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2000/10/25
鍼灸保険情報センター
今回からグランドデザインの「自立投資」以外の部分について紹介−解説してみたいと思います。
最初にグランドデザインの構成を目次から紹介します。
全体設計のスキーム
第1部 これからの医療の目標と医療の質
第1章 医療アウトカム(成果)の目標
1.医療の成果目標
第2章 医療の質とその評価
1.脳卒中を例とした医療の質の変化
2.文献上の評価の具体例
3.医療の質を向上させる方策
第3章 国民への保証
1.2000年の改革論争
2.2002年の改革に向けて
3.4つの改革の内容
4.法体系の整備
第4章 公的医療保険の役割と自立投資概念の導入
1.公的医療保険の役割
2.自立投資概念導入の背景
3.自立投資と公的医療保険
4.自立投資医療の対象
5.想定される自立投資ファンド
第2部 2015年の医療体制
第1章 後期高齢者対策を中心としたポリシーダイナミックス
1.人口滅と後期高齢者の激増
2.ポリシーダイナミックスと高齢者医療制度
第2章 国民医療費の現状と国際比較
第3章 現行制度に基づいた需要予測
1.2015年における入院者数の予測
2.2015年における外来患者数(医科)の予測
3.2015年における要支援・要介護者数と所在地分布予測
第4章 提供体制
1.2015年における入院/外来/要介護者数の予測まとめ
2.入院/入所病床数の将来予測
3.医療・介護常勤従事者数の将来予測
第5章 医療/介護サービス費用の将来推計
1.国民医療・介護費の将来予測の必要性
2.高齢者医療制度の概要
3.推計の前提
4.推計の手法と結果
第6章 財源負担構成 ~公費・事業主・家計~
1.主体を明確にした財源負担区分の設定
2.2000年度介護保険費用について
3.2000年度老人医療費について
4.2000年度一般医療費について
5.連結後の負担構成割合
6.2015年国民医療・介護費の負担割合一選択股の提示
第7章 産業/経済としての医療の検証
1.経済波及効果について
2.国民経済及び経営面からの検証
2015年医療のグランドデザイン関連データ集(第2部関係)
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以上です。
一 「グランドデザイン」提出の背景
そもそも日本医師会をしてグランドデザインを提出させた大きな根拠の一つは医療費問題であります。
これは保険者の経営が赤字で危なくなっているからです。
この赤字について組合健保は老人拠出金が最大の原因であると主張しております。
確かに組合全体の支出に対して老人拠出金の占める割合(例えば平成11年度の政管健保の老人拠出金の%は22987億《老人拠出金》/74445億《支出合計》=31%)は非常に大きいものです。
そこで、問題は「老人医療費をどのように抑制するのか」また「老人医療費拠出金をどのようにするのか」という論議になります。
いくつかの案が論議されておりますが制度の改革は大きく分けて、
1老人医療の自己負担を増やす
2診療報酬制度を出来高払い制から他の方法に変える
3医療制度そのものを見直す
の3つです。
1老人医療の自己負担を増やすという方法は
a定率負担にする(または「《一定限度まで》定率」と「定額」を組み合わせ負担にする)
b定額負担の額を増やす(または薬剤負担等の負担を加える)
2診療報酬の支払制度を現行から他の方法に変えるというのは
a現在の「包括払い」の範囲を広げる
b「DRG−PPS」を導入する
3制度そのものの見直しについては
a高齢者医療制度を創設する
b薬価制度等の改革をする
グランドデザインでは上記の選択肢の中の「高齢者医療制度」の創設を中心に据えて考えているわけです。
グランドデザインから「自立投資」の提案が出てきたのは、医療保険制度を「高齢者医療制度(75歳以上)」「一般医療制度(74歳以下)」の2つに分類純化する過程で、療養費(第44条、第44条の2)の中身を整理したいということでしょう。
二 何故「2015年」なのか
グランドデザインが何故2015年という年を医療改革のリミットとして設定したのかという点についてグランドデザインでは資料統計から算出しております。
冒頭にも述べましたが、グランドデザインがこうした政策資料提案を提出した背景には医療制度における厚生省の統計処理の仕方には問題があると見ているわけです。
グランドデザインの主張によりますと2015年の医療介護費試算は56兆円で、厚生省の医療費試算との開きは実に20兆円(当然厚生省の試算の方が多い)の違いもでているといいます。
また、グランドデザインでは、1995年〜2045年までの人口動態推計をみると、総人口は2015年には減少し始め、その後も減少し続け、かつ前期高齢者(65歳〜74歳)も2015年から減少するが、後期高齢者(75歳以上)は2015以降も増加し続けるという推計を出しております。
この後期高齢者(75歳以上)の特徴は入院であります。
医療機関に6ヶ月以上入院している高齢者(65歳以上)のうち、69%は後期高齢者(75歳以上)、同じく老人保健施設では88%が後期高齢者、同じく特別養護老人ホームは84%が後期高齢者であるという統計です。
また、2000年の後期高齢者(75歳以上)の人口にしめる割合は7.0%、2015年では12%となり、後期高齢者が特徴的に増加するという推計です。
グランドデザインでは2015年から受診受療状況が特徴的に変化するということで制度的改革を主張しているわけです。
三 日本医師会の戦略
グランドデザインでは2015年以降、後期高齢者が特徴的に増加するという検討結果から後期高齢者を対象とした独立の「高齢者医療保険制度」創設を提案しておりますが、これの実現に向けた戦略について検討してみたいと思います。
以下グランドデザインの主張です。
「2000年の改革論議が迷走してしまったために、2002年からの改革は待った無しである。
そのためには、国会のスケジュール等を考え合わせると、今すぐ検討を開始しなくては間に合わない。
しかしながら、厚生省は重い腰をあげそうもない。そして、当事者間の『意見の不統一』を改革ができなかったことの言い訳にするだろう。
しかしそれでは、医療の現場をあずかる当事者として国民に責任を果たせない。
そこで、各当事者の方々に、小異を捨て大同について、高齢者医療制度の議論を開始することを呼びかけたい。
そして、国民に、高齢者医療制度の創設を通じて診療報酬体系改革、薬剤制度構造改革、医療提供体制改革、生涯保健事業の推進の4つの医療制度改革を成し遂げ、それを通じて世界有数の国民皆保険体制を堅持することを約束する。」
(2015年医療のグランドデザイン) |
グランドデザインでは高齢者(65歳以上)を2群に分類します。
65歳〜74歳を「前期高齢者」、75歳以上を「後期高齢者」と分類し、75歳以上を対象とした「独立型」の「高齢者医療保険制度」の創設を提案しております。
グランドデザインでは「高齢者医療保険制度」を提案する、論理背景を資料を駆使した試算も同時に多数提出しており論理展開に説得性を持たせております。
上記のグランドデザインで明らかにしている目標を整理すれば「高齢者医療制度」の創設と同時に4つの改革を目指しております。
○高齢者医療制度の創設
診療報酬系改革
薬剤制度構造改革
医療提供体制改革
生涯保険事業推進
四 「高齢者医療制度」の内容について
「高齢者医療制度」について見てみましょう。
「高齢者医療制度の概要」(P61)にその内容が書かれております。
以下列挙します。
1 75歳以上の全てこの後期高齢者を対象とした独立した医療制度(医療と介護を統合)
2 公費を財源の90%程度投入、自己負担10%程度
*保険者からの老人拠出金制度廃止
*一般医療制度(74歳以下)は保険料80%程度、自己負担20%程度
3 独自の診療報酬支払方式
*急性期医療 出来高払い方式
*慢性期医療 包括払い方式(「包括払い」が適切な社会保障の運用を妨げないように配慮)
4 保険者を都道府県とする
上記の内容を実現させるために法整備についても提案されております。
以下列挙します。
1 高齢者医療法の制定
2 新健康保険法の制定
3 健康基本法の制定
4 医療情報基本法の制定
5 救急基本法の制定
6 医療法の改正
以上です。
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