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1998/01/08
鍼灸保険情報センター 監修
第一節 在宅マッサージの意義・目的
わが国では、1990年代に入って、鍼灸マッサージ団体の推進により、高齢者に対する在宅マッサージが全国的に盛んに行ようになり、多くの市町村において、高齢者向けのマッサージにについて健康保険給付(療養費)や市町村の給付等について、行政指導が積極的に行われているところであります。
鍼灸マッサージ師の免許制度は、平成2年4月1日から厚生大臣による免許にとして改正(「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」の改正)されましたが、この制度改革は、鍼灸マッサージ師を医療の一翼をになう業へと成長させる大きな契機となり、その後の鍼灸マッサージ業界の社会的役割に対して年々その期待度が高まっています。
在宅マッサージの意義は、医療マッサージが在宅マッサージとして国民に広く浸透し始めていることであります。
日本での医療マッサージ施術の歴史は古く、医療機関においては従来からマッサージ師が大変活躍していました。昭和40年の理学療法士及び作業療法士法の成立以降、医療機関でマッサージ師が行う医療マッサージは一時衰退したかに見えましたが、近年来多くのマッサージ師が在宅マッサージに取り組み始め、マッサージ師による医療マッサージが在宅マッサージによって復活しつつあります。
健康保険制度においては、厚生省通達、保険発28号(昭和46年)の指導を根拠にして展開されており、高齢者支援の為の保険在宅マッサージ施術の展開は、今後益々発展するであろうと、国民に広く期待されています。
在宅マッサージの目的は、脳血管障害後遺症をはじめとした筋麻痺、関節拘縮等の愁訴において、不自由で苦痛に満ちた生活を強いられている高齢者に対して、寝たきりになることを防ぐこと、また、一人でも多くの寝たきりの高齢者が日常生活動作(ADL)を拡大し自立的な動作ができるようになること、更に自立した人間として、快適な生活(QOL)を送られるよう支援してゆくことであり、これが在宅マッサージの最大の目的であります。
第二節 在宅マッサージの定義
在宅マッサージとは、「関節拘縮、筋麻痺、疼痛等の症状または傷病で、医療上、マッサージを必要とするクライアントに対して、その緩和を目的として、居宅において行う施術である」と定義できます。(情報センター定義)。
保険発28号で指導している、マッサージの医療保険(療養費)としての定義づけは、「筋麻痺、関節拘縮、疼痛等」の症状及び傷病に対する施術でありますが、これらの症状及び傷病のクライアントで通院できない、歩行困難等のクライアントに対しては、これを在宅への訪問施術として展開し、日常生活動作(ADL)及び生活の質(QOL)の改善を最大の目的として行うことであります。
1在宅「マッサージ師」
在宅マッサージを行う施術者は、国家試験に合格し、マッサージ師の資格を取得した、マッサージの専門家であります。
現在、医療マッサージのみを目的としたマッサージ師が急速に増加しており、これらに答えるべく、業界の各団体では在宅マッサージの理論と技術について研修を行い、常に、最新の情報をもって、国民の要請に対応しています。
2クライアントの生活圏(生活する地域)
在宅マッサージは「地域に密着する」という考え方で展開しなければなりません。
地域に着するということは、第一に地域の人間関係、第二に地域の特性、第三にマッサージ師の地域における立場、これらを総合的に考察し、市民社会へ働きかけ、マッサージ師に対する社会的要請に応えるということであります。
「地域の人間関係」とは、クライアントを取り巻く地域がどういうコミュニケーションをとっているかということであります。
行政機関の下に、町内会をはじめさまざまな市民団体、ボランティア団体等が連携しています。
また地域によっては、昔の地縁団体、組織がそのまま行政に反映しているところもあります。
また、医療機関等の所在とそれらの在宅ケアとの関わりなども重要な要素であり、在宅マッサージの展開に際しての構成要素であります。これらの人間関係を理解し、慎重に連携してゆくことが肝要であります。
「地域の特性」とは、例えば、地域を構成する人々がどういう経済的、社会的、文化的な特徴を持っているのかということであり、総体的にどういう性格の地域なのかということであります。
例えば商業地区、農業地区、工業地区、ベッドタウン、老人が多い地区、少ない地区等であります。
これらの、地域の特性を踏まえ、地域のニーズに合った在宅マッサージの展開が要求されます。
「社会的要請に答える」ということは、第一に、地域組織への連携、第二に、地域の医療機関等との連携ということであります。マッサージ師が地域組織や医療機関との連携をとることによって、地域の在宅マッサージのニーズが把握でき、また地域における在宅マッサージの参加プランニングが容易になります。
3クライアントの家庭(介護家族)
家庭は、在宅マッサージを受けるクライアントの生活の場であり、クライアントを取り巻く、人間関係の場であります。
在宅マッサージ師は、クライアントを基本として、クライアントがどのような人間関係を築いているのかにも気を配り、クライアントの介護家族やその介護家族を支えている周囲の人々(介護サービスを行っている方々)への配慮を忘れてはなりません。
4クライアントの多用なニーズ(さまざまなレベルの健康や生活障害から発生する多用なニーズ)
在宅マッサージを必要とするクライアントは単に、筋麻痺、関節拘縮、疼痛等に対するマッサージ施術だけではなく、医師や訪問看護師、その他の医療関係者、介護関係者による在宅支援サービスが必要になってくる場合がほとんどであります。
従って、在宅マッサージ師は、これら在宅支援サービスを展開するさまざまな職種に対するクライアントのニーズを理解し、必要に応じて、これらの職種へのクライアントの要請に対する支援及び連携が必要になってきます。
比較的単純な片麻痺等のクライアントからターミナル・ケアの必要なクライアントまで、これらのクライアントの各段階についてのさまざまなニーズを見逃さず、必要があれば適切なケアが受けられるよう常にそのニーズの多様性とその対応に気を配っておかなければなりません。
第三節 在宅マッサージの対象者
在宅マッサージの対象者は、傷病、けが、加齢等による、筋麻痺、関節拘縮、疼痛等によって在宅において、マッサージ施術を必要とするクライアントで、医療保険を使う場合は、医師により医療マッサージの施術同意があったクライアントであります。
特に、脳血管障害や加齢等によって、筋麻痺、関節拘縮、疼痛等の症状を訴え、日常生活動作(ADL)に支障があるクライアントがその大半を占めます。
在宅マッサージを必要としているクライアントを分類すると以下のようになります。
ア 脳梗塞等脳血管障害による筋麻痺、関節拘縮、疼痛等によってマッサージを必要としているもの
イ 神経痛、リウマチ等の傷病によってマッサージを必要としているもの
ウ その他の傷病、けが、加齢により、歩行困難等、通院に支障のある状況でマッサージを必要としているもの
第四節 在宅マッサージの内容
1 医師の指示による「関節拘縮・筋麻痺の緩和」を目的としたマッサージ施術
在宅マッサージを展開する場合、医療保険による施術の依頼が圧倒的に多く、医療機関との連携は必須条件であります。
医療機関等の指示があればこれを遵守し医療機関に対して適宜報告をしながら施術をしてゆかなければなりません。
2 クライアントの精神的支援
在宅マッサージでは、クライアントのマッサージによる施術支援とともにクライアントの精神的な支援も必要であります。
クライアントが精神的にも希望に満ちた日常生活を送れるよう配慮してゆかなければなりません。
3 クライアントの社会生活支援
在宅マッサージでは、クライアントが少しでも社会生活を拡大し、生活の質(QOL)を向上してゆく為に常にクライアントへ施術内容のモニタリングを行いながら施術を行い、日常生活動作(ADL)の拡大を目標にしてゆかなければなりません。
4 介護家族支援
在宅マッサージを必要とする介護家族への支援は、クライアントへの支援とともに車の両輪の片方であります。
クライアントへのマッサージ施術とともに、介護家族の肉体的疲弊に対してもマッサージ等によって援助してゆく必要が出てきます。
5他の医療、介護サービス等との連携
在宅マッサージを受けているクライアントは在宅マッサージだけではなく、通常は医師、看護師、理学療法士等の医療、及び介護業者のサービスやボランティアを受けている場合が普通であります。
従って、これらの関係者等との連携は必須条件であり在宅治療日誌や直接的な連絡等を通して他の職種との連携をとってゆかなければなりません。
第五節 在宅マッサージの視点
1 脳血管障害後遺症の施術
1 寝たきりを予防する
寝たきりの原因は、脳血管障害後遺症の症状としての筋麻痺、関節拘縮、疼痛等によるものが最も多くみられます。
寝たきりを予防するには、歩行をはじめとした日常の最低限の生活動作が円滑に行えるかどうかを評価表を基に調査し、評価表から日常生活動作改善の計画を導きだし、その計画に従って施術してゆかなければなりません。
2 寝たきりを起こす
一度寝たきりになったクライアントは、寝たきりになることで身体機能全体が相対的に低下し、益々起床が困難な状態になりやすくなります。
そこで、在宅マッサージでは先ず、ベッドで上体を起こすことを可能にする、各関節の拘縮等を緩解させる施術、次に、ベッド上で食事等の最低限の日常生活動作(ADL)が行えるような、マッサージを基本にして、徐々に日常生活動作(ADL)の範囲が拡大してゆくことを目指して施術てゆかなければなりません。
a)他のリハビリテーション治療との連携
クライアントが理学療法士、作業療法士や看護師等の治療を受けている場合、これらの医療とも目標や方針を共有しながら、施術を進めてゆかなければなりません。
b)障害受容のための支援
脳血管障害のクライアントは、医療機関でのリハビリテーション終了後も何らかの障害が残ることが多く、これらのクライアントはこの後遺症とつき合ってゆかなければならないことが少なくありません。
こうした現実に対して、クライアントがこれを受容し、失われた機能を悲しむのではなく残存した機能を拡大し、より効果的に活用できるよう前向きの姿勢で生きる為の精神的支援をしてゆかなければなりません。
2 痴呆性老人の在宅マッサージ
1医療的対応
2痴呆症状への対応
3介護家族への支援
3 ターミナル期のクライアントに対する在宅マッサージ
1疼痛等の緩和
2介護家族への支援

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