ヴィルヘルム・フルトヴェングラー。
第三帝国、いや、20世紀最大最強の指揮者として君臨した男。
1886年に生まれ、1954年に没した。 
この顔から、どんな演奏を想像できるだろうか。
 
この人の演奏との最初の出会いは先にも書いたように
「ニセ盤」を通じてであったが、その後色々聴いていくとやはり特徴が明確になってくる。
カバスタの「ニセ盤」もこれを共有していたからフルヴェン印を付けられたのだろう。
要するにただ重厚長大で厳格、という「伝説のクラシック巨匠」な先入観から
およそかけ離れたパワーとスピード、そして強靭なリズム感に満ちた 
まさにイケイケ爆裂系な展開、それが本領。 
何というか、歴史的録音、とかより「白熱のライヴ・アニマル」という表現の方が 
遥かにふさわしい壮絶さである。「こんなクラシックがあっていいのか!!」といえなくもない。 
 主観にもよるだろうが、あの圧倒的迫力を表現するのは難しい。ちなみに私が受けた「凄さ」を 
ビジュアルに変換するとこーゆー感じか。嗚呼、グレート。
 
そして私はだんだんハマったのである。 
 
第三帝国は彼をゲルマン理想的「最強指揮者」として厚遇し、取り込もうとした。
しかし、帝国最強指揮者の音感が上述のあーゆーノリだ、というのには一見違和感を感じるかもしれない。 
 それについて「フルヴェンは天才だったからしゃあないやんか」というミもフタもない見解もあるが、
例えば第三帝国の軍人でも最強位にランクされる者どもは得てして型破りであったと聞く。
つまりステレオタイプでなく有能な指揮官が「鉄血」な部下をしっかりと率いて暴れまわると 
限りなく強いわけで、フルトヴェングラー+ベルリン・フィルなどというのは 
 まさにそういうカンジであったといえよう。帝国の王道パターンなのかもしれない。 
 
 ときに、CDジャケットとかについてるフルトヴェングラーの顔写真は
いまいち迫力のないものが多い。   (こんなかんじ→)
憶測であるが、これは本気バリバリの状態でないんじゃなかろうか。
上に貼り付けたタイトル写真、あれこそエネルギー充填120%  
ゲルマニッシュ帝王ノリノリな姿と思われる。が、戦後「非ナチ化」の対応に
四苦八苦したこともあって、そういうショットを臆面もなくとさらすと
イギリス大衆紙「ザ・サン」あたりが「やっぱりやつらの野望が」とか 
書きたてて面倒だったのであろう、きっと。うむうむ。   
 
戦後はいろいろ大変だったのである。だからすぐに没してしまったともいわれる。
ステレオ時代まで生きのびられなかったのが悔やまれてならない。 
 
 
 
...それにしても
帝王フルトヴェングラー、またその宿敵「超熱血マエストロ」アルトゥーロ・トスカニーニが、
クナッパーツブッシュが、メンゲルベルクが、そして若き日のカラヤン、チェリビダッケが
覇を競った時代、50年前。すごすぎる。嗚呼、じかに聴いてみたい。どんな響きだったのだろう。  
(F1好きでもある私は、ついマンセル・セナ・プロスト・ピケ激突の黄金時代とか思い出してしまう。
そういうアホなたとえを言うと怒られそうだが)