遥か日輪の彼方に

2005クリスマス番外


 ラストクリスマスを歌っていたワムのジョージ・マイケルが、今年同性婚する予定だと テレビでは騒いでいる。

 今から20年も前の曲なのに毎年この時期になぜかこの曲は好んで流される。このラストクリスマスを聞く度、ジョージマイケルを思い出す人は少ないだろうが、 有名人がこうした勇気ある行動を起こすのは、とても刺激的なことだ。

 まぁ、そうは言っても、この曲のように去年のクリスマスの感傷に浸ってるほど、会社をきりもりする男達は暇ではない。

 逆にあまりの忙しさに、僅かでも気を許せば、昼食を取るとか、歯を磨くとか、風呂に入るとか そんな基本的なことですら億劫になることもある。

 そんな殺人的な城のスケジュールを誰が管理してるのかといえば、もちろん10人も秘書がいる妙高寺グループの秘書課の秘書達だ。

 だが、俺が松森製作所の企画室に席を置きながら、妙高寺グループの会長である妙高寺城の専任秘書のような立場にいるのも、周知の事実になりつつある。

 何かと城が俺を手許に置きたがるからだ。 とはいえ実をいえば俺にとって城に持たせてもらったホストクラブの方に力が入ってしまうのはどうにも止めようがなかった。

 「誰か城の専任秘書を雇えばいいのに」

 「嫌だ」

 「だって俺は向いてないよ。結局秘書課の人におんぶにだっこで迷惑かけてるし」

 「志月は僕が他の若い女の子と常に一緒でも構わないんだな」

 子供のような物言いに思わず大きなため息が出る。

 「あぁ、構わないよ。秘書で恋人じゃないならね」

 つい俺もぶっきらぼうな物言いになる。

 「わかったよ」

 大きな音をわざとたててドアを閉める。結局、自室のベッドルームに入ったまま、その晩、城は最後まで出てこなかった。

 その上これ見よがしに、城はすぐに新しく若くて可愛い美人秘書を雇いやがった。構わないといった手前、俺からは何も言えないが、 胃がキリキリするほど痛む。

 俺が美人秘書になれるわけないし、城が俺を裏切らないことも、俺にベタ惚れだってこともわかってる。

 頭ではわかっているのに。

 俺が話しかけてもずっと無視して秘書と話を続けることが2.3回も続くと なんだか、海のそこに取り残されたような気持ちになる。

 知ってるんだ。時々、城は驚くほど子供っぽい。大きなトラウマをかかえた城だから恋人の俺が許してやらなきゃと思えば思うほど、俺にストレスがたまっていったような気がする。

 普段の城は、伊達眼鏡をかけてオールバックにしているから、そこそこ落ち着いてみえるが、 部屋に戻ると安心するのか、拗ねたり甘えたりしてくることが多かった。

 城の過去を知ってる俺としては、そうやって城が俺に心を許し甘えてくれるのは、俺にとっても大切な充実した時間だった。

 ただ、夜だけはギャップを感じずにはいられない。

 いつもは、甘えたり拗ねたりする可愛い城が、急に獣のように俺にしがみついてくる様は、 やっぱり城も普通の男なんだと自覚させられる。

 城のトラウマを受け止めてやれるのは、俺だけなんだと理屈では分かってはいても、やっぱり 抱かれるだけの日々は、どこか不満が残る。

 城が拗ねて口を聞かなくなってしばらくしたある晩、俺は珍しく長い夢を見た。

 サンタがやってきて何が欲しいというから、『可愛い女の子が欲しい』そんな信じられないお願いをしていた。

 大きなクリスマスプレゼント用の箱をサンタから差し出される。

 なんと中から、金髪の可愛い女の子が飛び出してきた。

 一瞬俺は躊躇した。

 だって俺の恋人は城……こんな願望は 裏切りだと。

 そう思った瞬間、その女の子の顔が城に変わっていた。

 体型と髪型は間違いなく少女なのに、顔が城……。

 「違和感ないな……」

 と俺が呟くと。

 「僕でも満足してくれる?」

 少女になった城が小首を傾げる。

 あぁ、なんて可愛いんだろう。

 城……可愛い……俺は幸せだ。

 小柄な少女の城をぐっと抱き締めながら何度もキスをする。

 「城……城……」

 「志月……あぁ、志月」

 「好きだよ……城」

 「僕も……志月……抱いて……」

 城の声がこれまでになく甘くその愛らしい瞳は潤んでいる。

 「い、いいの?」

 俺の声は上擦っていた。そりゃそうだろう?ずっと夢見てきたんだぞ! 城の方からこんな風にいってくるなんて。

 城はそっと城のワンピースを脱がせながら、「好きだよ……可愛い……」と 甘い言葉を囁き続ける。

 恥ずかしがって俯く城の顎を無理矢理上に向かせながら俺は城にキスをする。

 甘い、甘いキス……そして官能的な……。

 あぁすごくエッチな感じだぞ。

 少女の癖に慣れてるな……城は少女なんかじゃないけどさ。

 離そうとするのに城の唇は離れない。

 何かおかしいと思って目が覚めた。

 そこには、ガウンを纏った半裸の城が俺にのしかかっていた。

 「あ、城……」

 「可愛い女の子が欲しいだって?それはどういう意味?」

 「あ、違う、夢だってば。城が女の子に…」

 「問答無用!」

 どうやら俺は寝言でとんでもないことも口にしていたみたいで。

 もともと、パジャマしか身につけていなかった俺はあっという間に下半身から全てを剥ぎ取られた。

 「ちょ、ちょっと……」

 思いっきり肩に俺の足を担ぐと前戯もそこそこに身体を繋げようとする。

 嘘だろ?

  何時の間にほぐされていたのか、俺の後ろはあっという間に城を受け入れて。

 「あ、あぁ……城」

 これが抱いてと甘く夢で囁いていた男なのか?

 あの愛らしい少女と同じ顔をしているのに、やってることは……。

 城が突き上げる度に、城のきれいに割れた腹筋がくっくっと浮かび上がる。

 そのさまに俺は更に興奮が増してくる。

 「もう、女なんか抱けない身体にしてやる」

 荒い息を繋いで城がそういう言葉をこぼすから、

 「もう、城以外……抱けないよ」

 とやっとの思いで言葉を繋ぐ。

 そうしたら城が満足そうに微笑んでぎゅっと抱き締めてきた。やっぱりこれって 幸せなのかもしれない。

 「どんな夢を見ていたの?」

 そんな優しいそうな城の言葉に俺はつい気を許して本当のことをボロリと言ってしまった。

 「サンタさんに可愛い少女になった城をクリスマスプレゼントに貰った夢」

 城は思いっきり眉を寄せる。

 「やっぱり志月はまだ、女の子がいいのか?お仕置きしてやる」

 そういうと城は中に入っていたままの彼を再び硬度を増して勢いよく擦り上げてくる。

 あそこがじんじんして感覚が麻痺しそうなのに、必死に腰を振っている城の顔が 妙に神々しくて俺は彼を含んだまま、絶頂を迎えた。

 ふっと身体の力を抜くと無茶をしたと思ったのか、急に城は身体を離すと タオルを手にとって顔の汗を拭ってくれる。

 「無茶してごめん?」

 「あぁ」

 「クリスマスに欲しいものはある?」

 「可愛い城……」

 そういったら思いっきり頭を殴られた。

 FIN

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