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「お〜〜い!すぎっち〜今夜のコンパに参加してくれよ」
また数合わせか……俺が参加するといって女を集めたんだろう。勘弁してくれ。
第一金もないし、それにもまして流星に何を言われるかわからない。
俺、杉田喜一は、男同士の恋人を作るはめになってから、俺は恋人に振り回されっぱなしだ。
ちっとも満足にやらせてくれないのに、結構嫉妬深いんだ。
「お前、最近つきあい悪いんじゃねーの?北埜とばっかつるんでいてさ」
同じゼミの佐倉は痛いところをつきやがる。
「まぁ、いろいろと」
曖昧に答える俺に佐倉は意地悪な笑みを浮かべると、腰に手を置いて壁に手を付き俺の行く手を阻みやがった。
「いや、実はさ、ハーレム作っていたもの同士でさらに大きなハーレム作るんじゃないかと
密かに期待していたわけよ。巨大ハーレムなら俺達にもおこぼれがあるんじゃねーかってさ。だけどなんだよ。ちっとも色っぽい話がねーよな。……まさか、お前、あいつとおホモ達だったりしないよな」
なんて勘の鋭い男だ。
「んなわけ、ねーだろ!」
「だよな、女狂いの杉っちに限ってありえねーとは思ったんだけど」
「誰だよ、そんな噂流してるのは?」
「噂ってほどじゃねーよ。最近すぎっちつきあい悪いね〜から始ったちょっとしたジョークだからさ。
な、それよりコンパいいだろ?参加してくれよ」
結局俺はこうして追い詰められていく。
「ちょっと物入りで金がねーんだよ」 おい、おい話してる途中で佐倉の奴、とっとといなくなりやがった。
それでもちゃんと夕方までにコンパの詳細を送ってきやがる。なんて流星にいいわけしようか。
結局断りきれずに参加してしまったが、合コンに集まった女達は思いのほか可愛い子揃いで、話も盛り上がり、なんとなくいいムードにもなっている。それなのに、ちっとも楽しめないのは……後ろめたいのはなぜなんだろう?
「ごめん、体調が悪いみたいだ。先に帰るわ」
そういって一番最初に席を外してまっ先にマンションに帰ったが、俺のマンションは気持ち悪いくらい
片付いていて、しかも人の気配がしない。そのまま部屋に入るのが怖いくらいに静まり返っている。
いっそ、流星に合コンにいくとでも正直に言えばよかったか。別にやましいこともないんだし。
携帯にかけると「電波の届かない場所におられるか、電源が入ってない……なんちゃら」という女の無機質なアナウンスが入る。
怒ってるのか? 誤解してるのか? 別に今夜、北埜と約束していたわけではないが、連休の前の夜で北埜に言いずらかったのは確かだ。 だって、あいつすぐ拗ねて俺を無視したりする。これが女ならすぐに別れるところだけど、こうして続いてるのはどうしてなんだろう? 北埜が持ち込んだ大きな枕を横抱きにして北埜を抱くみたいに股に挟んで
思わず身体をすり寄せる。 「流星……ばかやろう…男の癖に嫉妬深いんだよ…違うか男だから嫉妬深いのか」 枕から微かに北埜の匂いがして俺は顔を押し付けながら眠りについた。胸がなんだかちりちりと痛かった。
嫌な予感が当たり、金土日と3連休なんと相変わらず北埜とは連絡がとれない。 携帯はずっと電源が入っていない状態だし、マンションにも帰っていないようだ。真面目なあいつの事だから、月曜日は間違いなく部屋に帰って来るだろうとマンションの前で待ち構えていたのに、気が付いたらもう、辺りが白みかけていた。 俺の肩には何時の間にかタオルケットがふわっとかけられている。
ってことは帰ってきたのか?思わずマンションのドアを何度も強く叩いた。
ドアをゆっくりと開けた北埜の顔は何日も寝ていないように蒼白で表情に痛々しいほどの疲れが見える。 「なに…」 満足にドアも開けやがらない。俺は強引にドアを引っ張って中に入った。
「なんで連絡よこさないんだよ。心配するだろうが」
「相変わらず、自分勝手で強引だね。部屋に入ったら?」 無言で背を向ける背中がやけに寂しそうだ。
「何を怒ってるんだよ。友だちにつきあって合コンにいっただけだろ」
「そんなことを怒ってるわけじゃない」
「じゃ、なんだよ」
「僕に隠すからだよ。やましい事がなければ隠す事ないじゃないか」
そりゃ尤もなんだけど。正論をいわれりゃぐうの音もでない。
「流星……」
引き寄せて唇を合わせる。微かに開いた唇の間に強引に舌を差し込んでいく。北埜の両腕が俺の首に絡まってきつく締め上げた。そのまま、ソファに倒れ込んで北埜の下半身を弄るとすでに流星は勃起していた。
ベージュのカーゴパンツと一緒に下着を一気に下げて楽にしてやると恥ずかしそうに身体をすり寄せてきた。
「ノンケのお前を引きずり込んじゃって、悪かったと思ってるんだ」 ……なんだよ。泣いてんのか?……ばかだな。好きな奴を泣かせる俺の方がもっとバカか……。
「お前を受け入れた時点で俺はもうノンケなんかじゃねーよ。頼むから俺を少しは信用しろよ。これでも好きなやつには誠実なつもりだぜ」
「わかってる、わかってるけど、たまらなく不安になるんだ。そして、そんな自分が嫌になる」 俺は下半身から手を放して両腕で引き絞るように北埜を抱き締めた。
「不安にさせて悪かった。でも、この三日間俺だって不安でたまらなかったよ」
「他の女と寝てない?」
「んなわけねーよ。当たり前だろーよ」
北埜は俺の腕をすっとすり抜けると、キャビネットの上から綺麗にラッピングされた包みを差し出す。
「男が買うのって勇気いるんだよ」
俺の顔が思わず綻ぶ。
「北埜、確かにお前は勇者だ。俺にそんな勇気はねーな。女にもみくちゃにされながら、こんなものを
この時期に買うなんて」
「チョコなんていらないからさ…」
北埜の言いたい事を俺が途中で取り上げた。
「あぁ、俺をおまえに全部やるよ。お前だけのものなんだから、大事にしてくれよ」 くすっと笑った北埜の柔らかな笑みを見て、なんだか俺も嬉しくなった。
【おしまい】 (二人の初体験は去年のバレンタイン特集にございます。 OFF-SEASONの2004年バレンタイン特集からどうぞ。)
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