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昔なら草木も眠る丑三つ時などと言われていた真夜中、しかもそろそろ裸で寝るとさすがに肌寒いこの時間に恋人の腕が直接素肌の背中に食い込んで目が覚めた。
抱き締めるなんて簡単なものではなく、息ができなくなるのではと思う程に
強く自分の身体を引き絞る腕。
しかもそれは微かに震え、彼は魘されてさえいるようだった。
「城!き…ずく……苦しいよ」
うめき声も途絶えがちに、息だけで抗議する。
「痛い、痛いって」
昨夜のあの激しい情事の残滓は、どこにも残っておらず、結局気を失うようにして
眠ってしまった自分の身体やベッドを城が始末してくれたのだろう。
そんな優しい彼が時々襲われる悪夢を俺はどうしてやることもできないのがもどかしい。
「城……っ!」
彼の腕から離れようともがくと、やっと彼は悪夢の深い井戸から這い上がってきた。彼は自分が何かしでかしたのかと青くなっている。
「あ……また私は……何か志月にしてしまったのか?」
「したのは、昨夜だろ?城……あんなに手加減なしなんだもの」
俺が悪戯っぽく抗議すると、ほっとしたように深いため息をついた。
「すまない…首筋が痣になってる」
「だから、それは昨夜だって」
「本当に?」
俯く城の長い睫毛は潤んで瞳が煌めきながら揺れている。
彼にむしゃぶりつきたくなるのはこんな時だ。
いくらそんな気持ちになっても城の心の傷が癒されないうちは何もできやしないのだけど。
「抱き締められるのは嬉しいけれど、城は俺がその気になったってまだ、無理なんだろう?」
「申し訳ない……私ばかり志月に無理をさせて」
そんなことはない。 俺だって実は最近はかなり感じて身体は満足してる。
だけど、そんな事実を城に伝えるのは、まだ抵抗がある。
俺の心の中の男が、城を抱きたがり、抱かれる自分に照れまくっている。
まだまだ、割り切れるほど俺は達観していない。
「無理はしてないけどさ」
「してないけど?」
城が、先を促す。
「城の心の傷を癒せない自分が不甲斐無いとは思ってる」
そう言った俺の唇を城は乱暴に突然塞ぐと、思う存分俺の口中を蹂躙してから
「そんな可愛いことばかり言うから、歯止めがきかないんだ」
なんて勝手を言う。そしてその魅惑的な瞳をさらに煌めかせながら囁いた。
「夢を見た後に、志月を腕の中で感じると、心の澱が少しずつ浄化されていく気がする。義父を
一生許せないと思っていて、そんな事にいまだに捕われてる自分にまた傷ついていたんだけど」
「当然だよ。城は悪くない。その会長も城を愛する方法を間違えただけなんだ」
「うん……」
深い安堵のため息と共に緊張していた城の身体から力が抜け、震えていた手がぽとりとベッドに落ちた。
自分が、大好きな城にとってかけがえのない存在であると、こうして改めて知るのは、なんと心地よい事だろう。
「志月を抱いていると義父もこんな気持ちだったのかなって少しだけ義父に優しい気持ちになれるんだ」
俺の胸に顔を埋めて城がうっとりと囁く。こんな綺麗な恋人が自分だけのもので、自分を必要としてくれるなんて。そんな自分の幸運を肌で噛み締める。
確かにオレはモテた方だと思う。俺を必要としてくれる人はいっぱいいた。だけど今まで自分の周りにいた女性達は、自分の姿形しか見ていなかったようにどうしても感じてしまう。入れ物である自分に価値を感じても
これほどまで素である自分を愛してくれ、必要としてもらったことはなかった。
例え、女のように情けない喘ぎ声を出してみっともなく乱れても、城は自分の全てを受け入れて愛してくれる。そう心の奥から信じる事ができたから。
「城にとって俺が必要だって事が嬉しい」
「本当に……志月は可愛い事を……」
城はそういうとあっというまに俺にのしかかって、まだ潤いのある下半身を弄リ始めた。
「あ……だめだって」
「志月のココは、もっと欲しいっていってる」
中を指で掻き回されると、俺の芯に残っていた焔が再び燻りはじめる。
「蠢いてる……私が欲しいって」
違うと言いたいのだけど、体は正直だ。俺の欲望はイヤらしく立上がり鈴口に雫を零しかけている。
そのまま城のオスをまだ微かに潤っているソコに押し付けてくる。
前を宥めるようにあやしながら、ゆっくりと存在感のあるものが、俺の中を侵略する。
「温かい……志月のココってすごく温かい……」
「あ……ん、んんっ」
俺はもう喘ぎを含んだ息しかできなかった。城は動かずにいるはずなのに、俺の中が城を更に奥へと導くように痙攣するのを止められない。
「痛くない?気持ちいい?」
いつも俺の体を心配して同じ事を聞いてくる城に俺もいつものように、微かに首を振って答える。
「ずっとこうしていたい。こうしていると心の中の固い物が少しずつ解けいく感じがする」
背中から覆い被さる城の重みと素肌を直に通して感じる熱い体温が、俺のプライドも溶かしていく。
「志月とこうしていると、私も生まれてきてよかったんだと、自分にも優しくなれる。
私だけのモノになってくれてありがとう…」
城の言葉を聞いて俺は、痛みからではない、心の奥底から込み上げるもので頬を伝う涙を止める事ができなくなっていた。
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