29、サクラローレル『遅咲きの桜』
(1994〜97 22戦9勝 天皇賞、有馬記念、オールカマー、中山記念、金杯、天皇賞2着)
1994年クラシック
三冠全て1頭の馬によって独占された年である
その馬とは・・・ナリタブライアンである
皐月賞3馬身、ダービー5馬身、菊花賞7馬身
その強さはどうしようもないほどである・・・
だが・・・
そのクラシックから2年たった1996年
その怪物ナリタブライアンとまともにぶつかり合った馬がいた
サクラローレルである
サクラローレルはクラシック時はナリタブライアンとは雲泥の差があるほどの馬だったが
2年のうちに力を蓄え、ついにナリタブライアンと張り合えるほどの実力を身につけたのだ
2年の間に2回の骨折などの挫折もあったが・・・
1996年春・・・
サクラローレルは目黒記念2着以来
1年ぶりにターフに帰ってきた
この時点でのサクラローレルは金杯を勝っただけのGV馬
もちろん、これだけではGTに無条件で出れるとは限らない・・・
なんとか賞金を加算して天皇賞へ
そこには、クラシック時にははるか上の存在だったナリタブライアンも出てくるのだ
なんとかナリタブライアンと戦いたい
こんな意思があったのだろうか・・・
サクラローレルは1年ぶりではあったが・・・
OP戦の軽い相手ではなくいきなりGUに挑戦したのはそのように考えられる
そこで、サクラローレルは1年ぶりとは思えないほどの強さで勝利した
2着の皐月賞馬ジェニュインに3馬身の差をつけたのはマグレではないだろう
この勝利でサクラローレルはナリタブライアンへの挑戦権を得たのである
いざ、天皇賞へ
1996年天皇賞
サクラローレルは3番人気だった
中山記念での9番人気を考えると
この評価の急上昇は異常とでも思えるほどのものだった
1番人気は三冠馬ナリタブライアン
1995年以来、本調子に戻れなかったが
やはり前走の阪神大賞典でも
ライバルマヤノトップガンを死闘の末、打ち倒していて
現役最強をアピールしていた
2番人気はそのマヤノトップガン
人気はこの2頭が完全に分け合う感じで・・・
3番人気のサクラローレルとの差は大きく離れていた
ファンは誰もが阪神大賞典のリプレイを期待していたのだった
レースは・・・
カミノマジック、テイエムジャンボが逃げるスローな展開
ナリタブライアン、マヤノトップガン、サクラローレルは中団に控えての競馬
ナリタブライアン、マヤノトップガンはお互いだけに注意している様子
そのため、サクラローレルには多少有利に展開していたのだろう
3コーナーで・・・
スローペースに業を煮やしたナリタブライアン、マヤノトップガンが上がってくる
サクラローレルも目立たないように上がってきた
4コーナーではナリタブライアン、マヤノトップガンが先頭に立つ
やはり、阪神大賞典のリプレイになるのか・・・
誰もがそのように考えていた
しかし・・・そのようにはならなかった
直線に入ったマヤノトップガンは伸びずに
ナリタブライアンとの差が広がってくる
このまま、ナリタブライアンが楽に抜け出して終わりか・・・
ついにナリタブライアン完全復活か
と思った瞬間・・・
大外から一頭のピンク色が舞った
そのピンクの桜前線はあっという間にナリタブライアンを飲み込んだ・・・
サクラローレルだ
最後、ゴールに入る前にハデなガッツポーズが出るほどの余裕の勝利
三冠馬も菊花賞、有馬記念馬も簡単に飲み込んでしまった・・・
桜の季節にサクラが満開・・・
この一戦で一気にサクラローレルが現役最強の1頭となったのだ
1996年秋・・・
ナリタブライアンが高松宮杯で負けて引退を決意し
秋のGT戦線はサクラローレルVSマヤノトップガンの風を呈してきた
その2頭は秋初戦でいきなりぶつかることになった
オールカマー
サクラローレルは天皇賞からのぶっつけ
マヤノトップガンは宝塚記念を勝ち、それからだった
ローテ的にはマヤノトップガンの方が有利
そのため、マヤノトップガンが1番人気に推された
とはいえ、この2頭のマッチレースに違いない
誰もがそう思ったに違いない
しかし・・・
サクラローレルは当然のように勝ったが
マヤノトップガンは地方の牝馬2頭にさえ先着される無様な状況
早くもサクラローレルが秋の主役になるという予感があった
だが・・・
競馬はそんな簡単なものではなかった・・・
サクラローレルは次走天皇賞で圧倒的1番人気に推されたが・・・
決定的なミスがあり3着どまり
レース後、横山騎手が境調教師に激怒されたのは有名な話である
結局、天皇賞を制したのは4歳馬バブルガムフェロー
マヤノトップガンも2着まで、上がり馬マーベラスサンデーは4着
天皇賞での騎乗ミスにより
思い切り叩かれた横山騎手はどうしても有馬記念こそは勝たなければ・・・
と意気込んでいた
それには・・・
境調教師がこの年一杯で定年ということもあった
なんとか先生に最後の有馬記念をプレゼントしたい
天皇賞馬バブルガムフェローは有馬記念を回避したので
リベンジも叶わないので、ここを勝つほか天皇賞の汚名をそそぐチャンスはなかったのだ
もちろん、ライバルマヤノトップガンこのままおめおめと負け続けるわけにはいかない
このレースを引退レースとしたヒシアマゾンもそうだった
有馬記念1番人気はサクラローレル
天皇賞はミスさえなかったら・・・というレースということもあり
今度こそは・・・という思わせるには十分だった
2番人気にはライバルマヤノトップガン
3番人気には天皇賞4着マーベラスサンデー
そのほかGT馬は・・・
ファビラスラフイン、ヒシアマゾン、タイキフォーチュン、ホクトベガ、ジェニュイン、エルウェーウィン、ダンスパートナー
とGT馬だらけの超強力メンバーとなったのだ
レースは・・・
いつものようにカネツクロスがハナを切る
マヤノトップガンは2、3番手と前々の競馬
サクラローレルはいつものように中団で控える競馬
このまま淡々とレースは展開していった
レースが動いたのは3コーナー過ぎ
マヤノトップガンが先頭に立とうという勢いで上がってきた
それを合図にサクラローレル、マーベラスサンデーも上がってくる
そして、4コーナーを回ると・・・
サクラローレル、マーベラスサンデーが先頭に立とうとしている
マヤノトップガンは内で伸びきれずにもがいている・・・
大外からヒシアマゾンも突っ込んできそうな感じだ
だが、サクラローレルの実力は他馬とは1枚も2枚も違った
軽くマーベラスサンデーを交わすとあとは独壇場
みるみる差は広がっていく
強い、強すぎる・・・
そのまま、危ないところもなく全くの圧勝
2着マーベラスサンデーに3馬身近い差をつけての圧勝だった
サクラローレル最強
誰もがこのレースを見るとそう思うざるを得ないだろう・・・
そして・・・
当然のようにサクラローレルは96年の年度代表馬に輝いた
1997年・・・
サクラローレルの調教師が境氏から以前の主戦騎手小島氏に変わった
この変化がサクラローレルの運命を大きく変えてしまうことになった
小島調教師はすでに6歳になったサクラローレルに海外遠征を提案する
もう競走馬としては旬は過ぎた状態・・・
境元調教師はサクラローレルで海外に行くのなら自分が調教師のとき連れてったと
海外遠征を否定するなどして陣営は不和となっていた
だが・・・小島調教師は海外遠征計画を断行する
まず、天皇賞をぶっつけで挑戦しその後フランスへ
サクラローレルはからだが強い方ではなかったので・・・
前哨戦を使わずいきなり天皇賞とは
明らかにすでに目は海外に向いてるようだった
または、有馬記念の圧勝により・・・
すでに日本では万全な状態でなくても勝てると踏んだのだろうか
しかし、その計画はいきなりつまずくことになる
鉄砲でも負けないと考えていた天皇賞で破れたのだ・・・
最後のマヤノトップガンの強襲を裁ききることはできなかった・・・
だが、小島調教師は負けを気にせずフランス遠征を実行した
しかし、フランスへの遠征がこんな結果になろうとは・・・
世界最強馬決定戦の一つ、凱旋門賞の前哨戦フォア賞での最下位惨敗
このとき、サクラローレルは故障を発症してしまったが
万全な状態でもどうだったか・・・
ともかく、凱旋門賞に挑戦することなく
サクラローレルはフォア賞を最後に引退することになった
一方、日本では・・・
マヤノトップガンも故障を発症しそのまま引退へ
急に2頭の名馬が現役を去ったのだった
サクラローレルは現在、種牡馬としてなかなかの活躍をしている
初年度産駒のローマンエンパイアが京成杯を制し
1年ぶりのレースで2着に好走するように
GT制覇も夢ではないという位置まで着ている
そのまま、父の果せなかった凱旋門賞挑戦を達成する産駒を出すことができるだろうか・・・
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