ワセダミステリクラブ戦車バイト伝説 
 
ワセダミステリクラブ(WMC)は、早稲田大学に居座る巨大な推理研である。 
東日本で一番幅をきかせているというかなんというか、そのスジでは有名らしい。 
西日本にあってこれに対するのが京大のサークルだそうな。よくは知らないけど。 
で、当然かもしれぬが、諸先輩が出版とかゲーム関係とかの業界に進出していて、 
そのつてでクラブにはバイトの話がよく来たのである。 

その一つに、スーファミソフト「鋼鉄の騎士」シリーズのインスト作成というのがあった。 

「鋼鉄の騎士」シリーズというのは要するにドイツ戦車マニアのための戦車戦ゲーム。 
でもって、実車解説も含めたインスト作成やデバッグをクラブの若い衆で行ったのである。 
で、戦車に詳しいということで私も資料供出を求められ、持ってきた「ジャーマンタンクス」などを 
クラブのたまり場で見てるうち、クラブ員のごく一部の間に別項で書いたような 
「ドイツ軍って銀河帝国みたいでスゴイよね〜」的な盛り上がりがあって、なかなか面白い展開を見せていた。 
特に忘れられない指摘の一つが、SSダス・ライヒ師団のV号観測戦車が赤軍捕虜を満載した写真(下掲)  
について 
 

 
 
「何だかロシア人の方がくつろいで見えるじゃんコレ。捕虜になったってのをわかってんのかこの人たち?」  
というもので、独ソ戦がなんでああなったかの核心をなにげに垣間見るような思いがしたものだ。 
自分みたくヘタに色々知ってる者にはない観点からの意見の方が面白かったりする。 

そのうち、しばらくしたらライター組から不満の声が出てきた。 
何がよくないかというと、内容がドイツびいきっぽくないとなかなかOKが出ないんだそうな。 
まあそれはそれとして割り切れるような人はいいとして、ソ連の戦車って異常で面白いとか 
感じてしまった人にとってはなかなかツライものがあったらしい。 
例えばソ連のT−34戦車について率直に「驚異的な強さを誇った」と書いたら不可だったそうである。 
なんとつまらない話であることか。実際のところ別にT−34も無敵だったわけではないが、問題は 
そんなところにあるのではなく、ソフト製作側の「ようするにドイツは偉いんだ」みたいな価値観が 
そこここに伺えるあたりだろう。 
で、ここで私がライターだったらきっとT−34サイドに立った文章を書きまくってしかも自説を 
曲げないとかいう事態がありがち。だから、資料提供だけだったのというのは資本家側として非常に 
ラッキーであったかもしれない。 

そんなわけで、WMCのバイト労働者階級は、せっかく興味を持ってくれかけた者もいくぶんドイツ戦車に 
反発を覚えたらしい。ドイツメカをこよなく愛する我輩としては甚だ残念ではあるが(笑) 
しかしロシア豪快戦車とかの魅力をないがしろにしてまでドイツ絶対主義を唱えるのは 
あまりにも価値がないとは思う。 
だから私としてもロシア的価値観の助太刀をしたくもなるのだ。 

そういうわけかは知らないが、WMCゲーム界において戦車モノといえば「鋼鉄の騎士」ではなく 
「METAL MAX」シリーズが驚異的な人気を誇っていた。 
あれは良かった。濃い上にくだらなくて。 
砲弾を自販機で買って当たりがでるともう1発という演出など、なかなかグッとくるものがあった。 

やはり私は基本的に「くだらなくかつ面白い」ものが好きだったりする。 
ドイツがらみへの愛情もそれと無関係ではないので、マジメにドイツを信奉している人たちから見ると 
邪道もいいとこなのかもしれない。 

しかしこれでいいのだ。 
 

 
 .....以下続刊であります。