海への旅立ち4


俺はすぐには今の状況が飲み込めなかった。 しかし、ケンの恐ろしいような獣じみた瞳をみてケンのやろうとしてる事を理解した。
ケンの厚い胸板が俺にのしかかり、俺は身動きがとれなくなる。 「ユウ...ユウ」
そういってケンは凄い勢いで俺の口に噛み付いた。 多分口づけるつもりだったのだろうが、勢いが激し過ぎた。 俺の唇が切れて血の味がした。だが俺は抵抗しなかった。 いや、抵抗することすら忘れていたというのが本当で。
ケンは、ケンだけは俺を女の様な対象と見ていないと思ったのに。
そう思うと胸の奥底から激情がこみ上げて、涙が流れて仕方ない。
殆ど抵抗もせず、ぼろぼろと大粒の涙がシーツにシミを作る。 そんな俺をみてケンはやっと我に返ったようだった。
「ごめん、ユウ、ごめん」
「あやまるなよ」
「ごめん、もう俺達友達でいられないかな」
ケンも泣いている。 俺はケンに組み敷かれたまま、そっと目線をはずした。
「ケンがしたいなら、いい」
抵抗すればケンが俺を置いてどこか遠くへ行ってしまうそう思った。 俺はケンを失う事が怖かった。今のこの状況の恐怖よりケンを永遠に失う方がもっと怖かった。 ケンは今度は触れるような優しいキスをしてくる。
「ユウ、愛してる」
「そんな事いうな」
「ずっとお前だけが好きだった。チビの頃からお前だけが....。」
その台詞は俺を絶望的な気持ちにさせる。俺は女の代わりだったのか。 こんなに長く付き合ってきたケンがこんな事をいうなんて。 俺は自分そっくりの母を本気で憎んでいた。 なぜもっと男っぽい顔に生んでくれなかったのかと。

ケンは俺のボタンをはずし、ジッパーを下げるのももどかしそうに 下着と一緒にベットの下へ投げ捨てる。 俺は奴がするままにじっとケンのやる様を観察していた。 まな板の鯉っていうのはこういう気持ちなのだ、たぶん。 俺を生まれたままの姿にするとケンは真っ赤になりながら うっとりして首筋から胸にかけて撫で上げた。
「綺麗だ。本当に綺麗だ。お前の肌が俺の指に吸い付いてくるようだ。 こういうのをきっともち肌っていうんだな」
うっとりしたようにケンは手のひらで肌を摩りあげる。
俺はただただ自分以外の誰かに撫で回されるのが、気持ち悪くて 急速に吐き気が襲ってきた。
「おいまて、俺吐きそうだ。」
「大丈夫、俺いろいろ予習したんだ。男同士だと潤滑油を使うといいらしいんだ」
それを聞いて俺は朦朧としていた頭の中が急にクリアになった。 「何をいってやがる。お前はいつかこうするつもりで用意してきたんだな。」
ケンはおれの事なんて本当は何も考えてない。 そう思うと無性に悲しくてまた涙が落ちてきた。それをケンは完全に勘違いした。
「優しくするって。ユウが嫌なら今日は挿れないし」
そう、いいながらもケンは俺のを扱きはじめる。
そんなことをしたって俺は恐怖と谷底に落ちたような孤独感に見舞われていたから勃起するわけ なかった。
それでも、ケンはあきらめずに前を扱きながら、右手で後ろをまさぐってくる。
「いやだ、よせ」
その言葉はすぐにケンの唇の中に消えた。


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