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バレンタイン番外(後編) |
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ところが、世の中そんなに甘くない…… 下駄箱をみた俺は思わず「げっ」と声を上げた。 ……そう……いきなり入ってるのである…… 何をかくそうハートの鏤められた包装紙に丁寧にくるまれたもの。 それはいわずもがなバレンタインチョコである。(号泣) 俺と一緒にロッカーを覗き込んだ沢田の顔が冷たい。 「日頃女に愛想を振ってるからだろうが……」 ひで〜〜〜なんだよそりゃあ……俺がいったいいつ女に愛想を振りまく暇とエネルギーがあるというんだ? 「熱く溶かしたのを垂らして、その上でかぶりついてやる……」 悲しい事に俺はこの発言が決してジョークなんかじゃない事を身体が覚えてる。 蝋燭プレイじゃないんだから、もうちょっと優しくしてくれよ……俺はもう半べそだった。 俺はもちろん、ゲイじゃないし(男にも勃つんだからバイかもしれねーけど)ましてやMじゃない。 ばっかやろう〜〜〜沢田の奴……覚えてやがれ、そのうち俺の身長がお前を20cmくらい追い越したら 半端じゃない仕返しをしてやるんだから……。多分…… 2mの自分を想像してかえって虚しくなった俺は、これ以上チョコなんか貰わなくてもすむように なるべく誰とも目を合わせないように小さくなっていた。 今日は土曜講習だけだから、3時間だけなのにすっかり疲れ切った放課後……沢田は大きな紙袋を俺に差し出した。 「もってけ」 中を見ると色とりどりのチョコレートが入っている。 「何これ?……沢田も貰ってるじゃん」 俺が口を尖らせるとやつは不敵な笑みを浮かべていいやがった。 「俺の事は何も約束してないからな……」 ずるすぎ〜〜〜そんなめちゃくちゃなルールってありかよ? 明治時代の通商条約よりあこぎじゃねーか? それになぜかは知らないけど、沢田のやつ今日は滅茶苦茶機嫌がよくないか? まさか、まさか帰宅したら湯煎のチョコがけが待ってるわけじゃ?それを楽しみにしてるわけじゃないよな? 誰か〜〜こいつをなんとかしてくれ。 おれ、俺、殺されちまうよ…… 俺はどうやって家まで帰ったのか、どこに夕飯が入ったのか解らないくらいに怯えていた。 階下の玄関で部活から帰ったばかりの沢田の声がする…… あぁ来るべき時がきたのか? バレンタインなんて……バレンタインなんて……。 何時の間に入ってきたのか沢田が背後から俺の顎を捉えてそっと唇を落とす。 「いい子にしてたか?……ん?何、震えてるんだ?」 「なんでもねーよ」 「じゃ、さっそく頂くか」 上機嫌の沢田の声は俺をさらに恐怖のどん底に陥れる。 あれって熱くないのか? 熱くないわけねーよな。 誰か、誰か助けてよ。 この変態野郎をなんとかしてくれ。 気がつくとやはりいつもの早業で俺はすっぽんぽんにされ、早くもあいつの楔が俺の中に穿たれていた。 昨日やったばかりだから、そんなに辛くはないけれど、これからのことを考えると泣きたくなる。 「どうした?いつまで半べそかいてるんだ?」 「泣いてねーよ」 「どうした?……身体も震えてる……」 「あんなとこにチョコをかけられたらもう、俺のアレ成長できねーよ」 「はぁ?」 「はぁ?って俺は熱いの嫌いなの!それに敏感肌だから、きっとかぶれちゃう……」 最後は自分でも聴き取れない程の小声になっていた。 情けねーけど、熱いのや痛いの嫌いなんだよ…… もともとそんなに大きくない俺のあそこは恐怖のあまり縮こまっていた。穿たれた腰が緊張でかちかちになっていた。 「そうか、そんな期待をしてたのか?古城って結構スケベだな」 「ふ、ふざけんな!期待してるわけねーだろ。沢田が、沢田が……女からチョコ貰ったらチョコ塗りたくって齧るっていうから……」 「あーはははは……、チョコバナナじゃあるまいし……第一今日はお前、おふくろさん以外から受けとってないだろ?」 「……でも……シューズロッカーで……」 「あぁ、あれね。アレは昨日俺が入れておいたんだ」 「はぁああああ????」 「まぁ、虫よけみたいなもんだな。それに一応お前は俺の恋人だし」 「……男が送るな……男が男に……」 「ふふふ……だってな……怖がってるお前の顔がまた、そそるんだよ」 「ひ、ひでぇ……」 「お前からは毎日たっぷりチョコを貰ってるしな」 「……俺?一度もやってねーよ!」 「お前のココさ、チョコよりもっと甘くとろけてるぜ。明日の練習は休むって言ってあるから、 今夜はお前を一晩中楽しませてもらう」 「う、うそだろ?」 「可愛いぜ、古城……明日が日曜日でよかった…」 よくねー!よくねーぞ!俺はそのままずり上がろうとして沢田に腰ごと 引き戻された。そのまま回すように腰を使う。 誰か!誰かこいつをなんとかしてくれ!このままじゃきっと明日の朝まで眠れない……。 バレンタインなんか……バレンタインディなんか……だいっきらいだぁああ! |