精神科診断


精神科の訴えで最も多いのは、気分の落ち込みと、意欲の低下です。みなさんは気分の落ち込みを呈する病気といえばうつ病を連想するかも知れません。しかし、下の図は気分の落ち込み(抑うつ状態)を呈する精神障害を示したものです。ほとんどの精神科の病気が気分の落ち込みを呈することが分ります。同じ気分の落ち込みでも原因となる精神疾患が異なると治療法も異なってきます。したがって、精神科診断は極めて大事な治療の入口と言えます。

では、精神科診断とはどのようなものでしょうか?下の図は、一般身体疾患の診断過程を示したものです。症状と経過から診断を推測し、種々の検査を行い診断をつけます。身体疾患における診断過程はわかりやすいものです。

 

一方、精神科診断は診断を決めるための特別な検査はありません。検査は身体疾患を除外する役割しかありません。したがって、とりあえず患者さんの状態像(落ち込んだ状態である、幻覚や妄想が活発である、テンションが高い状態である)をカルテにしるし、時間をかけて真の診断を付けていきます。したがって初めの診断が後になって訂正されるというのは珍しいことではありません(下の図)

 

○○状態というのはいわば仮の診断名です。家族歴、生活史、遺伝負因、経過、治療反応、面接場面での様子、ストレス因子、さまざまなことかを考慮して時間をかけて診断していきます。治療は、病気があっても思い描いた生活をできるように援助するという場合もあります。