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病院、診療所等、保険医療機関での鍼灸治療は保険適用不可と厚生省が回答
日本鍼灸師会健保対策委員会 熊崎勝馬 医道の日本H11年10月号p198〜
保険医療機関での鍼灸治療
現在,保険医療機関で鍼灸治療が実際に取り扱われていることは,幾多の鍼灸に関する報告書,並びに患者からの報告で知ることができる。
このことに対し,具体的に真正面から行政に質問をしたのは平成四年十二月,岡山県内の保険医療機関の医師からであった。
その質問の内容と回答の要旨は,「保険医が有料で鍼治療できるか。保険医が鍼治療を無料で行うのであれば違法ではないか。保険医療機関で鍼灸の保険適用はできないか。同一敷地内に鍼灸の施術所を設置することができるか?」などの問いに対して,「保険医療機関で鍼治療を行うことは有料でも,無料であっても認められない。保険診療と鍼治療が併存すれば違法,関連なければ違法ではない。保険医療機関では鍼灸の保険適用できない。同一敷地内でも明確に分離・独立してあれば止むを得ない。」
などであり,これらの回答は岡山県保険課の担当者が厚生省の確認を得た上でなされたものである。
この内容については,平成九年十二月,日鍼会は再度厚生省に文書で確認し,同年十二月五日付けで厚生省保険局医療課よりこの内容の取扱いは現在も変わりがないものである,との文書を受領している。
また平成十一年三月二五日に開催した業界四団体と厚生省担当者との勉強会の席上で再度日鍼会側から口頭で確認し,この内容は今でも変わりがないことを担当者から回答を得ている。
しかるに,平成十一年七月二四日発行の『日本医事新報』三九二六号の「経営管理Q&A」で「診療所における鍼灸マッサージの開業」についての質問に対し,税理士,医業経営コンサルタントの常山正雄氏が次の如く回答している。
◎日本医事新報の記事抜粋
[問]医院とともに,鍼灸マッサージを行いたいと考えているが,手続きなどはどのようにすればよいか。
〔答〕診療所において,鍼灸マッサージを生かした手続きとしては,
@診療所に医療従事者として鍼灸マッサージ師を勤務させる。
A診療所とは別に独立した鍼灸マッサージ師の施術所を設置する。という方法がある。
一,医療従事者として鍼灸師を勤務させる場合
一般的に,診療所に鍼灸マッサージ師を勤務させる場合にはリハビリテーション科を新設する。
この場合には,リハビリテーション科の新設となるため,診療所開設届出事項一部変更後10日 以内に保健所に届け出なければならない。(中略)そして,診療所に医療従事者が就職や退職をし た場合には,医療従事者変更届けを変更後10日以内に保健所に届け出なければならない。
(中略)診療所がリハビリテーション科を標榜して診療するため,保険医療機関であれば,当然のこ とながら保険適用となる。保険の請求は従前の通り診療所からの請求となる。また,自費診療,保 険診療については,診療所にリハビリテーション科の医療従事者としての勤務となるため,どちら についても可能である。
二,独立した施術所の設置(略)
(税理士・医業経営コンサルタント 常山正雄)
この『日本医事新報』三九二六号に掲載された回答は,今まで厚生省の担当者が再三述べてきた内容と異なること,及び,この『日本医事新報』は全国の保険医療機関や保健所,並びに行政関係者等にも広く愛読されていることから,このままではこの記事の回答が独り歩きし,保険医療機関にリハビリテーション科を設置すれば理学療法の一環として鍼灸が出来,その場合は当然の事ながら鍼灸の保険請求,あるいは自費診療としてでも取扱いができるものと理解され,大病院ならずとも地域での医院等
でも鍼灸が公然とリハビリテーション科の名のもとで一般的に取り扱われる可能性が大いにあり,健保対策委員会ではその影響が甚大になることを痛感し,とりあえず事実関係の確認をするため,厚生省に『日本医事新報』の回答の通り,保険医療機関での鍼灸の取扱いか可能であるのか問い合わせをし,以下の如くの回答を得た。
厚生省保険局医療課の回答
(1) 七月二四日付『日本医事新報』の掲載記事の中で,問い合わせのあった部分については記事の内容に誤りがあります。
(2) 厚生省から『日本医事新報社』に対して,記事の誤りを伝えるとともに,訂正の記事を近々同誌に掲載するよう話しております。
○厚生省の考え方
・上記の記事抜粋における下線(傍線)部分の回答は,誤りである。
・リハビリのうち理学療法に係る診療報酬上の取扱いについては,理学療法士自らが理学療法を行った場合を評価するのが原則である。
ただし,理学療法士と同様の基礎的知識等を有するあん摩マッサージ指圧師等が,運動療法機能訓練技師講習会を受講した上で,理学療法士の監視下で機能訓練を行った場合については,理学療法に係る所定の診療報酬点数を算定できることとしている。
これに対して,鍼灸師については,その有する基礎的知識等が理学療法士と基本的には異なることから,リハビリテーション科の標榜の有無に関わらず,鍼灸の施術に対して理学療法に係る所定点数を算定することはできないものであり,保険適用はない。

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