科学・技術の『へ〜え』


       世の中で実現・研究されているさまざまな技術や、その裏づけとなる科学に
       関して、親しみが持てそうな、また話題のネタにできそうな、『へ〜え』的
       なネタを隔週で紹介していきます。研究者・開発者からの情報提供も歓迎。
       ご意見やご質問などは、contents@qj8.so-net.ne.jpにお願いします。

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◆《ネタ0001》DNAからはコンピュータも作れる

 遺伝の基礎となる物質であるDNA。実はこれ、デオキシリボ核酸と
いう高分子物質を指すのですが、ここではその二重らせん構造に乗った
塩基(A/アデニン、T/チミン、G/グアニン、C/シトシン)配列
まで含めて考えます。この配列こそが、個々の生物らしい特徴を生み出
すタンパク質合成の設計図であり、やはり物質というより情報そのもの
が本質的、と言って良いでしょう。つまりDNAは比較的安定な物質と
して情報(設計図)の保存を、また二重らせん構造により情報の複製を、
本来の性質として行えるわけです。これだけでもコンピュータには欠か
せない機能ですね。

 さらにDNAは、塩基の配列の仕方によって電流の流れ方を変えられ
るので、半導体的な性質を持たせられます。半導体にはp型とn型があ
るのですが、GとCだけの配列から前者を、AとTだけの配列から後者
を、作り出しうるので、これによりさまざまな処理が可能となります。
まさに複雑なコンピュータになっていくのです。

 DNAは幅が数ナノメートル程度と、現在の半導体の回路幅よりはる
かに細く、並列処理にも向いているので、将来的にはシリコン半導体を
用いた現在のコンピュータを代替するものになりうるかもしれません。
ただ、まずはDNAと相性の良い特定の目的に絞った形の方が実際的な
ようです。例えばある光学メーカーは、遺伝子の発現頻度計測や効果・
特徴解析を主用途にDNAコンピュータを開発しました(下記HP参照)
が、ここでもすべてをDNAで処理というわけではありません。従来型
のコンピュータとの複合製品となっているようです。
http://www.olympus.co.jp/jp/news/2002a/nr020128dnaj.cfm


◆《ネタ0002》ホラともおもえる空想の世界もいい

 アインシュタインが特殊相対性理論を世に問うたのが1905年。その前
夜のヨーロッパの物理研究界は、マックスウェルやローレンツらが電磁
気学や電子論をまとめあげ、ニュートン力学に代表される古典力学万能
説に、ようやく疑問の声があがり始めていたといいます。健全に知的な
土壌が共有されていたわけですね。

 そんな中で、アインシュタインは学者というより特許局の技師として、
社会生活のスタートをきりました。もちろん理論物理学や物理的哲学に
対する興味も強く、ニュートン力学を強く批判し、『力学とその発展』
を著わした物理学者のエルンスト・マッハには、大きな影響を受けたと
いいます。

 ただ、実験を重視しながらも、そこから仮説と思考を元にできるだけ
一般化された理論を創造したアインシュタイン。それが経験主義を重視
したマッハとは大きな違いでしょう。「実験からの距離が遠ければ遠い
ほど、たくさんのものが見える視野が開かれる」。アインシュタインに
は、そんな言葉が残っています。理論と実験結果に差があると、むしろ
その間をいかに埋めるかが、彼の大きな楽しみだったのかもしれません
(参考:中村誠太郎著『20世紀物理学はアインシュタインとともに』)。

 大天才にそのままならえばいい、というものではもちろんありません
が、我々の読書活動の中でも、こういった姿勢というのは大切にしたい
と思います。本に書いてあることは、空想力をはばたかせるための一つ
の材料。そう割り切って、物理学者が実験から理論に思いきって飛躍し
たように、ちょっとした科学的知見から、ホラとも思える文化的法則へ
と思いを巡らせてみる。学問的厳密さにとらわれずそんなことができる
のは、大天才は別格としても、学者ならぬ「凡人」の特権かもね。


■12月10日(水):ミニ・セミナー「基礎からの液晶」ご招待
  開始: 18時 00分 
  場所: 恵比寿 (詳細は前日までに問い合わせてください)  
  費用: 無料 
  問い合わせ: contents@qj8.so-net.ne.jp(subjectに「LC20031210」とお書き下さい)
  資料に下記「速攻入門シリーズ:液晶」を使いますが、なくても参加はできます(当日配布はしません)
 http://www008.upp.so-net.ne.jp/contents/sokkou.html
※今後、ナノテクノロジーや光触媒などのミニ・セミナーも開催予定です。

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発行人:情報ハブ(株) 加藤良平/contents@qj8.so-net.ne.jp/03-3944-7988

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