類は一滴も飲んだ覚えがない (体内にアルコールを保有しているとの認識がない)のに0.15ミリグラムと検知され、「どうして!? ま…まさかあのドリンク剤が!?」というようなケースは、処罰は困難になるでしょう。
 ただ、警察は「ウソだろ」と疑ってかかってくるのが普通です。追及には厳しいものがあるだろうと予測されます。過失だと言いさえすれば逃れられる、というものではありません。
 実際には過失でも、「酒気を帯びているだろうとの認識は少しはありました」といった供述調書に署名・押印してしまうと、もう助からないでしょう。

 

検査を拒否したら?

 運転者が酒気を帯びて運転するおそれがあるときは、警察官は「その者が正常な運転ができる状態になるまで」運転してはならないと「指示する」など「危険を防止するため必要な応急の措置をとることができ」( 道路交通法第67条第4項)、その「措置に関し、その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため」呼気検査をすることができます(同条第3項)。
 検査拒否の罰則は、以下のとおりです。

第百十八条の二  第六十七条(危険防止の措置)第三項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者は三月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 通常、まずは現行犯逮捕されることになるでしょう。

 

 私は20代の頃、宝くじで1万円当たったことがあります。
 番号がそろうあの快感。もう大喜び。お祝いにビールを飲みました。そして原付バイクで帰る途中、パトカーから停止を命じられました。やべっ!! ためらうことなく私は狭い路地へ左折して逃げ込みました。
 左右は住宅。パトカーは赤灯を回転させて追ってきます。間もなく突き当たりがありました。左から右への一方通行です。自宅は右方向。どっちへ曲がる? ええい裏をかいて左だっ!! そのとき私は転倒しました。バイクの運転はうまいつもりだったのに。直ちにバイクを起こして逃げねばっ!!
 しかし、自分で起きあがる必要はありませんでした。パトカーの警察官から両腕をつかまれ、引き起こされたのです。 交番へ連行され、フーセンによる検査を受け、真っ直ぐ歩けるかなど調べられました。酒気帯び運転で赤キップを切られ、当時の罰金は1万5千円でした。

 酒を飲んでいると、普段では考えられないくらい運転がヘタになるらしい。逃げる決断を簡単にする。逃げれば、狭い住宅街を全開で走るとか安全確認せずに一方通行路へ逆に飛び込むとか 、無茶な運転をどうしてもすることになる…飲酒運転のやばさを痛感しました。
 実際、飲酒運転で事故り、重い罰則と免取り処分を怖れて逃げ、死なずにすんだ被害者をあえて殺してしまったケースもあるようです。
 便利でぴかぴかのクルマも
一瞬で禍々しい凶器に変わります。酒気を帯びた者が操作すべきものではないのです、クルマというのは。ご注意を。 

飲酒運転者に対する「車両提供」「酒類提供」「要求依頼同乗」についての罰則は、ブログ記事のほうを ご覧下さい。

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