在宅マッサージ初心者テキスト
在宅マッサージ理論

        目次
 一 在宅マッサージ展開論
 二 アセスメント方法論
 三 インテークワーク技術論
 四 コミュニケーション論
 五 モニタリング論
 補論
  補論1 制度とマッサージ師の立場
  補論2 施術上の注意について
 参考
  参考資料1 脳卒中とは
  参考資料2 MRSAについて

在宅マッサージ初心者テキスト1
在宅マッサージ展開論

1998/01/08
鍼灸保険情報センター 監修

 第一節 在宅マッサージの意義・目的

 わが国では、1990年代に入って、鍼灸マッサージ団体の推進により、高齢者に対する在宅マッサージが全国的に盛んに行ようになり、多くの市町村において、高齢者向けのマッサージにについて健康保険給付(療養費)や市町村の給付等について、行政指導が積極的に行われているところであります。
 鍼灸マッサージ師の免許制度は、平成2年4月1日から厚生大臣による免許にとして改正(「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」の改正)されましたが、この制度改革は、鍼灸マッサージ師を医療の一翼をになう業へと成長させる大きな契機となり、その後の鍼灸マッサージ業界の社会的役割に対して年々その期待度が高まっています。
 在宅マッサージの意義は、医療マッサージが在宅マッサージとして国民に広く浸透し始めていることであります。
 日本での医療マッサージ施術の歴史は古く、医療機関においては従来からマッサージ師が大変活躍していました。昭和40年の理学療法士及び作業療法士法の成立以降、医療機関でマッサージ師が行う医療マッサージは一時衰退したかに見えましたが、近年来多くのマッサージ師が在宅マッサージに取り組み始め、マッサージ師による医療マッサージが在宅マッサージによって復活しつつあります。
 健康保険制度においては、厚生省通達、保険発28号(昭和46年)の指導を根拠にして展開されており、高齢者支援の為の保険在宅マッサージ施術の展開は、今後益々発展するであろうと、国民に広く期待されています。
 在宅マッサージの目的は、脳血管障害後遺症をはじめとした筋麻痺、関節拘縮等の愁訴において、不自由で苦痛に満ちた生活を強いられている高齢者に対して、寝たきりになることを防ぐこと、また、一人でも多くの寝たきりの高齢者が日常生活動作(ADL)を拡大し自立的な動作ができるようになること、更に自立した人間として、快適な生活(QOL)を送られるよう支援してゆくことであり、これが在宅マッサージの最大の目的であります。


 第二節 在宅マッサージの定義

 在宅マッサージとは、「関節拘縮、筋麻痺、疼痛等の症状または傷病で、医療上、マッサージを必要とするクライアントに対して、その緩和を目的として、居宅において行う施術である」と定義できます。(情報センター定義)。
 保険発28号で指導している、マッサージの医療保険(療養費)としての定義づけは、「筋麻痺、関節拘縮、疼痛等」の症状及び傷病に対する施術でありますが、これらの症状及び傷病のクライアントで通院できない、歩行困難等のクライアントに対しては、これを在宅への訪問施術として展開し、日常生活動作(ADL)及び生活の質(QOL)の改善を最大の目的として行うことであります。

 1在宅「マッサージ師」
 在宅マッサージを行う施術者は、国家試験に合格し、マッサージ師の資格を取得した、マッサージの専門家であります。
 現在、医療マッサージのみを目的としたマッサージ師が急速に増加しており、これらに答えるべく、業界の各団体では在宅マッサージの理論と技術について研修を行い、常に、最新の情報をもって、国民の要請に対応しています。

 2クライアントの生活圏(生活する地域)
 在宅マッサージは「地域に密着する」という考え方で展開しなければなりません。
 地域に着するということは、第一に地域の人間関係、第二に地域の特性、第三にマッサージ師の地域における立場、これらを総合的に考察し、市民社会へ働きかけ、マッサージ師に対する社会的要請に応えるということであります。
 「地域の人間関係」とは、クライアントを取り巻く地域がどういうコミュニケーションをとっているかということであります。
 行政機関の下に、町内会をはじめさまざまな市民団体、ボランティア団体等が連携しています。
 また地域によっては、昔の地縁団体、組織がそのまま行政に反映しているところもあります。
 また、医療機関等の所在とそれらの在宅ケアとの関わりなども重要な要素であり、在宅マッサージの展開に際しての構成要素であります。これらの人間関係を理解し、慎重に連携してゆくことが肝要であります。
 「地域の特性」とは、例えば、地域を構成する人々がどういう経済的、社会的、文化的な特徴を持っているのかということであり、総体的にどういう性格の地域なのかということであります。
 例えば商業地区、農業地区、工業地区、ベッドタウン、老人が多い地区、少ない地区等であります。
 これらの、地域の特性を踏まえ、地域のニーズに合った在宅マッサージの展開が要求されます。
 「社会的要請に答える」ということは、第一に、地域組織への連携、第二に、地域の医療機関等との連携ということであります。マッサージ師が地域組織や医療機関との連携をとることによって、地域の在宅マッサージのニーズが把握でき、また地域における在宅マッサージの参加プランニングが容易になります。

 3クライアントの家庭(介護家族)
 家庭は、在宅マッサージを受けるクライアントの生活の場であり、クライアントを取り巻く、人間関係の場であります。
 在宅マッサージ師は、クライアントを基本として、クライアントがどのような人間関係を築いているのかにも気を配り、クライアントの介護家族やその介護家族を支えている周囲の人々(介護サービスを行っている方々)への配慮を忘れてはなりません。

 4クライアントの多用なニーズ(さまざまなレベルの健康や生活障害から発生する多用なニーズ)
 在宅マッサージを必要とするクライアントは単に、筋麻痺、関節拘縮、疼痛等に対するマッサージ施術だけではなく、医師や訪問看護師、その他の医療関係者、介護関係者による在宅支援サービスが必要になってくる場合がほとんどであります。
 従って、在宅マッサージ師は、これら在宅支援サービスを展開するさまざまな職種に対するクライアントのニーズを理解し、必要に応じて、これらの職種へのクライアントの要請に対する支援及び連携が必要になってきます。
 比較的単純な片麻痺等のクライアントからターミナル・ケアの必要なクライアントまで、これらのクライアントの各段階についてのさまざまなニーズを見逃さず、必要があれば適切なケアが受けられるよう常にそのニーズの多様性とその対応に気を配っておかなければなりません。


 第三節 在宅マッサージの対象者

 在宅マッサージの対象者は、傷病、けが、加齢等による、筋麻痺、関節拘縮、疼痛等によって在宅において、マッサージ施術を必要とするクライアントで、医療保険を使う場合は、医師により医療マッサージの施術同意があったクライアントであります。
 特に、脳血管障害や加齢等によって、筋麻痺、関節拘縮、疼痛等の症状を訴え、日常生活動作(ADL)に支障があるクライアントがその大半を占めます。
 在宅マッサージを必要としているクライアントを分類すると以下のようになります。

 ア 脳梗塞等脳血管障害による筋麻痺、関節拘縮、疼痛等によってマッサージを必要としているもの
 イ 神経痛、リウマチ等の傷病によってマッサージを必要としているもの
 ウ その他の傷病、けが、加齢により、歩行困難等、通院に支障のある状況でマッサージを必要としているもの


 第四節 在宅マッサージの内容

 1 医師の指示による「関節拘縮・筋麻痺の緩和」を目的としたマッサージ施術
 在宅マッサージを展開する場合、医療保険による施術の依頼が圧倒的に多く、医療機関との連携は必須条件であります。
 医療機関等の指示があればこれを遵守し医療機関に対して適宜報告をしながら施術をしてゆかなければなりません。

 2 クライアントの精神的支援
 在宅マッサージでは、クライアントのマッサージによる施術支援とともにクライアントの精神的な支援も必要であります。
クライアントが精神的にも希望に満ちた日常生活を送れるよう配慮してゆかなければなりません。

 3 クライアントの社会生活支援
 在宅マッサージでは、クライアントが少しでも社会生活を拡大し、生活の質(QOL)を向上してゆく為に常にクライアントへ施術内容のモニタリングを行いながら施術を行い、日常生活動作(ADL)の拡大を目標にしてゆかなければなりません。

 4 介護家族支援
 在宅マッサージを必要とする介護家族への支援は、クライアントへの支援とともに車の両輪の片方であります。
 クライアントへのマッサージ施術とともに、介護家族の肉体的疲弊に対してもマッサージ等によって援助してゆく必要が出てきます。

 5他の医療、介護サービス等との連携
 在宅マッサージを受けているクライアントは在宅マッサージだけではなく、通常は医師、看護師、理学療法士等の医療、及び介護業者のサービスやボランティアを受けている場合が普通であります。
 従って、これらの関係者等との連携は必須条件であり在宅治療日誌や直接的な連絡等を通して他の職種との連携をとってゆかなければなりません。


 第五節 在宅マッサージの視点

 1 脳血管障害後遺症の施術

 1 寝たきりを予防する
 寝たきりの原因は、脳血管障害後遺症の症状としての筋麻痺、関節拘縮、疼痛等によるものが最も多くみられます。
 寝たきりを予防するには、歩行をはじめとした日常の最低限の生活動作が円滑に行えるかどうかを評価表を基に調査し、評価表から日常生活動作改善の計画を導きだし、その計画に従って施術してゆかなければなりません。

 2 寝たきりを起こす
 一度寝たきりになったクライアントは、寝たきりになることで身体機能全体が相対的に低下し、益々起床が困難な状態になりやすくなります。
 そこで、在宅マッサージでは先ず、ベッドで上体を起こすことを可能にする、各関節の拘縮等を緩解させる施術、次に、ベッド上で食事等の最低限の日常生活動作(ADL)が行えるような、マッサージを基本にして、徐々に日常生活動作(ADL)の範囲が拡大してゆくことを目指して施術てゆかなければなりません。


 a)他のリハビリテーション治療との連携
 クライアントが理学療法士、作業療法士や看護師等の治療を受けている場合、これらの医療とも目標や方針を共有しながら、施術を進めてゆかなければなりません。

 b)障害受容のための支援
 脳血管障害のクライアントは、医療機関でのリハビリテーション終了後も何らかの障害が残ることが多く、これらのクライアントはこの後遺症とつき合ってゆかなければならないことが少なくありません。
 こうした現実に対して、クライアントがこれを受容し、失われた機能を悲しむのではなく残存した機能を拡大し、より効果的に活用できるよう前向きの姿勢で生きる為の精神的支援をしてゆかなければなりません。

 2 痴呆性老人の在宅マッサージ
 1医療的対応
 2痴呆症状への対応
 3介護家族への支援

 3 ターミナル期のクライアントに対する在宅マッサージ
 1疼痛等の緩和
 2介護家族への支援


≪ 鍼灸保険情報センター

在宅マッサージ初心者テキスト2
アセスメント方法論

1998/01/08
鍼灸保険情報センター


 在宅マッサージ・アセスメントは介護保険におけるケアマネージャの姿勢と同じです。

 第一節 在宅マッサージ・アセスメントの基本姿勢

 在宅マッサージの為のアセスメントを行うには、先ず、クライアントの置かれている環境の把握から始まって、クライアントや介護家族を含めた、マッサージ施術に対する具体的な要望を、相互の信頼関係を築きながら、まとめてゆかなければならない。
 特に、重要なのは、クライアントに対し、マッサージの技術的な問題だけではなく、クライアントが人間らしく、生き甲斐を持って生きて行けるよう、積極的援助して行くことを目標にアセスメントをしてゆかなければなりません。

 1 基本的人権の尊重
 在宅マッサージの為のアセスメントを行う場合、単にマッサージをクライアントに施術・提供するということが目標ではありません。
 クライアントが人間として尊厳をもって生きるためにその要望がどこにあるのかという、クライアント主体、クライアントの基本的な人権の尊重を基本姿勢にして、アセスメントを行わなければなりません。

 2 生活の全体的把握
 在宅マッサージの為のアセスメントでは、クライアント個人のみをみるのではなく、クライアント自身の、
 1日常生活のレベル
 2家族環境、社会的立場等、人間関係の中でのレベル
 3障害に対する考え方のレベル
 4社会、生活習慣の中で形成された考え方等、クライアントの傷病を取り巻く環境
等の全体を分析する必要があります。

 また、クライアントの日常生活を支える介護家族の、
 1日常生活レベル
 2介護家族の周囲との社会関係
 3クライアントへの社会資源の支援状況等
を分析しなければなりません。
 その中から、マッサージの時間帯や回数、技術提供の方針などが浮かび上がって来るのであります。

 3 自立と社会参加の拡大を目指す
 在宅マッサージの為のアセスメントでは、マッサージ施術によってどこまで改善を期待し、日常の生活の中でどのようにしたいのかを良く聞き取りクライアントが出来るだけ社会参加が出来るような方向を見いだすべく施術計画を作成してゆかなければなりません。
 
 4 専門的援助関係と職業倫理
 マッサージ・アセスメントでは、クライアント自身が自立する為の手段として、マッサージに対する技術提供の方向性を見つけてゆくことであります。
 従って、自立を獲得してゆくのはクライアント自身であり、マッサージへの過剰な期待やマッサージ師への過剰な依存に対しては、マッサージ施術がどこまで出来るのかということを、しっかり説明しながら、クライアントが自立した生活を取り戻せるよう方針を設定してゆく必要があります。
 また、マッサージ師の職業の守備範囲というものをしっかり、認識してもらう必要があります。
 クライアントの要求が、マッサージ師の職業範囲を越えていると判断される場合には、職業的責任をもって、他の関係医療、関係介護サービス等を紹介することが必要であります。


 第二節 在宅マッサージ・アセスメントの技術的基本原則

 1 個別化の原則
 在宅マッサージのニーズに対して、クライアントの個人的な状況や介護家族の介護状況等を考慮し、クライアントや介護家族に個別的に対応することです。

 2 自己決定の原則
 在宅マッサージのその施術内容と計画については、最後はクライアント自身が意思決定すること、クライアントの意思決定が不可能な場合は、クライアントの意思を代表できる介護家族の意志を尊重し、決定することであります。
 その場合、マッサージ師が技術的に可能な領域と不可能な領域についてクライアントが明確に把握できるように説明しなければなりません。

 3 秘密保持の原則
 クライアント及びその介護家族の秘密はこれを厳守しなければなりません。

 4 専門的援助関係の原則
 クライアントの自立を基本とし、マッサージはあくまでもクライアントと介護家族への援助であることを認識してもらいます。


 第三節 アセスメント・コミュニケーションの原則

 1 傾聴
 在宅マッサージの依頼及びその計画について、クライアント、及び介護家族の話に耳を傾け、どんな話に対しても、先ず、受け入れることであります。
 特に、クライアントや介護家族の身体上の理由(例えば、耳が良く聞こえない等)や、コミュニケーション力の不足(事態の説明が上手に出来ない)等に、関しても、焦らず、できるだけ憶測を排し、クライアントと聞き手が、事態を一致して把握できるよう、クライアントや介護家族のコミュニケーションを援助する必要があります。

 2 観察
 会話でのアセスメントと同時に、クライアントの身体状況はもとより、家族関係等を観察し、クライアントの立場、介護家族の立場などを理解してゆく必要があります。


 第四節 アセスメント−インテークワークの過程

 アセスメント−インテークワークは、訪問調査〜在宅マッサージ計画の作成を一つの過程とします。
 1 在宅マッサージ依頼
 在宅マッサージを依頼された場合には、
 第一に、直接依頼をした人が、クライアント本人かその他の人(家族、友人等)かを、調査し、本人でない場合は、直接クライアント本人にマッサージの希望の有無を聞いてから、インテークワークに入る必要があります。
 第二に、クライアントの傷病がマッサージの対象疾患かどうかの検討をしなければなりません。

 2 クライアントの病態把握
 a 現病歴の記録
 b 病態の把握
 c 日常生活動作(ADL)の検査(関節拘縮・筋麻痺等は詳細に検査)

 3 同意書発行の依頼

 4 在宅マッサージの契約と計画
 在宅マッサージの契約をした後、現在行われている在宅支援サービスの状況(医師の訪問診療、訪問看護師の訪問サービス、ホーム・ヘルパーの訪問サービス等)を検討しながら、無理のない在宅マッサージの施術計画を立てる必要があります。


≪ 鍼灸保険情報センター

在宅マッサージ初心者テキスト3
インテークワーク技術論

1998/01/08
鍼灸保険情報センター


 アセスメント−インテークワーク(訪問調査から治療計画の作成まで)

 フローチャートを示せば以下です。

 *訪問調査(同意書発行依頼前) 
           訪問調査の合意
           身体状況の調査(ADL等)
   ↓
 *訪問調査(同意書発行依頼準備)
           同意医師の確認とクライアントへの説明 
           同意書発行依頼状の作成
   ↓
 *訪問調査(同意書発行後)
           身体状況の調査(訪問調査1の補完)
           家族の状況(介護家族、その他の支援)
           住居の状況(治療に使用する部屋等の確認と治療準備の依頼)
   ↓
 *訪問調査(契約確認と計画表作成)
           在宅マッサージの関係書類の確認と契約 
           在宅マッサージの計画表の作成


 第一節 訪問調査1

 1 訪問調査の同意と依頼の確認
 訪問調査にあたっては最初に、訪問調査についての同意をクライアントからもらわなければなりません。
 このクライアントの同意はしっかり確認して下さい。
(クライアントがコミュニケーション困難な場合は家族に確認して下さい)

 訪問治療の依頼の種類
 1クライアントからの直接依頼
 2クライアントの家族からの依頼
 3クライアントの知人からの紹介
 4医師や看護士(訪問看護ステーション)等、医療・介護関係者からの紹介・依頼
以上です。

 1、2で注意すべきことは、クライアントと家族双方の意志疎通がはかられているかどうかをしっかり確認しておかなければなりません。
 双方の意志疎通がはかられていない場合には治療が大変しにくい場合がありますので、意志疎通を確認し、はかられていない場合は、施術者が中に立って意志疎通をはかる必要が生じる場合があります。
 3のクライアントの知人からの紹介の場合、単に知人自身が独自の判断で紹介しているのか、クライアントが知人に紹介依頼をしたのかをしっかり確かめる必要があります。
 また、独居老人クライアントの場合は例えば民生委員さん等の依頼もありますが、これら独居老人と常日頃コンタクトしている方々との意志疎通もはかり、クライアントの周辺の善意からする配慮を大切にしながら最終的には本人の意思を確かめアセスメントに入る必要があります。
 4の場合の医師や訪問看護ステーションや介護関係者からの依頼があるということは、施術者は大変信頼されているということです。
 この医療関係者からの信頼は大変好ましい状況です。
 この場合、できるならば、文書等で治療方針を医療介護関係者の方にも理解していただくような形をとって共通理解を得ておく必要があります。

 :外来の治療室を持っている施術者は外来クライアントからの紹介もかなりあります。
 外来クライアントから治療室に問い合わせがあった場合は、外来クライアントの紹介者と、訪問治療を受けたいクライアントの関係を良く聞き、「知人からの紹介」と同じように、慎重に検討したうえで、在宅訪問治療の資料等を当該の外来クライアントの紹介者に届けていただく等の対応が必要です。

 2 身体状況の調査

 クライアントの現病歴把握
 発症
 経過
 現在までの治療とクライアントの評価(介護家族の評価)

 クライアントの病態把握
 身体状況 ADL等
 精神状況 コミュニケーション等

 依頼や紹介があっても、すぐには当該クライアントが在宅訪問治療の対象かどうかを判断できない場合がほとんどです。
 従って、よくクライアントの話を聞き、病状を把握して上で在宅訪問治療の対象者か、また在宅訪問治療をできるかどうかを見極めなくてはなりません。
 もし在宅訪問治療の対象でない場合、または諸般の事情で在宅訪問治療が不可能な場合は、きちんと説明して、クライアントや介護家族に納得してもらう必要があります。

 3 医療機関の治療状況
 在宅訪問治療するクライアントには
医師や看護師の訪問治療を受けている場合
医師や看護師の訪問治療を受けていない場合
の2種類に分かれます。
 医師等の在宅ケアを受けている場合には、主治医とよく相談の上で、治療を進めなければなりません。
 また、在宅ケアを受けていない場合には、クライアントが普段よく利用する医療機関を記録しておかなくてはなりません。


 第二節 訪問調査2 −同意書発行の依頼−

 同意書・診断書の発行依頼については、大変苦労があります。それは、医師の先生方がマッサージの同意書発行という経験がない場合が多いからです。

 医師の療養費制度や療養費によるマッサージに対する見解は大体3つに分かれます。

  療養費制度そのものに批判的である場合
 2 マッサージそのものに批判的である場合
 3 療養費またはマッサージについて理解されていない場合

以上の3つがあります。

 1 療養費制度そのものに批判的である場合
 療養費すなわち”健康保険でマッサージの施術をする”ということについて抵抗がある医師もおられます。
 理由は、マッサージそのものを全くアメニティーと考えておられ、健康保険を使うことに抵抗があるようです。
 保険者の中にも「マッサージなどただ気持ちが良いだけ」という担当者もおられますので、マッサージの医療効果については説明パンフレットなどでまとめておく必要があります。
 マッサージの療養費における根拠は「保険発28号」ですのでよく説明していただきたいと思います。

 2 マッサージそのものに批判的である場合
 この場合は、第一に、医療提供者としての施術者に対して、その知識と技術、施術者の医療環境をあまり信頼していない、第二に、医学的な治療効果に対してあまり信頼していない等であろうと思います。
 これらの点については、基本的には時間をかけて交渉し医師の先生方に納得のゆくような説明ができるように心がけていただきたいと思います。
 医師がマッサージに批判的な場合には、クライアントにマッサージの効果や療養費における医師の同意のことをよく理解していただいた上で、クライアントを通して医師に依頼するか、マッサージ師が直接出向いていって説明し依頼するか、また他に有効な手だてがあるかどうかクライアントとしっかり検討して欲しいと思います。

 3 療養費またはマッサージについて理解されていない場合
 この場合は、医師の先生方にマッサージの内容を説明するしかないわけですが、市販されている書物等を送ったりパンフレットを作成し、ねばり強く理解を求めることが必要です。

 注:医師の先生方宛に、
 1同意書・診断書発行依頼の文書
 2発行お礼の文書
 3患者紹介の文書、その他の文書
 をあらかじめ用意しておきましょう。


 第三節 訪問調査3−同意書発行後の調査−

 1 身体状況の調査(訪問調査1で不足している点などの補完調査)
  クライアントの現病歴把握=発症、経過、現在までの治療とクライアントの評価(介護家族の評価)
  クライアントの病態把握 =身体状況、精神状況、コミュニケーション、ADL等
  医療機関の治療状況(訪問調査1で不足している点などの補完調査)
  介護家族の状況
  介護家族、その他の支援
 4 交通の便
 5 住居の周囲、住居内の状況


 第四節 訪問調査4−治療契約と治療計画−

 最終段階として、治療契約、治療計画の契約書、または確認書を取り交わさなければなりません。
 治療契約の確認
 治療計画の確認



≪ 鍼灸保険情報センター

在宅マッサージ初心者テキスト4
コミュニケーション論

1998/01/08
鍼灸保険情報センター



 コミュニケーション論
 省略
 第一節 クライアントへの対応
 省略
 1コミュニケーションが比較的容易にとれる場合
 省略
 2コミュニケーションがとれない場合
 省略
 第二節 介護家族への対応
 省略
 第三節 その他のトラブルと対策
 省略

在宅マッサージ初心者テキスト5
モニタリング

 モニタリング論

 第一節 在宅マッサージのモニタリング

 在宅マッサージのモニタリングは3ヶ月または6ヶ月毎に行う必要があります。

 1 在宅マッサージについて計画通り日程が消化されたか
 在宅マッサージの日程に無理がなかったかどうか検討します。
特に多いのは計画の時点では可能と思われた訪問時間スケジュールが意外ときつく、度々到着が遅れてクライアントに迷惑をかけるということもあります。
 また、家族の都合からスケジュール通り訪問治療を消化できないこともあります。
 こうした点について、良く検討し解決できるところから解決して行かなければなりません。


 2 在宅マッサージの技術提供が適切に目標通り実施されたか
 マッサージの技術については
  施術者(本部)の治療方針通りの結果が得られたかどうか
  クライアントの要望が実現したかどうか
の二つです。
 については、直接クライアントに調査してみなければなりません。
 治療効果(症状改善)については当然記録しておきます。


 3 在宅マッサージに対して、クライアントから新たな要求がないかどうか
 クライアントが在宅マッサージを受けてみて新たな要求がないかどうか調査します。
 例えば回数、治療日時に変更の要求はないかどうか等の調査が必要です。


 4 在宅マッサージに対して、同意医師の意見等について
 クライアントの病状の変化如何によっては、同意医師からマッサージの中止要請がある場合もあります。

 5 在宅マッサージに対して、保険者の意見等について
 保険者によっては、医師の同意書だけで判断するのではなく、直接クライアントの病状を調査する場合があります。
 保険者の意見がでたならば、クライアントを意思を尊重しながら保険者との調整をしなければならない場合も出てきます。



 第二節 在宅マッサージ計画の再設定

 在宅マッサージのモニタリングで、在宅マッサージ内容の再設定の必要性が生じた場合は速やかに内容の練り直しをします。


≪ 鍼灸保険情報センター