姪の橋

ドイツからアウトバーンを走ってオランダに着いたら
なんだか「ホッ」とした気分になれたのはなぜだろう
ドイツの都会と比べて
田舎にきた雰囲気があったからか
「好きになれそうだなこの国が」と思った
ヨーロッパ長期出張でオランダにも1ヶ月半は滞在する予定だった

おなじみ風車のある風景 市内の運河にかかる橋 古い壮大な感じの建物


仕事先の子会社では親切にしてもらった
生活になれてくるとそろそろ騒ぎだすよ
HAMの虫がね
仲良くなった技術部門のエンジニアに頼んだ
現地のHAMを紹介してくれないかと
そしたらオフィスに連れてきた

コールサインは
PAφJPN
ヨープは弊社関連の音楽出版会社の技術部長だった
苗字が面白い
オランダ語で
ニッヘ・ブルッヘ
英語に直すと
Niece Bridge(姪の橋)

とても頭のいい人だった
知識の広いことには驚かされる
ずいぶん学ぶことがあった
昔、日本人は蘭学を学んだ
僕もやってる(笑)
早口の英語で時々いうんだよ

Are you with me ?
(連いてこれてる?)
Yeah, I am still with you so far.
(うん、なんとか・・・今のところはね)
彼はニャッと笑って続ける
現地の人も彼とは疲れると言ってたよ

木立に隠れたアンテナ ヨープとシャック 庭に無線機を持ち出した

彼の家に招待された
きれいな郊外の住宅街にあったよ
ヨーロッパの町は綺麗なんだよね
裏庭が運河の支線と面してる
本当に綺麗だ
目障りな電線類は全部地中に埋めてある

彼のシャック(無線室)に案内された
HF(短波)のトランシーバー1台だけが書斎の隅にあった
Yoop, I can't see your antenna.
(ヨープ、アンテナが見えないけど)
It's hidden Hack.
(隠れているんだよ、ハック)

彼の忍者アンテナは庭の木の中にあった
町の規則がうるさくて家の外観を害するようなものは
建ててはいけないという
ヨーロッパの先進諸国のHAMは結構小型のアンテナだ
テレビのアンテナさえ屋根裏とか床下に設置する
地中に埋めたケーブルテレビが殆どだけれどね

庭にテーブルを持ち出して無線機を置いた
忍者アンテナでも良く聞こえる
スカンジナビアのノルウエー、スウェーデン、フィンランド・・・
南ヨーロッパのフランス、スペイン・・・
イタリアの局が誰かとケンカしてる
日本が入感する時間帯ではなかった

ハムショップで クラブ局にお邪魔した 広い敷地とアンテナファーム


ヨープはモーターボートを引っ張り出し
運河を飛ばしてくれた
夏の暑いところに水しぶきが涼しかった
夜は食事に招待してくれた
ライデン大学に通う娘さんと奥さんも参加した
フランス料理がうまかった

週末にはホテルまで来てくれた
車でハム屋めぐりをしてくれた
もちろん食べるハムじゃないよ
アマチュア無線機材を売ってる店のこと
それから無線クラブ訪問でいろんな町をたずねた
道路はすばらしく整備ができてるから速く走れた

各地の無線クラブではどこでも歓迎してくれた
ゲストオペレーションもさせてくれた
ヨーロッパの(現地の人はオイロッパと発音する)無線クラブはいい
皆でお金を出し合い、クラブハウスを手に入れる
無線室だけじゃない
機械の修理室、図書室、喫茶室、会議室、仮眠室・・・

ステーションマスターが案内してくれた
無線を娯楽とだけ捕らえていない
科学の振興に寄与してる
日本の飲み会中心の集まりとは違うようだ
何百坪の土地を持つクラブにはどでかいアンテナファームもある
うらやましい、いいなあ

野外のレストラン 民族衣装 フリーマーケット


ヨープは名所旧跡どこにでもついて来てくれた
暗くなるまでいっしょに遊んだ
僕も家族ごと何度も食事にさそった
日本人とゲルマン系の人種は昔から相性がいいといわれるが
本当かもしれない
これじゃ帰国のときはさびしいな

ヨープは東京の本社に何度か出張でやってきた
もちろん僕は東京の案内をしたよ
浅草が一番喜んだな
食事は純日本式の安い"食堂""めしや"に連れてくれとせがまれた
そういう人だよヨープは
アマチュア無線を介して世界中に友達ができる・・いい趣味だ

モービルHAM誌にカラーページで紹介されました