サイキックソルジャー


「アテナ!アテナ!アテナーッ!」

ざっと見ても数万人の人々がコンサート会場で立ち上がり、一人の名前を一心不乱に叫ぶ。

「ありがとうございます!皆さん!それでは次の曲を送ります!」

舞台の上では髪の毛を二つに巻き上げて、チャイナドレスで精一杯可愛らしさを加えた少女が熱唱しだす。
彼女の行動の一つ一つに観客たちの歓声はさらに大きくなっていく。

「ふん。あんなスタイルで熱上げちゃって。やっぱりここの観客は見る目がない・・・。」

舞台の後ろに長い黒髪の少女。口振りと行動には完璧に不満の色が見られる。

「アテナとまったく同じな服着てそんなん言っても、全然説得力ないの分かってる?」

彼女の後ろに音もなく近づいて、サクッと痛い所を突く少年。

「何ッ・・拳崇お前!!」
「率直に、お前とアテナ比べる自体が無理やし、無理・・・」
「っるさいぃっ!!話終わっただけだ!!」

瞬間、少女の目が輝き始め、髪の毛がふわりと靡き揺れる。

「なんや、やるんか?今日は口でアテナのライバルには分不相応て教えようとしたのに。」

話終わり、拳崇の掌にも青い光彩が発生しはじめる。

「二人ともそこまで!こんな所で何をしとるんじゃ!」

彼らの後ろから現れた人物は拳崇とアテナの師匠、鎮元斎。
そしてアテナと黒髪の少女が属する事務所の社長だった。

「こんな喧嘩をするために修行してきたのか?!」
「ちゃいます!今度もこの子が先に・・・」
「誰が先に喧嘩を売ったと思ってるの!?本当に!」

再びとって掴みかかりそうな雰囲気の二人。
師と会長はお互いを眺め、もう諦めたと言う表情を落とす。

「皆さん!ありがとうございます!」

タイミングよく挨拶を終えて舞台を下りるアテナ。

拳崇と少女が睨みあってるのを見て一瞬驚いたように止まるが、
その二人の間を擦れ違いながら一言投げるアテナ。

「何時も仲いいのね、二人。」
「大根っ・・いや何の話や!アテナ!待ってくれ!これにはワケが!」
「何でこんな饅頭のようなヤツと私が!これは侮辱だ!」

アテナのセリフに興奮して喚き散らす二人。
それを背に更衣室に消えるアテナ。
舞台の外の歓声は、何時の間にか遠くへ消えていった。

☆ ☆

アテナと少女が属している世界屈指のレコード社、”PS Entertainment”
しかしこの企業は実は超国家的なサイキッカー達の団体である
”サイキックソルジャー”の為のサポーターだ。
アテナ、拳崇、少女も、この団体の一員として活動している。

「ええっ?力が消えるって?」

会議室の中ではアテナと拳崇が会長からブリーフィングを受けていた。

「現在、世界各地のサイキッカーたちが超能力を喪失していっている。
そのうちに私達にもそのような事態が起こるかもしれない。
既に上層部は調査を開始したが、私は君達に行って来て欲しいと思っている。」

「はい?どこにですか?」

「アメリカの、サウスタウンという都市だ。」

ドアが開く音と共に部屋に入ってくる鎮元斎。

「上が言うにはそこに強い力が流れ出ておるらしい。多分そこに今回の事件のカギがあるのじゃろう」

テーブルの上に置かれていた封筒を開く鎮師匠。

「そこで開かれるThe King of Fightersという大会にゲストで招待されてるから・・・うん?
おーい会長、一枚足りんのじゃが・・・。」
「はい?そこにありませんか?」
「まあ着いてから言えばいいじゃろ。心配しなくともいい。
2〜3日中には出発するから準備をしておくようにな。」

☆ ☆

それから数日後。国際空港。

「それじゃ、行ってきます!」

人々に出迎えられながらサウスタウンに向かう一行。
その一行から少し離れた座席には顔馴染の少女の姿があった。

「(麻宮アテナ・・・お前には負けない!見てろ!)」

アテナを見つめる彼女の手の封筒には、”R”と言うイニシャルが赤く輝いていた。