Hamazo の NY 日記

2001/10/06

小龍包で大切なこと

朝、なにげなく Web を行ったり来たりしていたら、NY近辺の中華料理屋を紹介しているページを見つけた。市内が中心だが、我が家の近くの店も何軒か紹介されている。その中の1軒は「まあまあの」飲茶を出し、特に小龍包が結構旨いとのこと。自慢じゃないが私は小龍包に関してはチトうるさいのである。どれくらいうるさいかというと、

 

しょ〜うろ〜んぽう〜〜!

 

と叫んでしまうくらいにはうるさいのである。というわけで早速お味をチェックしに行く事にした (← なんだかエラそう)。

富豪酒家(The Hartsdale Garden) なるそのレストランは、我が家から車で10分ほどの、100号線沿いのショッピングモール内にある。同ショッピングモール内には先日食べに来た寿司屋さんもある。富豪酒家は名前に負けぬよう、ちょっとリッチな雰囲気を演出している、かもしれない。どれくらいリッチかというと、テイクアウトのチャイニーズレストランよりはかなりリッチである。入り口付近に水槽が沢山あって、ロブスターやカニや、コイみたいな魚が沢山居る...あたりは結構リッチ。

お店のマダム(というかオバサン)が居たので、1人ですよの意で人差し指を立てるジェスチャーをすると、「ニーハオ」と話しかけられる。「ワン、プリーズ」と実用的英語(サバイバル英語とも言う)で主張すると、ちょっと意外な顔をされた。確かに私は大陸系の顔らしくて中国人に間違えられることが多いのでそのためだろうか。

店員さんは皆中国人で、お店の中には丸テーブルが沢山。湯気をせいろを載せた立ててるワゴンが何台か店内を巡回していて、なかなか本格的な飲茶の雰囲気をかもしだしており、よい感じ。土曜の昼時、店内は4割がた埋まってるといった風情。人種の構成は、中国人、日本人、それ以外が同じ割合、といったところか。日本人といってもこんなところまでくる観光客はまずいないから、この付近に住んでいる海外駐在員のご家族とか、それを通り越して住みついてしまった人とか、そういう雰囲気の人が多い。

「ハーイ」

とわりと愛想の良い中国人の店員さんがワゴンを押してやってきた。

「ポークダンプリング、シュリンプダンプリング、トウフ、スペアリブ、...」

15種類ほど載せたワゴンの上のせいろの蓋を取って、ひとつずつ説明してくれる。ちなみにNY近辺の英語だと、シュウマイもギョウザもダンプリングになっちゃうらしい。ダンプリングというと普通は 「だんご」 というイメージがあるので一瞬意味不明だが、慣れると文脈から読み取れるようになる。英語ではシュウマイとギョウザの微妙な差は表すことができないのであろうか。さらに余談だが、ワンタンは wonton でそのまま通じて、テイクアウトの中華屋でも wonton soup などというメニューがある。が、出てくるのは日本人の想像するあの繊細なワンタンとは別物の、間違えたラビオリみたいな代物が多い。

とりあえず一通りの説明を聞いて、ポークしゅうまいとスペアリブの蒸し煮をもらう。すると 「コレモアルヨ」と下の方から蝦蒸餃子を出してきた。なぜそれを早く言わん! 蝦蒸餃子、専門用語で蝦餃(ハーガウ (多分ね))は私の一番の好物だ。もちろんこれももらう。

「シャウランパウありますか?」 と中華風発音を装って聞いてみる。

「別に注文しないとダメよ」

「じゃあ注文します」

「じゃあ、あの人に言ってね...」と黒服を着たちょっとエラそうな別の店員を呼び寄せる店員。

「シャウランパウください」と私。

「カニ入りと*#パウがあるよ」 みたいなことを言ってくれたのだが、*#パウの部分がよく聞き取れない。ええい、ままよ。

「カニ入りじゃないほう。パウのほうください。パウ

「はいはい、パウね」

よくわからんが、これでなんとか通じたらしい。

 

小龍包を待つ間に、蝦餃その他を食す。蝦餃、つまり蝦蒸餃子はもち米でつくった半透明の皮の下にピンク色のエビが空けて見えるという大変に美しい料理である。そして口に入れると、エビがぷりぷりっ! とするのが快感のテクスチャ系美味である。美味しい蝦餃はエビに火が通りすぎて硬くなっていてもいけないし、かといって生でグニョっとしててもいけない。このエビのぷりぷりっ! とした旨いやつにあたると、至福の一言。一見シンプルな料理なのであるが、蝦餃の美味しい店を探すのは東京でも結構大変で、私のお気に入りは横浜中華街の某店である (ナイショ)。

本日の蝦餃は...Hamazo的には70点というところか (エラソー)。理由は、エビの食感が「ぷり」くらいだったこと。でも蝦餃だとは思える味なので、また行ったらまた食べてもヨイ (ますますエラソー) という感じ。

 


 

話がずれたが本題に戻って小龍包の話。

小龍包で一番大切なのは、スープである。皮が破れてスープが流れ出てしまっているというのはもってのほか。薄めの小麦粉の皮の中に豊富にスープが溜まっているのがいい。そして食べた瞬間にその熱い水分が飛び出してきて、火傷をするくらいなのが美味しいのだ。逆にいえば、熱くてジューシーであれば中に入っているのはこのさいなんでもいい。ただの水でも、熱い泥水でも!!

...なーんて勢いで書いてみましたが、ウソですね。やっぱり熱くて美味しいスープが沢山入っているのがいいです、ハイ。

 

それはともかくこの際なので、美味しい小龍包の食べ方を紹介する。各自自己責任で試されたし。

食べ方その1。

  1. 小龍包1個をとにかく一口で口に押し込む。
  2. 歯を立てると当然熱いスープが流れ出してきて熱痛いが、間違ってもここで吐き出してはいけない。恥ずかしいわ周りの人に迷惑だわ、 なにしろ吐き出してしまっては美味しく食べるという当初の目的を達成できないからである。
  3. 熱痛い口の中の苦痛に耐えながら、唇を小さくすぼめて口の内側を膨らまし、「私の口は小さな小洞窟。でも入り口は小さい」という状態にする。その状態でスープを噴出さないように、静かに息を吸ったり吐いたりする。口の前に手をかざせば、口から噴出される息がスープの熱を帯びて熱くなっていることに気がつくはずだ。
  4. 数回これを繰り返すと意外と口の中のスープと小龍包が冷めてくるので適宜咀嚼して味わい、飲みこむ。

私の評価ではこの食べ方が一番美味しいと思うのだが、危険も大きい。2.の段階で熱さに耐えきれずに噴出してしまう可能性があるし、3.でおちょぼ口で息を吸ったりはいたりしているのも、外から見るといかにもバカっぽい。なにより(特に女性にとっては)、1.の段階で大口あけて小龍包を口に押し込んでいるのを見られた段階で、100年の恋も冷める可能性あり...というわけで、デートの際には相手との距離感を見極めつつ使いたい大技だ。

危険は避けて通りたい向きには次の食べ方がお勧めだ。

 

食べ方その2。

  1. 左手にレンゲを持ち、箸でつまんだ小龍包をレンゲに横たえる。このとき、小龍包の側面が上にくるように横たえるのがポイント。小龍包の上部は皮が厚くなっていて、容易に噛みきることができないためである。
  2. レンゲごと小龍包を口に近づけて、側面のしもぶくれになったあたりに小さく噛みき、スープがこぼれないように少しすする。
  3. こぼれない程度にスープをすすったら、少しフーフーして温度を下げつつ、レンゲに載せたまま側面から半分ほどを齧り、味わう。
  4. レンゲに残された半分の小龍包の断面を観察する。この時点で中央の肉団子部分がジューシーで、全体にスープが残っている状態だと嬉しい。次のステップ5.への期待を膨らませる。
  5. 最後にレンゲに残された半分の小龍包をレンゲにこぼれたスープごと頂く。

間違えても小龍包を取り皿に取って箸で割き、熱いスープを無駄にするなどということをやってはいけませぬ。中国人とHamazoに軽蔑されます(笑)。

 

小龍包で2番目に大切なのは、熱いうちに頂くということだ。普通の人なら3個も食べれば満足だと思うのだが、どういうわけかどこでも小龍包はたいてい1オーダーが8個単位で、大きなせいろに並べられてくる。大勢で食事をする中国文化が基準になっているのかもしれない。

私の場合、最初に取った蝦餃、ポークしゅうまい、スペアリブ、その後につい取ってしまった蝦入り小春巻、を結構食べた後で小龍包8個が出てきたので、大変だった。っていうか、とても食べきれなかったので持って帰り、夕飯に蒸して暖めてなおして食べたのであった。これも不味くはないけど、まあまあ...といったかんじ。

というわけで小龍包で大切なことその2は、道連れを探して一緒に連れて行くことなのかもしれない。特に大口開けて小龍包を頬張っても大丈夫な相手がお薦め。


おわり

日記才人に参加しています。
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