霞みの煙る山並の

クリスマス番外





 「大丈夫ですか?」

 佐藤がそっと近藤の額の固く絞ったおしぼりをとると冷たく絞った新たなおしぼりに取り替えた。

 こほんこほんと近藤が乾いた咳をする。

 「悪いな、勇真……。クリスマスに風邪なんか引いちまって」

 そのまま佐藤は席をたつと今度はほかほかにあたたまったお絞りを持ってきた。

 「いいんですよ。先生と二人だけで夜を過ごせるだけで」

 「御両親は心配しないのか?」

 「今年もドイツで友だちのクリスマスパーティに夫婦で参加するそうです」

 近藤は思わずため息をついた。

 「寂しいだろう?」

 「そうですね、先生がいなかったら寂しかったと思います」

 眼鏡の奥の表情は読み取れなかったが、いくら大人びて見えるとはいえ高校生なのだ 寂しく無い訳ないと思った。

 「やだな、先生……そんな顔しないでください。 先生がいなかったらっていったじゃないですか」

 「だって、俺今……風邪なんか引いちまうし。逆に迷惑かけてるよな」

 「そうですね…エッチは無理かも」

 「お前な……怒るぞ」

 佐藤勇真は高校生らしからぬ笑みを浮かべた。

 「怒られる事……してみたいな」

 そういってそっと毛布の中に右手を入れる。

 「ば、ばか……よせったら。風邪うつったら冬期講習にいけなくなるだろう」

 「いかなくてもいい」

 そういってさらに下着の中に指を差し込む。

 「いいわけないだろ」

 慌てて近藤が身を捩った。

 「可愛い……先生……すごくかわいい」

 「おい、年上の男相手に可愛いはよせ」

 「だってすごくかわいいんだもの…それに抵抗できない翔平さんってすごくそそられます」

 いつもと違って甘えを含んだ勇真の言葉に近藤は力を抜いた。

 「え?いいの?」

 「触るだけだぞ、直ったらちゃんとしていいから」

 その一言に勇真の顔がぱっと明るくなった。

 「絶対に浮気しないでください。お願いだから僕だけをみてて」

 「もう、お前以外に目なんかいかないよ」

 クリスマスは恋人達の甘い甘い夜近藤の熱も風邪もどこかにいってしまいそうな熱い二人だった。