My Friend Chris

 

オーストラリアのハムVK2HX(クリス)は僕の友達

昔のコールサインはVK2AZUだった

オーストラリア訛りで

ヴイ・カイ・トゥ・アイ・ゼド・ユーと言っていた

親しかった年寄りハムのVK2HX(トム)が

サレント・キーしたので(死んだので)

子供のいなかった彼のあとを継ごうと

コールサインを引き継いたんだ

・・・


僕がシドニーに引っ越して間もないころ

彼とは出会った

僕の無線電波に強力な信号で応答してきた局

それがクリスだった

お互いに余りにも電波が強いのでビックリして住所を交換すると

Oh, just around the corner.

(オオ、すぐそばだよ)

歩いて5分ほどに住んでいた

彼はすぐに遊びに来た

正式には名前がChris Zvirblis

読めないよっていったら

「ザーブリス」と発音したなあ

ご先祖さまは東欧圏の人らしい移民してきたんだ

ぼくらはすぐ仲良しになった

彼は工業専門学校の電子工学の講師で

よく奥さんのSue(スー)から電話がかかったっけ

「うちの旦那はいませんか?まだ帰らないんだけど」

いつもうちで遊んでいたんだ

あわてて帰る後ろ姿

いまでも思い出すなあ

・・・

ある日彼が相談に来た

オーストラリアの電子工学の教師と日本の教師を

交換留学させるという政府のプロジェクト

彼は応募するという

競争は500倍くらい!

どうしても日本に行きたいと言う彼

二人で作戦会議をした

試験は「論文」と「面接」

日本のことを知ってる僕はいろんなアイデアをだした

彼は2〜3日徹夜でまとめてた

そして面接の日

会社に電話がかかってきた

だめでも教えてくれよなっていってたから

Hack、A judge gave me a call....

(ハック、審査員が電話をよこしたよ・・・)

What did he say?

(なんて言ってた?)

Well,...he...said....

(ううん・・・言ったよ・・)

What?

(なんて?)

Get your suitcase!You are selected.

(スーツケースを準備してください選ばれましたよって!)

夢のようだった

I just can't believe.

Hack, I don't know how to thank you.

(信じられない。ハック、お礼のいいようもないよ)

・・・

面接でどうして詳しい論文が書けたか聞かれた

HAMですと彼は答えた

HAMとは何ぞやをとうとうと説明した

世界中に友達がつくれること

JapaneseのJL1EEE(私)が友達になってくれたこと

審査員たちも面白そうに聞き入っていたらしい

・・・

彼が日本に留学して僕はさびしかった

そして僕は日本に帰任することになった

それは彼がオースラリアに帰国する時期だった

すれ違いで会えなくなる!

彼の帰国のタイミングを調整してもらって

僕らは東京の秋葉原で短時間のアイボールQSOをした

アイボール(実際に会うこと)

久しぶりに会うクリス、うれしかったが淋しかった

すぐに会えなくなるから

クリスも残念そうだった

その後僕らは時々無線で会話し

クリスマスカードはきっちり交換していた

10年間も!

・・・

僕は倒れた

突然だった脳出血だった

右手右足が動かない!

言葉が喋れない!

入院生活、リハビリ訓練の毎日

クリスとの連絡は途絶えていた


リハビリ用にパソコンを買った

ある日メイルが入った

差出人はChris Zvirblisとあった

アドレスを調べたんだね

何度もメイルを行き来させた

脳出血がおそろしい病気だとは誰でも知っている

クリスの驚きと心の動揺が読みとれた

大丈夫、君の友達は不死身さ

できないことはね、ボクシングとかけっこくらいだよ

そう言ってやった

そしたら僕のジョークに家族で大笑いをした後

泣いてしまったそうだ

やさしい奴だからなあ彼は・・わかるよ

・・・

久しぶりに写真を交換した

E-mailにJPEGやGIFの画像を添付

クリスも年取ったなあ

野球選手のバースに似てたんだけど

学校では偉くなったようだ

鼻ひげまで伸ばして

でも良く見ると懐かしいやさしい目がある

そして考えた、クリス僕も年を取ったよ

VK2HX ex VK2AZU Chris

くわしい話しは「モービルハム誌」のバックナンバーにあります

東洋人でも西洋人でも同じ人間

Friendship−人生の宝だとおもっています