出る杭は打たれる 7 (18禁)





 彼の眉が上がったのがみえたが、俺はそのまま続けた。
 「こんなおやじ相手に可愛いとか全身が煮えたぎるとか……失礼だが、どう考えても 恐神さんの考える事はおかしい。確かに私はあなたが調べられたように失恋して意気消沈してるのは 確かだ。だけど、ゲイでもなかったあなたが、そんな事を思うなんて、やはり一時の気の迷いとしか思えない」
 そこまで言った俺に何の反応もないのでふと彼を見遣ると優しげな瞳で俺を見つめているものだから 逆にどきりとしてしまう。
 「なんだよ」
 「私の気持ちを信じてくれとは言えませんが……」
 そういって彼はゆっくりと自分の上唇をそっとなぞり、俺があっけにとられてその唇から目が離せないのを 幸いと今度はゆっくりと下唇をその長い綺麗な爪で輪郭を描く。
 あ、あの時の……
 「思い出していただけました?あの時完全にお休みになられていなかったでしょう?」
 同じ事を考えていたのかと思うと俺は自分でも血が上っていくのを感じる。
 「なにが…」
 声がみっともなく掠れていると言うのに今さら。
 「さぁ、あなたの方からこちらにいらっしゃい」
 俺はその声に誘われるままゆっくりと夢遊病者のように彼の元に歩き出す。
 「隣に……」
 これは命令ではない……俺はこのまま踵を返して部屋から出る事だって可能なはずなのに。
 「俺は……」
 もういったい何時からなのか忘れてしまうほどの長い年月、寂しいとか悲しいとか、嬉しいとか楽しいとかそんな単純な感情を 俺はどこかに置き忘れてきていた。
 怒りや、驕りや、出世欲のようなものには囚われてきたけれど。 掌の中でそっと育むような感情を俺は駿のところに20年前置いてきてしまっていた。 いつか彼がそれを育て俺に返してくれる時があるようなそんな錯覚とともに。
 俺が隣に座ったとたん、恐神は俺たちの間を詰めるようにしてぴったりと互いの腿が触れくる。
 好きでもない、普通の男同士ならなんということはないはずなのに、
 なぜ、その触れあった部分だけが、腫上がったように意識を集中してしまうのか。
 俺がそんな感覚を嫌って思わず、横に避けると恐神はさらに詰めてきた。
 びくりと意識してしまう自分に信じられないような気持ちになる。 俺は別にこの男が好きなはずじゃない。
 いままで言い寄ってきた男はそれこそ五万といたはずだ。 たしかにこいつみたいに可愛いだの、そそられるだのと、一本ネジが外れたような事をいうやつこそ いなかったが、俺の年令と経験でいけばこんなやつに言い寄られてオタオタしてる事が尋常じゃないのだ。
 「それ以上離れるとベッドから落ちますよ」
 そう言われて俺ははじめて、恐神と俺が座っていたのがソファベッドだったのに気がついた。
 そのとたん、恐神が体重をかけて覆いかぶさってくる。
 「な、なにを…」
 「今さら、そんなこどもっぽい事を聞かないでください」
 そういって俺の顔のすぐ近くにあった彼の端正な顔の中でも、もっとも魅力的なその知的な瞳をそっと閉じた。
 俺もつい、つられるようにして瞳を閉じる。
 弾力のある男独特の唇が、俺のくちびるにそっと押し当てられ、そのまま俺の唇を包むように啄む。彼の身体の燃えるような熱さを感じながら俺はつい、軽い喘ぎ声と 共に自らの唇を綻ばす。
 ノックするように何度も出し入れされる舌に俺の頭の中は光暈を起したようになにがなんだか認識する事もできないまま、強い欲望の爪に理性を引き裂かれていた。
 彼の唇を逆に貪りかえしながら、彼にしがみつき。 そのまま腰まで押し付けていた。
 「いいの?」
 躊躇うような恐神の言葉を寧ろ焦らしのように感じながら
 「早く楽にしてくれ」
 と自分でも信じられないような彼を求める言葉を吐きながら恐神との欲望の渦に自らの身を投げ出していた。
 ゆっくりと彼の指が俺の肩から腕、そして腰へと滑り落ちてゆく。 熱い吐息が互いの肩口にかかり俺はそのまま彼の肩甲骨に唇を寄せた。 恐神がびくっとしたのを感じて俺は少しだけ自信を取り戻し、顔を下に落としてそのまま胸の突起を 舐め上げる。
 「慣れてるんですね……でも、こっちはどうかな……」
 そういって腰まで滑り落としていた指先を臀部から後ろの窪みへと移動させてゆく。 その跡を追って俺は全身に電流が走ったようにぴくぴくと感じてしまった。
 「思った通りに感じやすいんだ……」
 「黙れよ……」
 「可愛いな…」
 「だからいうなって」
 年下の男にこうやって翻弄され、言葉で攻められてますます前を固くしてしまう…いったい俺はどうなってしまうのか。
 ゆっくりとその窪みのまわりをその指が襞の一つ一つを確かめるように這い回り、いつの間にか俺の口に入れられていた左手の指を俺は必死に押し出そうとする。
 「舐めて……もっと」
 そういって口の中の唾液をかすめ取るように指で掬うとその濡れた指を後ろに回してまた辺りを刺激する。
 こんな場所に性感帯があったなんて知らなかった。
 「よ…せ」
 そういった瞬間、指がいきなり狭い中に差し込まれ俺は思いっきり仰け反った。 ぐりぐりと中を探る指に俺は必死に身を捩る。
 「熱い……中がすごく……」
 「や、やめ……て…くれ……」
 最後の言葉は恐神の口の中に飲み込まれてゆく。
 俺は相当無理な体勢で彼の舌と指を同時に受け入れ、今まで体験した事のない快感の波に飲み込まれていく。
 2本にそしてまた3本に増えた指が生き物のようにリズミカルに抜き差しされて腰が真上に向かされた後、ばらばらに動き回っていた指が一気に抜かれて代わりに彼の熱い怒張の先端を柔らかく綻び滑った場所に捩じ込んできた。
 「ん、んん…」
 痛みと言うよりその異物感の異様さに俺は悲鳴を上げそうになった。
 彼の口で塞がれた口からは呻くような声が洩れるだけだ。
 一度はオスを受け入れた事のある場所だったが、彼の質量の大きさに俺の本能は拒否反応を興していた。
 「力を抜いて」
 口を離した瞬間に彼が囁く。
 彼の指が萎えかけた俺のオスを勢いよく扱きあげると強い快感で身体に力が入らなくなってゆく。 恐神の凶器がそのまま俺の後穴を抉るように入り込んでくる。
 「い、いて……っ」
 痛みのあまり思わず上げてしまった声に彼はちゅっと音の鳴るキスで唇を啄むと
 「すごい…うごめいてる。中……」
 「や、だ……め…だ」
 「ダメじゃない…最高……」
 そういってゆっくりと最奥まで辿り着くとそのままの状態で俺の顔中にキスの雨を降らしてきた。
 いつの間にか生理的に浮かべた涙を恐神はその長い舌で丁寧に掬い取り「好きだ」の言葉を繰り返す。 そんな言葉に刺激されて俺は自分の中心に差し込まれた楔を確かめるように無意識に後ろに力を入れていたらしい。
 「ずるいな…まだいきたくないのに」
 そんな腐った事を言いながらゆっくりと腰を離し、完全に抜けるかと思った瞬間に思いきり良く腰を落とした。
 「あ……ん、んん」
 自分の声とは思いたくないような甘さを含んだ喘ぎに頬を紅潮させている間に、彼のゆっくりとした 抜き差しが始まった。
 まずい…こいつ生だ……。
 そう思った時にはすでに遅くその抜き差しが速くなり、それと同時に俺の微かに開いた唇に彼の唾液が糸のように流し込まれてきた。
 そのまま唇を塞がれ、激しい腰使いに翻弄されながら、彼の動きが急に止まったと同時に 自分の中で熱いものが注ぎ込まれ拡がってゆく感覚があった。
 ばかな…そんなばかな……
 受け入れたくない現実と早く身体を離さなければという理性がやっと沸き上がり、なんとか彼から離れようと 身を捩る。
 「そんなに締め付けられると、きりがない…」
 彼は信じられない事を口にするとそのままの硬度と大きさを保ったまま、再び腰を動かし始めた。
 「もう、もう…勘弁…してく…れ」
 息も絶え絶えに懇願する声も全く耳に入らないという風情で、前に放ったものでぐちゅぐじゅと卑猥な音を漏らしながら彼の抜き差しがはじまると、俺もまた
 「や、……ん……んん」
 と耳を塞ぎたくなるような甘い喘ぎを上げて無意識に彼にしがみついていた。
 「あなたをこのまま征服してあげる」
 そういって再び抜き差しが激しくなる。俺はその突き上げにあわせてまるで女のような甘い喘ぎ声を上げていた。
 再び彼の怒張がびくびくと俺の中で痙攣しながら俺の奥底めがけて欲望を注ぎ込む。
 互いにはぁはぁと肩で荒い息をしながら、彼の身体がどさっと俺の上に落ちてきた。
 「……っはぁ…最高……こんなことって…」
 感極まったような彼の感想に俺は思わず呻いた。
 「もう、いいだろう…早く抜いてくれ」
 「いやだ…」
 「は?」
 「いやだ…このまま、僕の愛液があなたに吸収されるまで、僕のでここに栓をしておく」
 信じられない彼の台詞に俺の頭はパニックを起しかけていた。
 「な…」
 彼は俺の背中を折れんばかりにぎゅっと抱き締める。
 「上からも下からも俺のものであなたをいっぱいにしたい」
 熱いため息と共に呟く恐神に俺は再び必死になって身を捩り自分の中から彼を押し出そうとした。
 「ば、ばかな事……いうな」
 「ばかなのは、伊織だな…こうして刺激されればまだ、何度でもいけるのに」
 俺の中の彼が再びさらに質量を増した感覚があった。
 このまま俺は彼の女にされてしまう。そんな恐怖が一瞬だけ頭を過ったが、彼のいやらしい腰使いに 再び俺は女のような喘ぎを上げながら、自らも腰を振っていた。

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